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第6章 風雲志太家編

67.柳城攻め(14)

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一方、柳城では祐藤と崇数が奮闘していた。
戦況は共に一進一退の状態が続いていたが、次第に籠城を続けている柊軍が優勢となっていた。

晴清
「どうした祐藤、拙者の首を取るのでは無かったのか?早う取りに来るが良い、この腑抜けが。」

晴清は相変わらず志太軍に対して挑発の態度を見せていた。

崇数
「うむぅ、晴清めが…調子に乗りおってからに…」

崇数は、思い通りに軍勢が進まない状況にもどかしさを感じていた。

祐藤
「崇数殿、かような挑発には決して乗るでないぞ。先刻の晴清のように愚かな者にはなりたくは無いじゃろう?」

祐藤はそんな崇数に対して戒めるようにそう言っていた。

そんな中、祐藤の元に一人の伝令がやって来た。
よほど大急ぎで走って来たのであろうか、伝令は息を切らせた様子であった。
やがて一息ついた伝令が、祐藤に対して口を開いた。

伝令
「祐藤様!申し上げます。秋庭家春殿らの軍勢は先程に口羽崇冬殿の援軍と共に監獄を制圧いたしました!」

祐藤
「ほう、秋庭殿らがついにやったか。して、人質たちは無事に解放されたのか?」

祐藤は、伝令に顔を近づけて目を見つめていた。

伝令
「はい、監獄に囚えられていた人質たちは全員が無事に解放されたとのことにございます。」

その報告を聞いた祐藤は、背筋をぴんと伸ばしていた。

祐藤
「よし、これでもう心配する事は何もござらん。」

崇数
「では、後は晴清の首を取るのみにございますな。」

続いて崇数も祐藤に対して興奮した様子でそう言った。

祐藤は、柊軍が不利となった際に人質を盾にされる事を恐れていた。
そうなれば恐らく晴清は人質の安全と引き換えに志太軍の撤退を求められ、柊軍の攻略は長期化するであろう。
しかし、今しがたの伝令による報告によってその不安は杞憂に終わった。

祐藤
「そうとあらばこの戦、我が軍が優勢である。崇数殿よ、もう遠慮はいらぬ故に思う存分戦って参られよ。」

実は祐藤は柳城を攻めるにあたって人質が利用される懸念を考慮してか、軍勢に対して力を弱めるように命令していたのである。
そうした事もあってか戦況は苦しいものであり、柊軍に押されつつある状態であった。

しかしその不安が無くなった今、軍勢は全力を出し切る事ができるようになったのである。

崇数
「ははっ、承知致しました。むぅ、腕が鳴りますわい。では参りますぞ!」

崇数は、祐藤の命令を聞くとすぐさまに馬を急発進させて突進を開始した。
その様子は、まるで水を得た魚のような勢いであった。

祐藤
「我が軍の勝利は目前である。皆も崇数殿に続くのじゃ!」

祐藤は声高らかに叫んでいた。
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