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第7章 天下分け目の大決戦編
20.大月か幕府か
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国米の戦いで大敗を喫した志太軍は、早々に家臣たちを集めて評定が開かれていた。
祐藤
「こたびの堀内軍との戦いであるが、皆無事に帰還できたようで何よりじゃ。」
まず祐藤は、今回の戦において命からがら全員が無事に逃げ帰られた事に対して安心した様子であった。
そして続けて祐藤が言った。
祐藤
「今後は幕府軍との戦いが常について回るであろう。それについて、皆の意見を聞かせてもらいたい。」
これに対し、崇数が口を開いた。
崇数
「元はと申せば長包の裏切りが全ての元凶。それ故、早急に大月家は潰しておくべきかと存じます。」
先の戦いにおいて幕府軍に寝返った裏切り者である長包に対し、その報いを早急に受けさせるべきであると崇数は考えていたようである。
さらにこれに対して崇冬も意見を述べ始めた。
崇冬
「拙者も父上に同じにございます。桐丘島は我ら口羽領の隣国である故、次は確実に仕留めて見せましょうぞ。」
桐丘島は、口羽家の領土である志栄島のすぐ隣に位置している。
その地理的条件から見ても、口羽家が総力をあげて桐丘島を攻撃すれば幕府軍の援軍なども物ともしないであろう。
自信に満ち溢れた表情で崇冬はそう言っていた。
祐藤
「なるほど、大月軍を先に攻め滅ぼせと申すか。確かに裏切り者は捨て置けぬ存在ではあるな。」
武力によって攻撃を仕掛けられた者には、その痛みが癒える前にこちらも武力を持って徹底的に追い込みをかける。
目には目を歯には歯を、と言った内容であろうか。
一族に武闘派の人間が多い口羽家らしい意見であった。
すると、祐藤は少し間を置いた後に祐宗へ視線を向けて言った。
祐藤
「さぁ、時に祐宗よ。お前はどう思っておるのじゃ?申してみよ。」
祐藤は、祐宗に対して意見を述べるように促していた。
すると祐宗は、迷う事無くすかさず口を開いた。
祐宗
「はっ、長包はこたびの戦において我らを仕留め損ねるという失態を犯した故、将軍家から何らかのお咎めがございましょう。従って、放っておけば勝手に自滅するかと思われます。」
幕府軍は、大月家による陣中での突然の寝返りという不意打ちを利用すれば、ほぼ確実に祐藤らの命を狙えるであろうと読んでいたであろう。
しかし、政豊の援軍という予期せぬ事態が発生した事で大月軍は苦戦を強いられ、計画は失敗に終わってしまう。
こうした長包の失態によって幕府軍の面子は丸潰れとなった事に継晴は黙ってはいないはず。
近々にでもその代償を長包は払う事となるであろう。
祐宗は、今回の件を冷静に分析していたようである。
祐藤
「うむ、儂も同じ考えじゃ。よう言うた、祐宗よ。流石は儂の跡継ぎであるな。」
祐藤もまた、祐宗と同じ分析をしていたようであった。
この一件で祐藤は、祐宗を後継者として心から認めるようになったという。
祐藤
「大月家は儂らが直接手を下さなくとも勝手に滅びるであろう。よって、我らが今戦うべき相手は幕府であることを忘れるでないぞ。」
祐藤が今回の評定を開いた本当の目的。
それは、幕府と全面的に戦うといった決意を家臣たちに固めさせる為であった。
祐藤
「それに、幕府が長包を処断する方がこちらにとっても後々に良い話になるのじゃからな。」
祐藤は、意味ありげな事を呟いていた。
祐藤
「こたびの堀内軍との戦いであるが、皆無事に帰還できたようで何よりじゃ。」
まず祐藤は、今回の戦において命からがら全員が無事に逃げ帰られた事に対して安心した様子であった。
そして続けて祐藤が言った。
祐藤
「今後は幕府軍との戦いが常について回るであろう。それについて、皆の意見を聞かせてもらいたい。」
これに対し、崇数が口を開いた。
崇数
「元はと申せば長包の裏切りが全ての元凶。それ故、早急に大月家は潰しておくべきかと存じます。」
先の戦いにおいて幕府軍に寝返った裏切り者である長包に対し、その報いを早急に受けさせるべきであると崇数は考えていたようである。
さらにこれに対して崇冬も意見を述べ始めた。
崇冬
「拙者も父上に同じにございます。桐丘島は我ら口羽領の隣国である故、次は確実に仕留めて見せましょうぞ。」
桐丘島は、口羽家の領土である志栄島のすぐ隣に位置している。
その地理的条件から見ても、口羽家が総力をあげて桐丘島を攻撃すれば幕府軍の援軍なども物ともしないであろう。
自信に満ち溢れた表情で崇冬はそう言っていた。
祐藤
「なるほど、大月軍を先に攻め滅ぼせと申すか。確かに裏切り者は捨て置けぬ存在ではあるな。」
武力によって攻撃を仕掛けられた者には、その痛みが癒える前にこちらも武力を持って徹底的に追い込みをかける。
目には目を歯には歯を、と言った内容であろうか。
一族に武闘派の人間が多い口羽家らしい意見であった。
すると、祐藤は少し間を置いた後に祐宗へ視線を向けて言った。
祐藤
「さぁ、時に祐宗よ。お前はどう思っておるのじゃ?申してみよ。」
祐藤は、祐宗に対して意見を述べるように促していた。
すると祐宗は、迷う事無くすかさず口を開いた。
祐宗
「はっ、長包はこたびの戦において我らを仕留め損ねるという失態を犯した故、将軍家から何らかのお咎めがございましょう。従って、放っておけば勝手に自滅するかと思われます。」
幕府軍は、大月家による陣中での突然の寝返りという不意打ちを利用すれば、ほぼ確実に祐藤らの命を狙えるであろうと読んでいたであろう。
しかし、政豊の援軍という予期せぬ事態が発生した事で大月軍は苦戦を強いられ、計画は失敗に終わってしまう。
こうした長包の失態によって幕府軍の面子は丸潰れとなった事に継晴は黙ってはいないはず。
近々にでもその代償を長包は払う事となるであろう。
祐宗は、今回の件を冷静に分析していたようである。
祐藤
「うむ、儂も同じ考えじゃ。よう言うた、祐宗よ。流石は儂の跡継ぎであるな。」
祐藤もまた、祐宗と同じ分析をしていたようであった。
この一件で祐藤は、祐宗を後継者として心から認めるようになったという。
祐藤
「大月家は儂らが直接手を下さなくとも勝手に滅びるであろう。よって、我らが今戦うべき相手は幕府であることを忘れるでないぞ。」
祐藤が今回の評定を開いた本当の目的。
それは、幕府と全面的に戦うといった決意を家臣たちに固めさせる為であった。
祐藤
「それに、幕府が長包を処断する方がこちらにとっても後々に良い話になるのじゃからな。」
祐藤は、意味ありげな事を呟いていた。
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