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第6章 風雲志太家編
58.柳城攻め(5)
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口羽崇数、崇冬親子の奮闘もあり、柳城より討って出た柊軍を見事に撃退。
柊軍は全軍柳城に退却し、籠城戦へと突入した。
突然の柊軍の退却により、城内は混乱している状態であった。
そんな中、天守では晴清と一人の若武者が場を構えていた。
その若武者は他でもない晴清の嫡男である大三郎である。
大三郎は、晴清が幸盛の跡を継いで大名となった直後に元服の儀を済ませており、父である晴清の「晴」から一字賜り幸晴(ゆきはる)を名乗った。
さらに姓を柊から柳に戻し、柳 幸晴(やなぎ ゆきはる)として柊家の武将となった。
晴清
「幸晴よ、ゆくゆくはお前が柳家を背負って立つ身である。しかしながら、この現状を打破せねば柳家としての先は無きものであるが故に、せいぜい励まれよ。」
幸晴
「ははっ、父上の仰せの通りに。この幸晴めが必ずや柳家を繁栄させる事を誓います故にご安心くだされ。」
晴清の言葉に対して幸晴は堂々たる態度でそう答えた。
幸晴は、祖父である幸盛の柳姓を名乗らせた事からもいかに柳家の存続にとって重要な存在であるということが伺える。
晴清
「おぉ、これは頼もしい事を申してくれよる。先代の幸盛様もさぞかし喜ばれておられるであろう。」
敵に城を攻められているというこの状況下ではあったが、幸晴の頼もしい言葉を聞いた晴清の目は希望に満ち溢れて輝いていた。
柳城の城門前では、志太・秋庭連合軍が集結。
間もなく総攻撃を仕掛けようとしていた。
祐藤
「崇数殿と崇冬殿からもあったように、柊軍は我らに投降する余地は無いと聞く。さすれば徹底的に柊軍を叩きのめす他に手は無いということじゃな。」
祐藤は残念そうな表情であった。
敵とは言え過剰な殺生を好まない性格である祐藤は、迷いが生じているようである。
そこで、先刻の戦いにおいて負傷した事で戦線を離脱した玄名が祐藤に対して口を開いた。
玄名
「殿、お待ちくだされ。どうか私にもう一度説得の機会を与えてはくださいませぬか。」
先程の失態を返上すべく、再度柊軍に対しての説得を行わせて欲しいと言う。
これは玄名自身が僧侶の身であるが故に、どんな事をしても洗脳に苦しめられている者を救いたいという強い思いからであろう。
祐藤
「分かり申した、今一度機会を与えようぞ。それではその時が来たら玄名殿、よろしく頼んだぞよ。」
祐藤は玄名のその言葉に対して望みを託していた。
玄名
「ははっ、次こそは兵たちをお救いできるよう全力で尽くします。」
玄名の眉間に巻かれた包帯は、血で赤く染まっていた。
包帯の中では兵に斬られた傷が生々しく残っている。
そのような状態であろうとも玄名は洗脳されている柊軍兵たちを案じている様子であった。
柊軍は全軍柳城に退却し、籠城戦へと突入した。
突然の柊軍の退却により、城内は混乱している状態であった。
そんな中、天守では晴清と一人の若武者が場を構えていた。
その若武者は他でもない晴清の嫡男である大三郎である。
大三郎は、晴清が幸盛の跡を継いで大名となった直後に元服の儀を済ませており、父である晴清の「晴」から一字賜り幸晴(ゆきはる)を名乗った。
さらに姓を柊から柳に戻し、柳 幸晴(やなぎ ゆきはる)として柊家の武将となった。
晴清
「幸晴よ、ゆくゆくはお前が柳家を背負って立つ身である。しかしながら、この現状を打破せねば柳家としての先は無きものであるが故に、せいぜい励まれよ。」
幸晴
「ははっ、父上の仰せの通りに。この幸晴めが必ずや柳家を繁栄させる事を誓います故にご安心くだされ。」
晴清の言葉に対して幸晴は堂々たる態度でそう答えた。
幸晴は、祖父である幸盛の柳姓を名乗らせた事からもいかに柳家の存続にとって重要な存在であるということが伺える。
晴清
「おぉ、これは頼もしい事を申してくれよる。先代の幸盛様もさぞかし喜ばれておられるであろう。」
敵に城を攻められているというこの状況下ではあったが、幸晴の頼もしい言葉を聞いた晴清の目は希望に満ち溢れて輝いていた。
柳城の城門前では、志太・秋庭連合軍が集結。
間もなく総攻撃を仕掛けようとしていた。
祐藤
「崇数殿と崇冬殿からもあったように、柊軍は我らに投降する余地は無いと聞く。さすれば徹底的に柊軍を叩きのめす他に手は無いということじゃな。」
祐藤は残念そうな表情であった。
敵とは言え過剰な殺生を好まない性格である祐藤は、迷いが生じているようである。
そこで、先刻の戦いにおいて負傷した事で戦線を離脱した玄名が祐藤に対して口を開いた。
玄名
「殿、お待ちくだされ。どうか私にもう一度説得の機会を与えてはくださいませぬか。」
先程の失態を返上すべく、再度柊軍に対しての説得を行わせて欲しいと言う。
これは玄名自身が僧侶の身であるが故に、どんな事をしても洗脳に苦しめられている者を救いたいという強い思いからであろう。
祐藤
「分かり申した、今一度機会を与えようぞ。それではその時が来たら玄名殿、よろしく頼んだぞよ。」
祐藤は玄名のその言葉に対して望みを託していた。
玄名
「ははっ、次こそは兵たちをお救いできるよう全力で尽くします。」
玄名の眉間に巻かれた包帯は、血で赤く染まっていた。
包帯の中では兵に斬られた傷が生々しく残っている。
そのような状態であろうとも玄名は洗脳されている柊軍兵たちを案じている様子であった。
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