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第6章 風雲志太家編
43.準備万端
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それから数ヶ月の時が経ち、宗重は志天城を訪れていた。
宗重は、意気揚々とした様子で祐藤に言った。
宗重
「殿、大変遅くなりまして申し訳ございませぬ。柳家への工作準備が整いました。」
祐藤
「おぉ、ついに準備が整ったか。宗重よ、真にご苦労であったな。」
祐藤は興奮した様子で宗重へ労いの言葉をかけていた。
宗重
「後は我ら忍衆が柳家に対しての工作活動を残すのみにございます。その為にも今日の日まで準備に準備を重ねて参りました。」
宗重は、報告を聞いて心躍る祐藤に対してあくまで落ち着いた様子でそう言った。
喜ぶのはまだ早い。
工作を行ってこちらの意図する通りに柳家が動いてくれてこそが成功であるのだ。
と、言わんばかりの目つきであった。
祐藤は宗重のその言葉を聞いて我に返り、落ち着いた様子であった。
祐藤
「おっと、そうであったな。宗重よ、最後まで気を抜く事無く任務に励まれよ。幸盛は真に侮れぬ男故にくれぐれも気付かれぬように致せ。」
宗重
「ははっ、その旨は家春殿から再三お聞きしております故、工作には細心の注意を払って取り掛かる次第にございます。」
祐藤
「うむ、十分に注意致せよ。今の志太家では宗重、お主のような家臣が頼りなのじゃからな。」
祐藤は宗重に対して身を案じているようであった。
そんな様子を見た宗重は、真剣な表情で祐藤に対して口を開いた。
宗重
「殿、もし拙者が亡き者となった場合は、部下たちをくれぐれもどうかよろしくお願い致します。真におこがましき事を申す事をどうかお許し下さいませ。」
宗重は、もし今回の工作に失敗して自身が命を落とすような事があれば部下たちが路頭に迷うのでは、という事を案じていた。
そこで、自身が亡くなった場合は志太家が部下たちの面倒を見て欲しいと祐藤に懇願していた。
先程まで自信満々な態度であった宗重が、ここに来て弱気な態度を見せていた。
柳城に一度潜入した際に、命の危険を幾度となく感じた事を宗重は思い出していたからである。
そんな宗重の様子を見た祐藤は、宗重の肩に軽く手を当てた。
祐藤
「宗重よ、かような事を案ずるでない。お主の部下たちは最早立派な志太家の家臣じゃ。儂は家臣たちを路頭に迷わせる事など絶対にさせぬ。じゃからお主は自らの腕を信じよ、良いな。」
祐藤は、弱気な言葉を発していた宗重に対して檄を飛ばした。
その言葉を聞いた宗重は、吹っ切れた様子であった。
宗重
「殿、真に有り難きお言葉にございます。この宮本宗重、しっかりと任務を果たします故、どうぞご期待下さいませ。それでは早速に今夜より工作を開始します故、拙者はこれにて失礼致します。」
そう言うと宗重は大急ぎで志天城を出て行った。
祐藤
「家春殿よ、もう少しの辛抱じゃ。そなたの国の人質を無事に国へ帰す事が出来そうじゃぞ。」
祐藤は一人呟いていた。
宗重は、意気揚々とした様子で祐藤に言った。
宗重
「殿、大変遅くなりまして申し訳ございませぬ。柳家への工作準備が整いました。」
祐藤
「おぉ、ついに準備が整ったか。宗重よ、真にご苦労であったな。」
祐藤は興奮した様子で宗重へ労いの言葉をかけていた。
宗重
「後は我ら忍衆が柳家に対しての工作活動を残すのみにございます。その為にも今日の日まで準備に準備を重ねて参りました。」
宗重は、報告を聞いて心躍る祐藤に対してあくまで落ち着いた様子でそう言った。
喜ぶのはまだ早い。
工作を行ってこちらの意図する通りに柳家が動いてくれてこそが成功であるのだ。
と、言わんばかりの目つきであった。
祐藤は宗重のその言葉を聞いて我に返り、落ち着いた様子であった。
祐藤
「おっと、そうであったな。宗重よ、最後まで気を抜く事無く任務に励まれよ。幸盛は真に侮れぬ男故にくれぐれも気付かれぬように致せ。」
宗重
「ははっ、その旨は家春殿から再三お聞きしております故、工作には細心の注意を払って取り掛かる次第にございます。」
祐藤
「うむ、十分に注意致せよ。今の志太家では宗重、お主のような家臣が頼りなのじゃからな。」
祐藤は宗重に対して身を案じているようであった。
そんな様子を見た宗重は、真剣な表情で祐藤に対して口を開いた。
宗重
「殿、もし拙者が亡き者となった場合は、部下たちをくれぐれもどうかよろしくお願い致します。真におこがましき事を申す事をどうかお許し下さいませ。」
宗重は、もし今回の工作に失敗して自身が命を落とすような事があれば部下たちが路頭に迷うのでは、という事を案じていた。
そこで、自身が亡くなった場合は志太家が部下たちの面倒を見て欲しいと祐藤に懇願していた。
先程まで自信満々な態度であった宗重が、ここに来て弱気な態度を見せていた。
柳城に一度潜入した際に、命の危険を幾度となく感じた事を宗重は思い出していたからである。
そんな宗重の様子を見た祐藤は、宗重の肩に軽く手を当てた。
祐藤
「宗重よ、かような事を案ずるでない。お主の部下たちは最早立派な志太家の家臣じゃ。儂は家臣たちを路頭に迷わせる事など絶対にさせぬ。じゃからお主は自らの腕を信じよ、良いな。」
祐藤は、弱気な言葉を発していた宗重に対して檄を飛ばした。
その言葉を聞いた宗重は、吹っ切れた様子であった。
宗重
「殿、真に有り難きお言葉にございます。この宮本宗重、しっかりと任務を果たします故、どうぞご期待下さいませ。それでは早速に今夜より工作を開始します故、拙者はこれにて失礼致します。」
そう言うと宗重は大急ぎで志天城を出て行った。
祐藤
「家春殿よ、もう少しの辛抱じゃ。そなたの国の人質を無事に国へ帰す事が出来そうじゃぞ。」
祐藤は一人呟いていた。
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