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第7章 天下分け目の大決戦編
43.再会
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政豊の住処を目指して祐藤らは志天城を出発。
一行は、立天野山の険しい道を突き進んでいた。
やがて、立天野山の奥深い森の中に小さな小屋が幾つか建っている景色が広がっていた。
忍びは、その小屋の中で一際目立った屋敷を指差して言う。
忍び
「あの屋敷が政豊殿の住処かと思われます。」
祐藤
「ほう、意外と立派な屋敷ではないか。」
祐藤は屋敷をまじまじと見つめていた。
すると貞勝が引きつった顔で言う。
貞勝
「この山奥にかような綺羅びやかな屋敷とは…何とも似つかわしくございませぬな…」
貞勝は苦笑している様子だ。
祐藤
「まぁ、確かに趣味が悪いとも申すがな…」
祐藤も貞勝の言う事に賛同する様子でそう言った。
忍び
「盗賊は、見た目に重きを置いておる者が多い故、かような繕いの屋敷が普通のようにございます。」
「盗賊」と言った野党たちは、自身がいかに強い存在であるかを示す為、屋敷や身なりなどと言った物を華美に繕う風潮があった。
戦いに明け暮れる者たちにとって外見は、相手に隙を与えない為の手段と言っても過言では無い。
それ故に、皆がこぞって華美に繕う文化が盗賊たちの間で出来ていったと言われている。
そうしていると、一本の鋭い矢が祐藤の顔を掠めて飛んできた。
矢が放たれた方向には、これまた奇抜な風貌をした男がいた。
「おい、貴様らは余所者じゃな!儂らの村でこそこと何をしておるか!」
男は鬼のような形相で声を荒らげていた。
虎の毛皮で繕った袴を身に纏い、真っ赤な首巻きを巻きつけた何とも異様な出で立ち。
その男は、他でもない木内政豊であった。
貞勝
「殿!大丈夫にございますか!」
貞勝は心配した様子で祐藤に対して声を上げた。
祐藤
「あぁ、大丈夫じゃ。心配するでない。それにしても、随分と派手な挨拶でござったな、のう政豊殿よ。」
祐藤は心配する貞勝に軽く返答し、政豊に対して静かな口調でそう言った。
政豊
「ん?あんた、どこかで見たことがあると思ったら、志太の殿様じゃねえか。」
政豊は祐藤を見て、少し笑いながらそう言った。
祐藤
「お主、生きておったのじゃな。それにしても、元気が有り余っておられるようで何よりじゃ。」
祐藤は、政豊の相変わらずの豪快ぶりに対して少し皮肉めいた口調でそう言った。
政豊
「ふん!かようなことでくたばってたまるものか!儂を見くびるでない!」
政豊は、この祐藤の言葉に対してあっさりとそう答えていた。
国米の戦いにおいては、少なからず礼儀をわきまえた口調で祐藤らとやりとりしていた政豊であったが、今のこの場では粗暴な口調が目立った。
柳家や柊家に武将として仕えていた時代は家臣たちの手前もあった事から、言葉遣いにはある程度気を付けていたという。
しかし、柳家と柊家が滅亡後に政豊は再び盗賊として復帰した事を境に、次第にその口調は元の盗賊らしい粗暴なものへと戻っていったようである。
そして少し間を置いた後に、真剣な表情で祐藤が政豊に対して口を開いた。
祐藤
「時に政豊殿よ、先の国米での戦において援軍を出していただいたこと、感謝いたす。」
政豊
「儂は、別にあんたらの為にやったことではないぜ。勘違いするな。」
貞勝
「政豊殿、それはどういうことにございますかな。」
政豊のその言葉を受けて貞勝は疑問の声を上げた。
政豊
「儂は、三浦継晴とかいう馬鹿な殿が治める幕府にはうんざりしておるのじゃ!その馬鹿が、卑怯な手を使って寄ってたかって皆をいじめる光景を見て腹が立って許せんかった。ただそれだけじゃ。」
どうやら政豊は、現在の三浦幕府に対して不信感を募らせていたようである。
さらにここ最近の幕府は、周辺大名家を貶めるような傾向の政で徹底的に追い込んでいた。
そのような弱い者いじめとも言える幕府の動向が許せなかったと言う。
祐藤
「ほう、三浦殿の幕府に不満がおありとな。」
祐藤は政豊の顔を覗き込みながらそう言った。
政豊
「ではあんたらに聞くが、大昔の先祖である利晴の七光だけでだらだらと続いておる幕府に意味があると思うのか?」
三浦利晴。
三浦幕府の祖を築いた初代将軍だ。
この頃の三浦家は、当主である利晴自身が文武両道でカリスマ性の高い非常に優秀な人物であったと伝わる。
利晴の号令一つで各地の大名たちが一斉に動き出すなど非常に影響力のある存在であったと言う。
しかし、その才能は後世の子孫になるにつれて次第に薄れていき、現将軍の継晴に至ってはその影すら見えないという状態である。
貞勝
「いやはや、政豊殿…これまた過激なことを申されますなぁ…」
貞勝は、再び苦笑しながらそう言った。
この封建社会で将軍はお上の存在。
それ故に、将軍に対しての批判的な意見は御法度とされている。
しかし、そのような事もお構いなしで喋る政豊を滑稽に感じていたようである。
政豊
「儂は、先祖の七光だけで偉そうにする連中は嫌いじゃ。」
政豊は、無能であるにも関わらずに先祖の権威を利用して将軍の座に就いた継晴や先代の祐晴を痛烈に批判していた。
すると、祐藤は再び真剣な表情をして口を開いた。
祐藤
「今日は、そのことで相談がござって政豊殿を訪ねに参ったのじゃ。」
政豊
「ほう、面白い。では、我が屋敷に入るが良い。そこで詳しく聞かせてもらおうじゃねえか。」
政豊はそう言うと、祐藤らを自身の屋敷に招き入れた。
一行は、立天野山の険しい道を突き進んでいた。
やがて、立天野山の奥深い森の中に小さな小屋が幾つか建っている景色が広がっていた。
忍びは、その小屋の中で一際目立った屋敷を指差して言う。
忍び
「あの屋敷が政豊殿の住処かと思われます。」
祐藤
「ほう、意外と立派な屋敷ではないか。」
祐藤は屋敷をまじまじと見つめていた。
すると貞勝が引きつった顔で言う。
貞勝
「この山奥にかような綺羅びやかな屋敷とは…何とも似つかわしくございませぬな…」
貞勝は苦笑している様子だ。
祐藤
「まぁ、確かに趣味が悪いとも申すがな…」
祐藤も貞勝の言う事に賛同する様子でそう言った。
忍び
「盗賊は、見た目に重きを置いておる者が多い故、かような繕いの屋敷が普通のようにございます。」
「盗賊」と言った野党たちは、自身がいかに強い存在であるかを示す為、屋敷や身なりなどと言った物を華美に繕う風潮があった。
戦いに明け暮れる者たちにとって外見は、相手に隙を与えない為の手段と言っても過言では無い。
それ故に、皆がこぞって華美に繕う文化が盗賊たちの間で出来ていったと言われている。
そうしていると、一本の鋭い矢が祐藤の顔を掠めて飛んできた。
矢が放たれた方向には、これまた奇抜な風貌をした男がいた。
「おい、貴様らは余所者じゃな!儂らの村でこそこと何をしておるか!」
男は鬼のような形相で声を荒らげていた。
虎の毛皮で繕った袴を身に纏い、真っ赤な首巻きを巻きつけた何とも異様な出で立ち。
その男は、他でもない木内政豊であった。
貞勝
「殿!大丈夫にございますか!」
貞勝は心配した様子で祐藤に対して声を上げた。
祐藤
「あぁ、大丈夫じゃ。心配するでない。それにしても、随分と派手な挨拶でござったな、のう政豊殿よ。」
祐藤は心配する貞勝に軽く返答し、政豊に対して静かな口調でそう言った。
政豊
「ん?あんた、どこかで見たことがあると思ったら、志太の殿様じゃねえか。」
政豊は祐藤を見て、少し笑いながらそう言った。
祐藤
「お主、生きておったのじゃな。それにしても、元気が有り余っておられるようで何よりじゃ。」
祐藤は、政豊の相変わらずの豪快ぶりに対して少し皮肉めいた口調でそう言った。
政豊
「ふん!かようなことでくたばってたまるものか!儂を見くびるでない!」
政豊は、この祐藤の言葉に対してあっさりとそう答えていた。
国米の戦いにおいては、少なからず礼儀をわきまえた口調で祐藤らとやりとりしていた政豊であったが、今のこの場では粗暴な口調が目立った。
柳家や柊家に武将として仕えていた時代は家臣たちの手前もあった事から、言葉遣いにはある程度気を付けていたという。
しかし、柳家と柊家が滅亡後に政豊は再び盗賊として復帰した事を境に、次第にその口調は元の盗賊らしい粗暴なものへと戻っていったようである。
そして少し間を置いた後に、真剣な表情で祐藤が政豊に対して口を開いた。
祐藤
「時に政豊殿よ、先の国米での戦において援軍を出していただいたこと、感謝いたす。」
政豊
「儂は、別にあんたらの為にやったことではないぜ。勘違いするな。」
貞勝
「政豊殿、それはどういうことにございますかな。」
政豊のその言葉を受けて貞勝は疑問の声を上げた。
政豊
「儂は、三浦継晴とかいう馬鹿な殿が治める幕府にはうんざりしておるのじゃ!その馬鹿が、卑怯な手を使って寄ってたかって皆をいじめる光景を見て腹が立って許せんかった。ただそれだけじゃ。」
どうやら政豊は、現在の三浦幕府に対して不信感を募らせていたようである。
さらにここ最近の幕府は、周辺大名家を貶めるような傾向の政で徹底的に追い込んでいた。
そのような弱い者いじめとも言える幕府の動向が許せなかったと言う。
祐藤
「ほう、三浦殿の幕府に不満がおありとな。」
祐藤は政豊の顔を覗き込みながらそう言った。
政豊
「ではあんたらに聞くが、大昔の先祖である利晴の七光だけでだらだらと続いておる幕府に意味があると思うのか?」
三浦利晴。
三浦幕府の祖を築いた初代将軍だ。
この頃の三浦家は、当主である利晴自身が文武両道でカリスマ性の高い非常に優秀な人物であったと伝わる。
利晴の号令一つで各地の大名たちが一斉に動き出すなど非常に影響力のある存在であったと言う。
しかし、その才能は後世の子孫になるにつれて次第に薄れていき、現将軍の継晴に至ってはその影すら見えないという状態である。
貞勝
「いやはや、政豊殿…これまた過激なことを申されますなぁ…」
貞勝は、再び苦笑しながらそう言った。
この封建社会で将軍はお上の存在。
それ故に、将軍に対しての批判的な意見は御法度とされている。
しかし、そのような事もお構いなしで喋る政豊を滑稽に感じていたようである。
政豊
「儂は、先祖の七光だけで偉そうにする連中は嫌いじゃ。」
政豊は、無能であるにも関わらずに先祖の権威を利用して将軍の座に就いた継晴や先代の祐晴を痛烈に批判していた。
すると、祐藤は再び真剣な表情をして口を開いた。
祐藤
「今日は、そのことで相談がござって政豊殿を訪ねに参ったのじゃ。」
政豊
「ほう、面白い。では、我が屋敷に入るが良い。そこで詳しく聞かせてもらおうじゃねえか。」
政豊はそう言うと、祐藤らを自身の屋敷に招き入れた。
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