架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

文字の大きさ
上 下
192 / 549
第6章 風雲志太家編

44.柳城へと…

しおりを挟む
時刻は夜になり、辺りは闇に包まれていた。
そんな中、宗重とその部下たちが工作を実行すべく柳城を目指していた。

宗重
「良いかお前たち、柳家は油断のならぬ相手故に気を抜くでないぞ。」

部下たちは皆真剣な顔つきで宗重からの忠告に耳を傾けていた 。

宗重の部下たちは年齢、性別を問わず老若男女が存在していた。
身寄りの無い子供から始まり、他家を追放された武士や、果ては世捨て人となった老人など、宗重はそんな彼らを引き取って忍者へと育て上げていたという。

この戦国の世の時代背景もあってか、一般的に忍者は上下関係が非常に厳しかったとされている。
その厳しさや、忍者の部下たちは任務を遂行させる為だけの道具にしか過ぎず、使い捨てされる運命にあるとまで言われるほどである。
宗重はこれらの思想を強く批判しており、部下たちを大事にしていたという。
この事は、過去からの事例にも顕著に見られていた。

宗重が村上家に所属していた時代に、徳葉城下において一揆が発生した。(徳葉一揆)
この騒ぎは、宗重の忍衆が前線に出て鎮圧にあたった。

しかし、その際に宗重らの軍勢が一度窮地に立たされて絶体絶命の戦況に陥りかけた事があった。
宗重は、我が身を犠牲にしてまで部下を守り通すという信念を貫き通し、毅然とした態度をとっていた。
それを見た部下たちは、互いに鼓舞し合って士気は上昇。
かくして一揆は宗重たちの手によって鎮圧させる事が出来たのである。

そのような事もあり、部下たちの宗重への信頼は非常に厚かったと言えよう。

宗重
「それとじゃな、祐藤様がお前たちを志太家の家臣として認めてくださったぞ。必ず全員、生きて帰って家臣としての務めを果たそうぞ。」

ーー 家臣
その言葉を聞いた部下たちは驚いた様子であった。
同時に、忍衆に所属している自身が志太家の家臣として認められたという喜びも湧き上がるように出ていた。

やがて宗重らは柳城に到着した。
宗重は部下たちの前に立ち、口を開いた。

宗重
「では、当初の作戦通りの工作を行う。拙者は幸盛のいる天守を目指す。お前たちは監獄での工作の準備に取り掛かるのじゃ。良いな。」

どうやら宗重は単身で柳城の天守を目指し、部下たちは監獄においての工作準備を行うようである。

宗重
「お前たちの健闘を拙者も祈っておるぞ。天守での工作が終われば拙者もお前たちと合流致す。では、また後ほど会おうぞ。」

そう言うと宗重は部下の前から素早く去り、天守を目指し始めていた。
しおりを挟む
佐村孫千Webサイト
https://samuramagosen.themedia.jp/
感想 18

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

俺の娘、チョロインじゃん!

ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ? 乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……? 男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?  アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね? ざまぁされること必至じゃね? でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん! 「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」 余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた! え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ! 【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない

丙 あかり
ファンタジー
 ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。  しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。  王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。    身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。    翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。  パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。  祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。  アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。  「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」    一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。   「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。 ****** 不定期更新になります。  

梅すだれ

木花薫
歴史・時代
江戸時代の女の子、お千代の一生の物語。恋に仕事に頑張るお千代は悲しいことも多いけど充実した女の人生を生き抜きます。が、現在お千代の物語から逸れて、九州の隠れキリシタンの話になっています。島原の乱の前後、農民たちがどのように生きていたのか、仏教やキリスト教の世界観も組み込んで書いています。 登場人物の繋がりで主人公がバトンタッチして物語が次々と移っていきます隠れキリシタンの次は戦国時代の姉妹のストーリーとなっていきます。 時代背景は戦国時代から江戸時代初期の歴史とリンクさせてあります。長編時代小説。長々と続きます。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...