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第6章 風雲志太家編
47.人質奪還作戦(1)
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宗重による人質の救出作業が先刻より開始された。
まずは、監獄にいた数名の見張り兵を宗重の部下らが始末。
その後に部下は見張り兵の装備を奪い取り、それらを身に付けて柳軍の兵を装って他の見張り兵と接触。
幸盛より人質を一旦外に出すように命ぜられたという偽の情報を流した。
しかし、予想外とも言える内容の命令に見張り兵も困惑していた様子であった。
そうしていると、やがて一人の男がしびれを切らしたような表情で二人の前にやって来た。
男
「早うせぬか。儂の命令が聞けぬというのか!聞けぬというのならば貴様ら全員この場で斬り捨ててくれようぞ!」
見張り兵
「あ、貴方様は…」
見張り兵は非常に驚いた様子でそう言った。
二人の前に現れた男は、幸盛の姿をしていた。
この男は、宗重に命ぜられて幸盛を演じている影武者なのである。
幸盛(影)
「儂が命じた事は絶対である。何をぐずぐずしておる。早う動かぬか。」
部下
「ははっ、ちょうど先程にこちらの見張り兵殿に幸盛様より命ぜられた内容をお伝え申した所にございます。見張り兵殿よ、拙者たちにご命令くださいませ。」
部下は目で訴えかけるように見張り兵を見つめていた。
見張り兵
「承知致しました。幸盛様の命であらばすぐにご準備致しましょう。」
そう言うと見張り兵は、監獄の鍵を外して扉を開けた。
見張り兵
「おいお前たち、今すぐ外に出よ。幸盛様の命により、これよりお前たちを新たな監獄へ移送致す。ぐずぐずするでないぞ。」
見張り兵は、監獄の中にいる人質たちを一人一人引っ張り出すようにして外に出していった。
その様子を見た部下は幸盛の影に近寄り、小声で会話を交わした。
部下
「やりましたな。これで後は人質たちを無事に海原城へ送り届けるのみでございますな。」
幸盛(影)
「どうやら作戦は成功のようですな。拙者も苦労した甲斐がございます。」
だが、人質たちは確かにこの作戦で外に出す事に成功はしたものの、本当の柳軍の見張り兵が数名存在しているのが現状である。
下手な動きを見せると見張り兵たちにも勘付かれてしまう可能性があり、危険と隣り合わせな状態と言っても間違いないであろう。
そこで宗重は、このリスクを回避するべくある策を施していた。
宗重
「そろそろじゃな、もうすぐでここは我ら忍衆だけになろうぞ。その時を見計らって一気に動き出すのじゃ。」
宗重がそう言うと、天守から煙のような物があがり始めた。
幸盛(影)
「な、何じゃあれは!天守から煙が出ておるではないか!曲者が侵入したというのか…おいお前たち!早う何とかせぬか!」
幸盛の影は大声で天守を指差してそう叫んだ。
異変に気付いた見張り兵たちは、混乱している様子であった。
同時に目の前に幸盛がいるという事で、早急に対応せねばならぬというプレッシャーからか、見張り兵たちは我も我もと大急ぎで天守へ向かうといった光景が見られた。
見張り兵
「ははっ!我らもすぐに天守へ向かいます。おい、お主はここに残って人質たちを移送先に案内致せ。拙者たちは天守に忍び込んだ曲者を成敗しに参る。分かったな。」
そう部下に言うと見張り兵は急いでその場を離れて天守を目指し、走り去って行った。
宗重
「計画通りじゃな。幸盛を始末した際に、時が来れば天守に火が付くようにちょいと細工をしておったのじゃ。」
宗重は、したり顔の表情を浮かべていた。
まずは、監獄にいた数名の見張り兵を宗重の部下らが始末。
その後に部下は見張り兵の装備を奪い取り、それらを身に付けて柳軍の兵を装って他の見張り兵と接触。
幸盛より人質を一旦外に出すように命ぜられたという偽の情報を流した。
しかし、予想外とも言える内容の命令に見張り兵も困惑していた様子であった。
そうしていると、やがて一人の男がしびれを切らしたような表情で二人の前にやって来た。
男
「早うせぬか。儂の命令が聞けぬというのか!聞けぬというのならば貴様ら全員この場で斬り捨ててくれようぞ!」
見張り兵
「あ、貴方様は…」
見張り兵は非常に驚いた様子でそう言った。
二人の前に現れた男は、幸盛の姿をしていた。
この男は、宗重に命ぜられて幸盛を演じている影武者なのである。
幸盛(影)
「儂が命じた事は絶対である。何をぐずぐずしておる。早う動かぬか。」
部下
「ははっ、ちょうど先程にこちらの見張り兵殿に幸盛様より命ぜられた内容をお伝え申した所にございます。見張り兵殿よ、拙者たちにご命令くださいませ。」
部下は目で訴えかけるように見張り兵を見つめていた。
見張り兵
「承知致しました。幸盛様の命であらばすぐにご準備致しましょう。」
そう言うと見張り兵は、監獄の鍵を外して扉を開けた。
見張り兵
「おいお前たち、今すぐ外に出よ。幸盛様の命により、これよりお前たちを新たな監獄へ移送致す。ぐずぐずするでないぞ。」
見張り兵は、監獄の中にいる人質たちを一人一人引っ張り出すようにして外に出していった。
その様子を見た部下は幸盛の影に近寄り、小声で会話を交わした。
部下
「やりましたな。これで後は人質たちを無事に海原城へ送り届けるのみでございますな。」
幸盛(影)
「どうやら作戦は成功のようですな。拙者も苦労した甲斐がございます。」
だが、人質たちは確かにこの作戦で外に出す事に成功はしたものの、本当の柳軍の見張り兵が数名存在しているのが現状である。
下手な動きを見せると見張り兵たちにも勘付かれてしまう可能性があり、危険と隣り合わせな状態と言っても間違いないであろう。
そこで宗重は、このリスクを回避するべくある策を施していた。
宗重
「そろそろじゃな、もうすぐでここは我ら忍衆だけになろうぞ。その時を見計らって一気に動き出すのじゃ。」
宗重がそう言うと、天守から煙のような物があがり始めた。
幸盛(影)
「な、何じゃあれは!天守から煙が出ておるではないか!曲者が侵入したというのか…おいお前たち!早う何とかせぬか!」
幸盛の影は大声で天守を指差してそう叫んだ。
異変に気付いた見張り兵たちは、混乱している様子であった。
同時に目の前に幸盛がいるという事で、早急に対応せねばならぬというプレッシャーからか、見張り兵たちは我も我もと大急ぎで天守へ向かうといった光景が見られた。
見張り兵
「ははっ!我らもすぐに天守へ向かいます。おい、お主はここに残って人質たちを移送先に案内致せ。拙者たちは天守に忍び込んだ曲者を成敗しに参る。分かったな。」
そう部下に言うと見張り兵は急いでその場を離れて天守を目指し、走り去って行った。
宗重
「計画通りじゃな。幸盛を始末した際に、時が来れば天守に火が付くようにちょいと細工をしておったのじゃ。」
宗重は、したり顔の表情を浮かべていた。
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