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第7章 天下分け目の大決戦編
26.信常の葛藤
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創栄大神の謁見は、何事も無く円滑に進んだ。
そして数日後、祐藤は信常を呼び出して幕府へ向けての作戦会議を行っていた。
祐藤
「先日、大神様より幕府への攻撃のお許しをいただいた。信常の発明した物がいよいよ使われることになろうぞ。」
信常
「はっ、拙者も準備は万端にございます。それでは、我が息子の守常と共に実行に向けて動きますぞ。」
信常がそう言うと、側にいた一人の若き青年が口を開いた。
・九条 守常(くじょう もりつね)
信常の嫡男。
母は村上島(現在の志栄島)の村娘であったとされる。
幼少期より発明に興味を示し、自身もまた発明家を目指して修行中の身である。
三浦幕府が発令したお触れの期限日頃に元服を済ませ、志太家の家臣となる。
守常
「九条信常が嫡男、守常にございます。」
守常は改まった様子で祐藤にそう言った。
祐藤
「お主の父上の信常にも劣らぬ力、この志太家で存分に発揮されるが良い。期待しておるぞ。」
守常
「ははっ、世の為となる発明品を世に出すのが拙者の使命。これからも日々邁進してまいります!」
守常は意気揚々としてそう答えた。
そしてしばらく間を置いた後、信常が神妙な顔つきで祐藤に対して言った。
信常
「しかし祐藤様、本当にこの作戦を遂行されるのですか…」
祐藤
「うむ、お主にかような発明をさせておいて真に身勝手ではござるが、この作戦を辞めてしまうべきであろうか儂も散々悩んでおったわ。」
信常
「左様にございますか…実は、拙者も殿と同じ考えにございました。この発明の完成によって、その犠牲として多くの物を失うこととなりましょうぞ…」
どうやら今回の作戦は、余りにも大きな犠牲を払う事になりそうだという。
それ故に、祐藤と信常も作戦を中止すべきでは無いであろうかという葛藤があったようだ。
すると祐藤は、自身や信常に対して言い聞かせるように口を開いた。
祐藤
「分かっておる。じゃが、この乱世を収める為には多くの犠牲を払わねばならぬ。その覚悟が無ければいつまで経っても泰平の世は訪れぬ…それ故、我らが動くしか無いのじゃ…」
信常
「覚悟、にございますか…」
祐藤
「そうじゃ、その覚悟がある者がこの戦乱の世を終わらせることができるであろう。儂はそう信じておる。」
乱世を収める為の犠牲。
これは、志太家による幕府の攻撃行為を正当化する為の口実と言っても良いであろう。
さらに、国の最高権威者とも言える大神からもその許しを得ている。
これらの事からも志太家の行為は、もはや正義であるという風潮になりつつあった。
それからややあって、信常は心配そうな顔つきで守常に言った。
信常
「守常よ、我らが発明した物を決して敵方に渡らせてはならぬぞ。」
信常は、今回の発明品が他の大名家の手に渡る事を恐れていた。
その様子から、相当な影響を及ぼすものである事を守常に改めて理解させようとしていた。
守常
「ご安心くださいませ父上。志太家の家臣となったこの守常、たとえこの身が滅びようとも必ず発明品は守り通します!」
守常は、自信満々な表情でそう言い放った。
信常
「頼もしいことを申してくれるわ。では、くれぐれも頼んだぞ。」
先程までは不安を覚えてはいた信常ではあったが、守常の威勢の良い返事によってその不安は打ち消されていた。
そして数日後、祐藤は信常を呼び出して幕府へ向けての作戦会議を行っていた。
祐藤
「先日、大神様より幕府への攻撃のお許しをいただいた。信常の発明した物がいよいよ使われることになろうぞ。」
信常
「はっ、拙者も準備は万端にございます。それでは、我が息子の守常と共に実行に向けて動きますぞ。」
信常がそう言うと、側にいた一人の若き青年が口を開いた。
・九条 守常(くじょう もりつね)
信常の嫡男。
母は村上島(現在の志栄島)の村娘であったとされる。
幼少期より発明に興味を示し、自身もまた発明家を目指して修行中の身である。
三浦幕府が発令したお触れの期限日頃に元服を済ませ、志太家の家臣となる。
守常
「九条信常が嫡男、守常にございます。」
守常は改まった様子で祐藤にそう言った。
祐藤
「お主の父上の信常にも劣らぬ力、この志太家で存分に発揮されるが良い。期待しておるぞ。」
守常
「ははっ、世の為となる発明品を世に出すのが拙者の使命。これからも日々邁進してまいります!」
守常は意気揚々としてそう答えた。
そしてしばらく間を置いた後、信常が神妙な顔つきで祐藤に対して言った。
信常
「しかし祐藤様、本当にこの作戦を遂行されるのですか…」
祐藤
「うむ、お主にかような発明をさせておいて真に身勝手ではござるが、この作戦を辞めてしまうべきであろうか儂も散々悩んでおったわ。」
信常
「左様にございますか…実は、拙者も殿と同じ考えにございました。この発明の完成によって、その犠牲として多くの物を失うこととなりましょうぞ…」
どうやら今回の作戦は、余りにも大きな犠牲を払う事になりそうだという。
それ故に、祐藤と信常も作戦を中止すべきでは無いであろうかという葛藤があったようだ。
すると祐藤は、自身や信常に対して言い聞かせるように口を開いた。
祐藤
「分かっておる。じゃが、この乱世を収める為には多くの犠牲を払わねばならぬ。その覚悟が無ければいつまで経っても泰平の世は訪れぬ…それ故、我らが動くしか無いのじゃ…」
信常
「覚悟、にございますか…」
祐藤
「そうじゃ、その覚悟がある者がこの戦乱の世を終わらせることができるであろう。儂はそう信じておる。」
乱世を収める為の犠牲。
これは、志太家による幕府の攻撃行為を正当化する為の口実と言っても良いであろう。
さらに、国の最高権威者とも言える大神からもその許しを得ている。
これらの事からも志太家の行為は、もはや正義であるという風潮になりつつあった。
それからややあって、信常は心配そうな顔つきで守常に言った。
信常
「守常よ、我らが発明した物を決して敵方に渡らせてはならぬぞ。」
信常は、今回の発明品が他の大名家の手に渡る事を恐れていた。
その様子から、相当な影響を及ぼすものである事を守常に改めて理解させようとしていた。
守常
「ご安心くださいませ父上。志太家の家臣となったこの守常、たとえこの身が滅びようとも必ず発明品は守り通します!」
守常は、自信満々な表情でそう言い放った。
信常
「頼もしいことを申してくれるわ。では、くれぐれも頼んだぞ。」
先程までは不安を覚えてはいた信常ではあったが、守常の威勢の良い返事によってその不安は打ち消されていた。
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