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第6章 風雲志太家編
74.将軍の弔い
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将軍である三浦祐晴が死去してから数日が経ち、葬儀当日となった。
将軍家の使者による参列依頼を受けた各国の大名たちが三浦宮御所に集まっていた。
祐藤もその中の一人であった。
御所内では、親交が深い大名同士や険悪な関係の大名同士などが集まった事もあり、何とも異様な空気であったという。
やがて、一人の男が参列者である大名たちの前に立ち、口を開いた。
「これより、十三代将軍 三浦祐晴様のご葬儀を始めさせていただきます。拙者、黒松義政が僭越ながら当葬儀を進めて参ります故、本日はよろしくお願い申す。」
・黒松 義政(くろまつ よしまさ)
三浦将軍家家臣。
黒松家は、三浦家が将軍家として君臨する以前より代々仕えていた譜代衆である。
義政は、祐晴の前将軍である秀晴が就任したほぼ同時期に黒松家の家督を相続し、二代に渡って将軍家を支えていた。
政務や外交の才能に長けていたとされており、事実三浦将軍家の権威が衰えつつある今日においてまで各国による目立った反発などが無かったという背景には、義政が存在していたからであるという見解がなされる。
また、前将軍の頃より仕えていたという事でかなりの高齢であるが、現在もなお野心に燃えている。
・三浦 秀晴(みうら ひではる)
祐晴の父で第十二代 三浦幕府将軍。
前将軍の逝去を受け、弱冠八歳という若さで将軍に就任する。
その際に、黒松家の当主である義政が将軍補佐役として選ばれる。
やがて秀晴が元服すると、各国に対して睨みを利かせるべく外交手段に出るが失敗に終わる。
この事が元となり各国での紛争が相次ぎ、やがて激しい戦国の世へ突入するきっかけを作ったとされる。
そして秀晴は戦乱の世の中で病死する事となり、三浦将軍家による権威の復興は叶わなかった。
祐藤
「三浦祐晴将軍殿のご逝去、将軍守護職 志太家 志太祐藤がお悔やみ申し上げます。」
義政に続いて祐藤はそう言った。
義政
「お悔やみの御言葉をいただき、真に有難きことにございます。祐晴様も喜ばれておられることにございましょう。」
さらに、一人の大名が義政に対して口を開いた。
桐丘島を治める大月長包であった。
長包
「拙者も桐丘の地より参列させていただきました。」
義政
「むぅ、そなたは確か…大月殿でござったかな。」
義政は、長包の顔を見て思い出したように言った。
長包
「ははっ。祐晴様が将軍としてご就任なされた時は、大変な御無礼を致しましたことを深くお詫び申すと共に、祐晴様のご平安をお祈り申し上げます。」
長包は、祐晴の将軍就任式に無断で欠席を行っていた事を詫びていた。
義政
「長包殿は、今では将軍守護職の祐藤殿を支えるべく政務を全うしておられると聞きます。かようなお姿を祐晴様が見られれば、必ずやお許しになられているかと思いますぞ。」
義政は、祐藤の元で家臣としての役目をこなしている長包に対し、寛大な対応をとっていた。
これは、将軍家の遠縁とされている大月家に対して少なからずの配慮があったとも言われている。
長包
「ははっ。お心遣い、感謝申し上げます。」
長包は、義政に対して深く感謝している様子であった。
こうして他の大名家が参列する中、祐晴の葬儀は終わった。
大名たちは、それぞれの国への帰路についていった。
祐藤も自国の志天城へ戻り、無事に先程帰還したようである。
天守に戻った祐藤は、ひと息ついた後に一人つぶやいた。
祐藤
「もしかすると、儂が生きておる間に天下統一は出来ぬかも知れぬな…」
将軍家の使者による参列依頼を受けた各国の大名たちが三浦宮御所に集まっていた。
祐藤もその中の一人であった。
御所内では、親交が深い大名同士や険悪な関係の大名同士などが集まった事もあり、何とも異様な空気であったという。
やがて、一人の男が参列者である大名たちの前に立ち、口を開いた。
「これより、十三代将軍 三浦祐晴様のご葬儀を始めさせていただきます。拙者、黒松義政が僭越ながら当葬儀を進めて参ります故、本日はよろしくお願い申す。」
・黒松 義政(くろまつ よしまさ)
三浦将軍家家臣。
黒松家は、三浦家が将軍家として君臨する以前より代々仕えていた譜代衆である。
義政は、祐晴の前将軍である秀晴が就任したほぼ同時期に黒松家の家督を相続し、二代に渡って将軍家を支えていた。
政務や外交の才能に長けていたとされており、事実三浦将軍家の権威が衰えつつある今日においてまで各国による目立った反発などが無かったという背景には、義政が存在していたからであるという見解がなされる。
また、前将軍の頃より仕えていたという事でかなりの高齢であるが、現在もなお野心に燃えている。
・三浦 秀晴(みうら ひではる)
祐晴の父で第十二代 三浦幕府将軍。
前将軍の逝去を受け、弱冠八歳という若さで将軍に就任する。
その際に、黒松家の当主である義政が将軍補佐役として選ばれる。
やがて秀晴が元服すると、各国に対して睨みを利かせるべく外交手段に出るが失敗に終わる。
この事が元となり各国での紛争が相次ぎ、やがて激しい戦国の世へ突入するきっかけを作ったとされる。
そして秀晴は戦乱の世の中で病死する事となり、三浦将軍家による権威の復興は叶わなかった。
祐藤
「三浦祐晴将軍殿のご逝去、将軍守護職 志太家 志太祐藤がお悔やみ申し上げます。」
義政に続いて祐藤はそう言った。
義政
「お悔やみの御言葉をいただき、真に有難きことにございます。祐晴様も喜ばれておられることにございましょう。」
さらに、一人の大名が義政に対して口を開いた。
桐丘島を治める大月長包であった。
長包
「拙者も桐丘の地より参列させていただきました。」
義政
「むぅ、そなたは確か…大月殿でござったかな。」
義政は、長包の顔を見て思い出したように言った。
長包
「ははっ。祐晴様が将軍としてご就任なされた時は、大変な御無礼を致しましたことを深くお詫び申すと共に、祐晴様のご平安をお祈り申し上げます。」
長包は、祐晴の将軍就任式に無断で欠席を行っていた事を詫びていた。
義政
「長包殿は、今では将軍守護職の祐藤殿を支えるべく政務を全うしておられると聞きます。かようなお姿を祐晴様が見られれば、必ずやお許しになられているかと思いますぞ。」
義政は、祐藤の元で家臣としての役目をこなしている長包に対し、寛大な対応をとっていた。
これは、将軍家の遠縁とされている大月家に対して少なからずの配慮があったとも言われている。
長包
「ははっ。お心遣い、感謝申し上げます。」
長包は、義政に対して深く感謝している様子であった。
こうして他の大名家が参列する中、祐晴の葬儀は終わった。
大名たちは、それぞれの国への帰路についていった。
祐藤も自国の志天城へ戻り、無事に先程帰還したようである。
天守に戻った祐藤は、ひと息ついた後に一人つぶやいた。
祐藤
「もしかすると、儂が生きておる間に天下統一は出来ぬかも知れぬな…」
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