250 / 549
第7章 天下分け目の大決戦編
24.創栄大神
しおりを挟む
祐藤らは壮鳴の案内によって創天御所の中へと入って行った。
やがて謁見の間に通された祐藤らは、なんとも言えぬ神々しい雰囲気に圧倒された様子であった。
謁見の間には、真っ白な袴姿の人物が座っていた。
その人物は、祐藤らの顔を見るやいなや即座に口を開いた。
創栄
「朕が大神の創栄である。」
創栄は、祐藤の嫡男である祐宗ほどの歳の言わば青年であった。
しかし全てが白髪という風貌もあってか、実際の年齢よりも随分と老いて見られたという。
各地で戦乱が相次ぐこの時代、大神としての気苦労が絶えなかった為であろうか。
祐藤
「拙者、志太家 大名 志太祐藤にございます。」
祐藤は畏まった様子でそう言った。
それに続いて貞勝と祐宗も創栄に対して畏まりながら名を名乗った。
その後、一息ついて創栄が言った。
創栄
「して、志太殿よ。こたびの用件は何であるか。」
祐藤
「ははっ、将軍家である三浦家についてでございますが…」
祐藤は、非常に気まずそうに言葉を詰まらせながら創栄に言っていた。
創栄
「ふむ、三浦殿か…良かろう、申してみよ。」
祐藤は、昨今の戦乱の情勢において三浦将軍家の存在意義に疑問を感じているなどと言った内容を創栄に伝えていた。
さらに、強引な外交手段で各国の大名家に対して露骨な圧力をかけ始めた事で犠牲となった大名たちが多く存在するという事も説明。
こうした無理矢理とも言える政を決行する幕府を黙って見過ごす事は、創天国としても良いものでは無いであろう。
それ故に、最終的には将軍家を任命している大神が三浦家への対応をお願いしたい、と述べた。
すると、創栄からは思いも寄らない回答が返ってきた。
創栄
「うむ、実は朕もそなたと同じ考えじゃ。しかし、三浦家は我が先祖である創武大神の頃より仕えし家柄。それ故、朕がかような判断を下しても良きものか悩んでおる…」
創栄は、自身の先祖の代から繋がりがあった三浦家に対して処断を下す事が憚られている様子であった。
その様子を見た祐藤がすかさず口を開いた。
祐藤
「三浦家は、縁戚関係にあられた大月家をつい先日、滅亡へと追いやるなどといった暴挙に出られました。将軍家ともあろう御家が身内の者を蔑むなど、あってはならぬことに存じます。」
そして貞勝も間髪入れずに創栄に対して言った。
貞勝
「将軍家によるかような愚かな行為など断じて許すことはできませぬ。こたびの一連の将軍家の動きは、大神様の御顔に泥を塗るような不敬行為であると我らは考えております。」
祐藤は、先日に将軍家が下した大月家への処断を引き合いに出していた。
将軍家という武家の頂点に立つべき存在の者が平気で身内の家を滅ぼすなどあってはならぬ事だ。
ましてや大神様より任命を受けた将軍家がこのような暴挙に出るなど言語道断である、と。
すると創栄は深くうなずいた後に言った。
創栄
「確かに、今の将軍家である三浦殿は目に余る。古くより、盛者必衰という言葉がある。どうやら三浦殿も衰え滅びる運命やも知れぬな…」
創栄は、三浦将軍家が滅びる事も致し方ない事なのであろうかと考え始めていた。
その様子を見た祐宗がすかさず口を開いた。
祐宗
「大神様、拙者のような若造が申すのは真に失礼ではありますが、三浦家はこの乱世であろうとも将軍家であることにただ胡座をかき続けておられた故、当然の結果ではございませぬか。」
祐宗は将軍家に対しての批判をここぞとばかりに述べた。
それは、他の大名たちが思っているであろう本音を代弁するかのようであった。
すると創栄は、祐宗をじっと見つめてしばらく間を置いた後に口を開いた。
創栄
「いや、そなたの申す通りじゃ。やはり、将軍家としての務めを全うせんかった三浦殿に非があろう。」
どうやら大神である創栄もまた、思いは同じであった。
すると、思い立った表情をした創栄が祐藤たちに対して言った。
創栄
「良かろう、三浦幕府の倒幕を許そうではないか。その後には志太殿、そなたの家が将軍を務めるが良い。朕は志太殿を期待しておるぞ。」
祐藤
「ははっ、大神様よりかようなお言葉をいただけるなど真に有り難き幸せにございます。」
祐藤は頭を深々と下げ、感謝の言葉を述べていた。
やがて謁見の間に通された祐藤らは、なんとも言えぬ神々しい雰囲気に圧倒された様子であった。
謁見の間には、真っ白な袴姿の人物が座っていた。
その人物は、祐藤らの顔を見るやいなや即座に口を開いた。
創栄
「朕が大神の創栄である。」
創栄は、祐藤の嫡男である祐宗ほどの歳の言わば青年であった。
しかし全てが白髪という風貌もあってか、実際の年齢よりも随分と老いて見られたという。
各地で戦乱が相次ぐこの時代、大神としての気苦労が絶えなかった為であろうか。
祐藤
「拙者、志太家 大名 志太祐藤にございます。」
祐藤は畏まった様子でそう言った。
それに続いて貞勝と祐宗も創栄に対して畏まりながら名を名乗った。
その後、一息ついて創栄が言った。
創栄
「して、志太殿よ。こたびの用件は何であるか。」
祐藤
「ははっ、将軍家である三浦家についてでございますが…」
祐藤は、非常に気まずそうに言葉を詰まらせながら創栄に言っていた。
創栄
「ふむ、三浦殿か…良かろう、申してみよ。」
祐藤は、昨今の戦乱の情勢において三浦将軍家の存在意義に疑問を感じているなどと言った内容を創栄に伝えていた。
さらに、強引な外交手段で各国の大名家に対して露骨な圧力をかけ始めた事で犠牲となった大名たちが多く存在するという事も説明。
こうした無理矢理とも言える政を決行する幕府を黙って見過ごす事は、創天国としても良いものでは無いであろう。
それ故に、最終的には将軍家を任命している大神が三浦家への対応をお願いしたい、と述べた。
すると、創栄からは思いも寄らない回答が返ってきた。
創栄
「うむ、実は朕もそなたと同じ考えじゃ。しかし、三浦家は我が先祖である創武大神の頃より仕えし家柄。それ故、朕がかような判断を下しても良きものか悩んでおる…」
創栄は、自身の先祖の代から繋がりがあった三浦家に対して処断を下す事が憚られている様子であった。
その様子を見た祐藤がすかさず口を開いた。
祐藤
「三浦家は、縁戚関係にあられた大月家をつい先日、滅亡へと追いやるなどといった暴挙に出られました。将軍家ともあろう御家が身内の者を蔑むなど、あってはならぬことに存じます。」
そして貞勝も間髪入れずに創栄に対して言った。
貞勝
「将軍家によるかような愚かな行為など断じて許すことはできませぬ。こたびの一連の将軍家の動きは、大神様の御顔に泥を塗るような不敬行為であると我らは考えております。」
祐藤は、先日に将軍家が下した大月家への処断を引き合いに出していた。
将軍家という武家の頂点に立つべき存在の者が平気で身内の家を滅ぼすなどあってはならぬ事だ。
ましてや大神様より任命を受けた将軍家がこのような暴挙に出るなど言語道断である、と。
すると創栄は深くうなずいた後に言った。
創栄
「確かに、今の将軍家である三浦殿は目に余る。古くより、盛者必衰という言葉がある。どうやら三浦殿も衰え滅びる運命やも知れぬな…」
創栄は、三浦将軍家が滅びる事も致し方ない事なのであろうかと考え始めていた。
その様子を見た祐宗がすかさず口を開いた。
祐宗
「大神様、拙者のような若造が申すのは真に失礼ではありますが、三浦家はこの乱世であろうとも将軍家であることにただ胡座をかき続けておられた故、当然の結果ではございませぬか。」
祐宗は将軍家に対しての批判をここぞとばかりに述べた。
それは、他の大名たちが思っているであろう本音を代弁するかのようであった。
すると創栄は、祐宗をじっと見つめてしばらく間を置いた後に口を開いた。
創栄
「いや、そなたの申す通りじゃ。やはり、将軍家としての務めを全うせんかった三浦殿に非があろう。」
どうやら大神である創栄もまた、思いは同じであった。
すると、思い立った表情をした創栄が祐藤たちに対して言った。
創栄
「良かろう、三浦幕府の倒幕を許そうではないか。その後には志太殿、そなたの家が将軍を務めるが良い。朕は志太殿を期待しておるぞ。」
祐藤
「ははっ、大神様よりかようなお言葉をいただけるなど真に有り難き幸せにございます。」
祐藤は頭を深々と下げ、感謝の言葉を述べていた。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
隻眼の覇者・伊達政宗転生~殺された歴史教師は伊達政宗に転生し、天下統一を志す~
髙橋朔也
ファンタジー
高校で歴史の教師をしていた俺は、同じ職場の教師によって殺されて死後に女神と出会う。転生の権利を与えられ、伊達政宗に逆行転生。伊達政宗による天下統一を実現させるため、父・輝宗からの信頼度を上げてまずは伊達家の家督を継ぐ!
戦国時代の医療にも目を向けて、身につけた薬学知識で生存率向上も目指し、果ては独眼竜と渾名される。
持ち前の歴史知識を使い、人を救い、信頼度を上げ、時には戦を勝利に導く。
推理と歴史が混ざっています。基本的な内容は史実に忠実です。一話が2000文字程度なので片手間に読めて、読みやすいと思います。これさえ読めば伊達政宗については大体理解出来ると思います。
※毎日投稿。
※歴史上に存在しない人物も登場しています。
小説家になろう、カクヨムでも本作を投稿しております。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
日は沈まず
ミリタリー好きの人
歴史・時代
1929年世界恐慌により大日本帝國も含め世界は大恐慌に陥る。これに対し大日本帝國は満州事変で満州を勢力圏に置き、積極的に工場や造船所などを建造し、経済再建と大幅な軍備拡張に成功する。そして1937年大日本帝國は志那事変をきっかけに戦争の道に走っていくことになる。当初、帝國軍は順調に進撃していたが、英米の援蔣ルートによる援助と和平の断念により戦争は泥沼化していくことになった。さらに1941年には英米とも戦争は避けられなくなっていた・・・あくまでも趣味の範囲での制作です。なので文章がおかしい場合もあります。
また参考資料も乏しいので設定がおかしい場合がありますがご了承ください。また、おかしな部分を次々に直していくので最初見た時から内容がかなり変わっている場合がありますので何か前の話と一致していないところがあった場合前の話を見直して見てください。おかしなところがあったら感想でお伝えしてもらえると幸いです。表紙は自作です。
16世紀のオデュッセイア
尾方佐羽
歴史・時代
【第12章を週1回程度更新します】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。
12章では16世紀後半のヨーロッパが舞台になります。
※このお話は史実を参考にしたフィクションです。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
墨山事件
佐村孫千(サムラ マゴセン)
ミステリー
舞台は架空世界の現代。
とある地方で謎の集団失踪事件が発生。
それから四十数年の時が過ぎたが未だ真相解明には至っていない。
この未解決事件を解決すべく一人の若き探偵が立ち上がった...。
※
この物語は、ネットの都市伝説である「鮫島事件」をモチーフに作者が独自のオリジナル要素を加えて執筆した作品です。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる