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第6章 風雲志太家編
60.柳城攻め(7)
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祐藤によって家春と晴正ら秋庭軍は、柳城の監獄において人質の救出作業を命じられた。
それを受け、家春たちは監獄へと兵を進めた。
ほどなくして軍勢は監獄に到着し、家春は腰にした刀を手にかけていた。
家春
「これより攻撃を開始いたす。皆の者よ、準備は良いな。では行くぞ!」
家春は刀を抜き、監獄の方向へ向けてそう言った。
晴正
「家春様に続かれよ、遅れを取るでないぞ!」
家春と晴正の号令により、兵たちは声をあげて攻撃を開始。
かくして、秋庭軍と柊軍との戦が開戦した。
すると、秋庭軍の周りを囲むように潜んでいた柊軍が一気に姿を現した。
どうやら晴清は監獄付近に伏兵を忍ばせていたようである。
姿を現した柊軍は皆が手にした弓を構え、こちらに向けて一斉に射撃を始めた。
一瞬にして矢の雨が秋庭軍を目掛けて降り注がれた。
この突然の攻撃を受け、秋庭軍では多数の負傷者が発生。
攻撃を始めて即座に思わぬ形で反撃を受けた秋庭軍は驚き、混乱状態に陥るかのように思えた。
しかし、家春はそのような状況であっても狼狽えることはなく、的確な指示を兵たちに与えようとしていた。
家春
「柊軍の伏兵じゃな。皆の者よ、落ち着かれよ!ここはひとまず身を防いで耐えるのじゃ!」
家春は大声でそう言うと、背中にかけていた盾を素早く前に出して降り注ぐ矢を弾き返した。
その様子を見た兵たちも、家春に続いて盾を取り出して身を防いでいた。
家春のこの判断により、柊軍による攻撃を最小限にまで抑える事ができたのであった。
晴正
「それにしても盾を用意されて本当に良かったですな。」
晴正は、次々と襲いかかる矢を盾で弾き返しながら家春にそう言った。
家春
「うむ、晴清はかような手段で我らに奇襲をかけると考えておった故に、今回の装備を選んだのが正解であったな。」
家春は、晴清が不意打ちという卑劣な戦法を仕掛けてくるであろうという事を見抜いていたようである。
秋庭家が柳家の配下に甘んじてからは、幸盛や晴清をはじめとする柳家の家臣たちの悪行を嫌というほど見せつけられていた。
理不尽な家臣への制裁から始まり、領民たちに向けての一方的な無礼討ちや人質への虐待。
など、とにかく悪行の限りを尽くしていたという。
いつ、その刃が己に向けられて滅ぼされるかも分からぬ恐怖に怯える日々を過ごした家春ではあったが、それらとは引き換えに彼らの動向を次第に伺い知れるまでに至ったようである。
身を守らねばならぬ状況であったが故に、人の心の内を読み取る能力がこの極限状態で研ぎ澄まされたようである。
まさに怪我の功名とも言うべき出来事であろうか。
やがて、柊軍による攻撃がぴたりと止んだ。
どうやら先程の奇襲で矢を全て射尽くしたようだ。
前に構えていた盾から顔を覗かせた家春は、その様子を素早く察知していた。
家春
「ふむ、どうやら敵は全ての矢を使い果たしたようじゃな。動くは今ぞ!皆の者よ、反撃を開始するのじゃ!」
そう言うと家春は構えていた盾を放り投げ、柊軍に向けて突撃を開始した。
それを受け、家春たちは監獄へと兵を進めた。
ほどなくして軍勢は監獄に到着し、家春は腰にした刀を手にかけていた。
家春
「これより攻撃を開始いたす。皆の者よ、準備は良いな。では行くぞ!」
家春は刀を抜き、監獄の方向へ向けてそう言った。
晴正
「家春様に続かれよ、遅れを取るでないぞ!」
家春と晴正の号令により、兵たちは声をあげて攻撃を開始。
かくして、秋庭軍と柊軍との戦が開戦した。
すると、秋庭軍の周りを囲むように潜んでいた柊軍が一気に姿を現した。
どうやら晴清は監獄付近に伏兵を忍ばせていたようである。
姿を現した柊軍は皆が手にした弓を構え、こちらに向けて一斉に射撃を始めた。
一瞬にして矢の雨が秋庭軍を目掛けて降り注がれた。
この突然の攻撃を受け、秋庭軍では多数の負傷者が発生。
攻撃を始めて即座に思わぬ形で反撃を受けた秋庭軍は驚き、混乱状態に陥るかのように思えた。
しかし、家春はそのような状況であっても狼狽えることはなく、的確な指示を兵たちに与えようとしていた。
家春
「柊軍の伏兵じゃな。皆の者よ、落ち着かれよ!ここはひとまず身を防いで耐えるのじゃ!」
家春は大声でそう言うと、背中にかけていた盾を素早く前に出して降り注ぐ矢を弾き返した。
その様子を見た兵たちも、家春に続いて盾を取り出して身を防いでいた。
家春のこの判断により、柊軍による攻撃を最小限にまで抑える事ができたのであった。
晴正
「それにしても盾を用意されて本当に良かったですな。」
晴正は、次々と襲いかかる矢を盾で弾き返しながら家春にそう言った。
家春
「うむ、晴清はかような手段で我らに奇襲をかけると考えておった故に、今回の装備を選んだのが正解であったな。」
家春は、晴清が不意打ちという卑劣な戦法を仕掛けてくるであろうという事を見抜いていたようである。
秋庭家が柳家の配下に甘んじてからは、幸盛や晴清をはじめとする柳家の家臣たちの悪行を嫌というほど見せつけられていた。
理不尽な家臣への制裁から始まり、領民たちに向けての一方的な無礼討ちや人質への虐待。
など、とにかく悪行の限りを尽くしていたという。
いつ、その刃が己に向けられて滅ぼされるかも分からぬ恐怖に怯える日々を過ごした家春ではあったが、それらとは引き換えに彼らの動向を次第に伺い知れるまでに至ったようである。
身を守らねばならぬ状況であったが故に、人の心の内を読み取る能力がこの極限状態で研ぎ澄まされたようである。
まさに怪我の功名とも言うべき出来事であろうか。
やがて、柊軍による攻撃がぴたりと止んだ。
どうやら先程の奇襲で矢を全て射尽くしたようだ。
前に構えていた盾から顔を覗かせた家春は、その様子を素早く察知していた。
家春
「ふむ、どうやら敵は全ての矢を使い果たしたようじゃな。動くは今ぞ!皆の者よ、反撃を開始するのじゃ!」
そう言うと家春は構えていた盾を放り投げ、柊軍に向けて突撃を開始した。
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