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第6章 風雲志太家編

69.柳城攻め(16)

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柳城では祐藤と崇数の軍勢が柊軍による攻撃に手を焼いていた 。
そんな中、二人の武将が軍勢を率いて志太軍と合流。

その二人の武将は、祐藤の嫡男である志太祐宗と庶子の志太祐永であった。

祐宗
「志太祐藤が嫡男、志太祐宗にござる。当家の危機をお救い致すべく駆け付けた次第にございます。」

祐永
「拙者は祐宗が弟、志太祐永にござる。我らがこの柊軍を蹴散らして見せましょう。」

二人は志太軍の前でそれぞれが口上を述べていた。

祐藤
「お前たちよ、よくぞ来てくれた。さぁさぁ、早うこの柳城を共に攻め落としに参ろうぞ。」

祐藤は援軍として軍勢に合流した祐宗と祐永を大歓迎していた。
合流した軍勢は、合わせて約2,000名ほどいたと言われている。

崇数
「これはこれは、何とも頼もしい援軍ではござらぬか。これほどの人数を持ってすれば柳城も落とせましょうぞ。」

崇数は、新たに増員した祐宗と祐永の率いる大勢の軍勢を見てそう言った。
兵たちは皆が活き活きした表情であり、まるで獲物を捕らえんとする獣のような闘争心を崇数は感じていた。

一方、天守では実幸がその様子に気付いていた。

実幸
「晴清様、どうやら志太軍に援軍が到着したようにございますぞ。何やら祐藤の子と申す者どもが兵を束ねておるようです。」

晴清
「何じゃと?援軍とな?えぇい、こざかしい奴らめ。貴様らが何人束になろうとも我が軍は一歩も退かぬぞ。」

晴清は実幸の報告を物ともせず、一貫して軍の士気を保つべくどっしりと構えている様子であった。
しかし、現状では籠城している柊軍の兵たちにも疲れの色が出始めている。

晴清自身が弱気な態度を見せれば軍の士気はたちまち下がるであろう。
そうした事もあってか晴清は表面では平静を保ってはいたが、内心は不安に感じているようであった。

やがて城外では祐永が口火を切るように口を開いた。

祐永
「では、早速ですが我らも参りましょう。兄者、ここはお先に行かせていただきますぞ。」

そう言うと祐永は果敢にも柊軍の兵たちに向けて突撃を開始した。
非常に恵まれた六尺五寸ほどもあろう体型に甲冑を纏ったその姿は、たいそう勇ましく見えた。

祐宗
「やれやれ、祐永は相変わらず勇敢な奴よのう。拙者も見習わねばならぬな。」

祐宗は間髪入れずに敵軍へ突撃する祐永を見てそう言った。
同時に、そんな勇猛果敢な祐永を祐宗は頼もしく思っていた。

祐藤
「よし、儂らも祐永の後に続くぞ!皆の者よ、遅れを取るでないぞ!」

祐藤の号令により、再び志太軍は柊軍への攻撃を開始した。
祐宗と祐永という援軍を得たおかげもあり、兵たちの士気は上昇していた。

やがて柊軍に押されていた志太軍は徐々に体勢を立て直し、ついには立場が逆転するまでに至った。
志太軍が柊軍を圧倒する形となり、次々と柳城の城内は志太軍の手に落ちていったのである。

実幸
「晴清様、我が軍が…我が軍が次々と志太軍の攻撃を受けておりますぞ。」

実幸は柊軍の兵たちが次々とやられていく様子に焦り始めていた。

晴清
「くそっ、真に根性の無き奴らめ。かくなる上は拙者らが直々に討って出て士気を立て直すのじゃ!」

晴清は最終手段として、総大将である自らが応戦すべく立ち上がった。

幸晴
「ははっ、拙者 柳幸晴も父上と共に戦いましょうぞ。」

晴清の嫡男である幸晴もそんな父を見て声を上げた。
だが戦の経験が皆無に等しい事もあってか、緊張の余りに幸晴の体は震えているようであった。

実幸
「承知致しました。ここは何としてでも我らで持ち堪えて志太軍を参らせましょうぞ。」

晴清
「志太軍との決着をつけるは今ぞ。者ども、突撃するのじゃ!」

三人は天守を飛び出して行った。
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