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第7章 天下分け目の大決戦編
40.人材確保
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三浦宮御所では、鳥居景綱を呼び寄せて話し合いが行われようとしていた。
景綱
「継晴様、鳥居景綱 只今参りました。」
景綱は、畏まった様子である。
継晴
「うむ。景綱よ、遠路をはるばるとご苦労であったな。」
継晴は、そんな景綱に労いの言葉を一言かけていた。
すると景綱が不思議そうな表情をして口を開いた。
景綱
「継晴様、拙者にどのような御用がお有りでございましょうか?」
継晴は、景綱のその問い掛けに即答した。
継晴
「お主を呼んだのは他でもない。景綱よ、今日をもって我が幕府の家臣となられよ。」
継晴は、景綱を幕府軍に引き入れようと考えていた。
志太家に対して恨みを持つ者を幕府軍の前線に出し、士気を高めようという思惑である。
景綱
「拙者が、幕臣…でございますか…?」
景綱は、継晴の急な言葉に動転した様子である。
元大名家の世継という身分からは没落の道を辿り、挙句の果てに貧しい民にまで身を落としたという景綱自身にこのような言葉を将軍から直々にかけてもらう事など思いも寄らなかったからである。
継晴
「む…何じゃ、嫌と申すのか?余が直々にお主を家臣として迎えてやろうと思うておるのに。嫌とは申させぬぞ。」
継晴は、慌てふためく景綱を見て怪訝そうな態度を見せた。
景綱
「いえ、とんでもございませぬ!拙者のような者を幕臣に加えていただけるなど夢のまた夢のような話でございましたものですから…」
景綱は、継晴に対して慌てた様子でそう言った。
青天の霹靂とも言えるこの出来事を、景綱自身が理解するにはどうやら少し時間がかかったようである。
継晴
「はっはっは。景綱よ、そこまで自分を蔑むでない。お主は、三浦幕府を再興するうえで必要な存在である故にこうして呼び付けたのじゃぞ。」
継晴は景綱の肩を軽く叩き、笑い飛ばしてそう言った。
同時に、打倒志太家に闘志を燃やす景綱に対して大きな期待を抱いていた。
景綱
「継晴様、それは…真のことにございますか?!」
景綱は、まだ継晴の言う事が信じられない様子である。
継晴
「どうやらお主にははっきりと聞こえなかったようじゃな。では、もう一度申そう。景綱よ、お主を我が幕府の家臣として登用いたす。」
景綱
「ははっ!この鳥居景綱、幕臣に加えていただけるなど真に有難き幸せにございます!」
継晴の口から「登用」という言葉をはっきりと聞いた景綱は、継晴に対して深々と頭を下げて喜びと感謝の言葉を述べた。
こうして景綱は、幕府の家臣として登用されたのであった。
継晴
「景綱よ、それでは志太家の討伐に尽力いたせ。良いな?」
継晴は、景綱に対して本来の目的である志太家の討伐に力を入れさせるべく命令を早々に下した。
景綱
「ははっ!必ずや志太家を討伐し、滅ぼしてみせましょうぞ!」
景綱は、非常に通った声で継晴に対してそう答えた。
先程の様子とは打って変わって意気揚々としたそんな景綱に対し、継晴がさらに思いもよらぬ事を口にし始めるのであった。
継晴
「あと、お主には後々に大老の任命もいたす故、せいぜい励まれよ。良いな?」
・大老(たいろう)
幕府の職制で、将軍の補佐役などを務める最高職。
通常、大老は譜代や将軍の一族など長年の主従関係によって信頼を築かれた家臣に与えられた役職と言われている。
しかし、継晴は幕府とは縁もゆかりも無い景綱に大老の役職を与えるといった常識を覆す思い切った行動に出た。
この事からも、継晴による景綱の期待は相当なものであったと言えよう。
景綱
「ははっ!継晴様、拙者をそれほどにまで買っていただけるとは…感無量にございます!」
景綱の目には涙がうっすらと流れていた。
景綱
「継晴様、鳥居景綱 只今参りました。」
景綱は、畏まった様子である。
継晴
「うむ。景綱よ、遠路をはるばるとご苦労であったな。」
継晴は、そんな景綱に労いの言葉を一言かけていた。
すると景綱が不思議そうな表情をして口を開いた。
景綱
「継晴様、拙者にどのような御用がお有りでございましょうか?」
継晴は、景綱のその問い掛けに即答した。
継晴
「お主を呼んだのは他でもない。景綱よ、今日をもって我が幕府の家臣となられよ。」
継晴は、景綱を幕府軍に引き入れようと考えていた。
志太家に対して恨みを持つ者を幕府軍の前線に出し、士気を高めようという思惑である。
景綱
「拙者が、幕臣…でございますか…?」
景綱は、継晴の急な言葉に動転した様子である。
元大名家の世継という身分からは没落の道を辿り、挙句の果てに貧しい民にまで身を落としたという景綱自身にこのような言葉を将軍から直々にかけてもらう事など思いも寄らなかったからである。
継晴
「む…何じゃ、嫌と申すのか?余が直々にお主を家臣として迎えてやろうと思うておるのに。嫌とは申させぬぞ。」
継晴は、慌てふためく景綱を見て怪訝そうな態度を見せた。
景綱
「いえ、とんでもございませぬ!拙者のような者を幕臣に加えていただけるなど夢のまた夢のような話でございましたものですから…」
景綱は、継晴に対して慌てた様子でそう言った。
青天の霹靂とも言えるこの出来事を、景綱自身が理解するにはどうやら少し時間がかかったようである。
継晴
「はっはっは。景綱よ、そこまで自分を蔑むでない。お主は、三浦幕府を再興するうえで必要な存在である故にこうして呼び付けたのじゃぞ。」
継晴は景綱の肩を軽く叩き、笑い飛ばしてそう言った。
同時に、打倒志太家に闘志を燃やす景綱に対して大きな期待を抱いていた。
景綱
「継晴様、それは…真のことにございますか?!」
景綱は、まだ継晴の言う事が信じられない様子である。
継晴
「どうやらお主にははっきりと聞こえなかったようじゃな。では、もう一度申そう。景綱よ、お主を我が幕府の家臣として登用いたす。」
景綱
「ははっ!この鳥居景綱、幕臣に加えていただけるなど真に有難き幸せにございます!」
継晴の口から「登用」という言葉をはっきりと聞いた景綱は、継晴に対して深々と頭を下げて喜びと感謝の言葉を述べた。
こうして景綱は、幕府の家臣として登用されたのであった。
継晴
「景綱よ、それでは志太家の討伐に尽力いたせ。良いな?」
継晴は、景綱に対して本来の目的である志太家の討伐に力を入れさせるべく命令を早々に下した。
景綱
「ははっ!必ずや志太家を討伐し、滅ぼしてみせましょうぞ!」
景綱は、非常に通った声で継晴に対してそう答えた。
先程の様子とは打って変わって意気揚々としたそんな景綱に対し、継晴がさらに思いもよらぬ事を口にし始めるのであった。
継晴
「あと、お主には後々に大老の任命もいたす故、せいぜい励まれよ。良いな?」
・大老(たいろう)
幕府の職制で、将軍の補佐役などを務める最高職。
通常、大老は譜代や将軍の一族など長年の主従関係によって信頼を築かれた家臣に与えられた役職と言われている。
しかし、継晴は幕府とは縁もゆかりも無い景綱に大老の役職を与えるといった常識を覆す思い切った行動に出た。
この事からも、継晴による景綱の期待は相当なものであったと言えよう。
景綱
「ははっ!継晴様、拙者をそれほどにまで買っていただけるとは…感無量にございます!」
景綱の目には涙がうっすらと流れていた。
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