189 / 549
第6章 風雲志太家編
41.幸盛への工作
しおりを挟む
宗重は柳城への潜入に成功。
直後、大名である柳幸盛に発見されて戦闘状態に陥るかに思われた。
しかし、宗重が事前に家春より渡された柳華と呼ばれる脇差を幸盛に見せると幸盛は落ち着きを取り戻していた。
幸盛
「さぁ、早く申してみよ。何故に儂を訪ねに参られたのじゃ。」
宗重
「はっ、それでは申し上げます。」
宗重は次のような内容を幸盛に伝えた。
秋庭家は柳家からの主命である立天野城の占領に成功したが、その後すぐに志太家からのお触れによって身動きが取れなくなっていたが故に柳家への報告が遅れた事のお詫び。
近いうちに秋庭家として全軍出撃を行い、志太家を徹底的に叩きのめす作戦を練っている事。
それによって志太家が混乱している隙を突いて柳家が参戦し、共に志太家を滅ぼす為に協力を願いたい事。
など、事が進めば柳家に対しては好機とも言える内容であった。
幸盛
「ほう、家春殿がそう申しておるとな。しかし、貴様のような胡散臭き忍びの言葉だけではどうも信用ならぬ。」
幸盛は再び刀に手をかけてそう言った。
宗重をこの場で斬り捨てようとしているような様子であった。
この様子に宗重は、間髪入れずに次なる行動へと移した。
宗重
「そう申されるのも無理はござらぬと思いまして、家春様からの書状もお預かりしております。幸盛殿は非常に用心深き御方であらせられる故、信じて頂けますようにこの書状をお書きになられたとの事にございます。」
そう言うと宗重は懐から一通の書状を取り出し、幸盛に渡した。
書状の内容は先程に宗重が伝えた内容が書かれており、家春直筆の署名もされていた。
この書状は、宗重が工作活動を開始する直前に家春自身が筆を取って書き記したものである。
幸盛
「うむ、この筆跡といい署名といい家春殿の物に間違いござらぬな。どうやら貴様の申す事は真であるようじゃな。」
幸盛は、その書状が家春によって書かれた物である事を理解すると刀にかけていた手を解き、真剣な目つきをした。
宗重
「幸盛殿、これでお分かりいただけましたでしょうか。家春様は打倒志太家に向けて動こうと準備をされております故、今しばらくお待ち頂きたく存じます。」
宗重は、納得しつつあった幸盛に対して言葉をかけていた。
幸盛
「それにしても家春殿は儂が怖いようじゃな。その怖さから逃れる為にわざわざ忍びにかような書状を持たせたのじゃからな。のう与五郎殿よ。」
幸盛は意地悪そうな顔をして宗重にそう言った。
主家である柳家に対して家春が必死に弁解を行っている様子が余りにも惨めで滑稽な物だと幸盛は感じていたようである。
宗重
「家春様は、主家である柳家に対する忠誠の心がございます故に此度の行動を起こされました事をお分かり頂きたく存じます。」
宗重は少し力強い口調で食い下がるように幸盛に言った。
幸盛
「ふん、口先だけでは何とでも言えるわ。まぁ家春殿の必死さに免じて此度の件は了承致そうかのう。ただし、失敗は許されぬという事を家春殿には重々伝えられよ。分かったか。」
幸盛は厳しい口調ではあったが、今回の件に関しては承諾をしているようであった。
宗重
「ははっ、ご了承を頂きました事を感謝致します。これで拙者も家春様に良き返事ができまする。それでは、失礼致します。」
幸盛の言葉に対して宗重は、深々と頭を下げて感謝の意を表していた。
そして宗重は、早々に消えるように天守を飛び出して行った。
幸盛
「ふふふ、どいつもこいつも馬鹿な奴らめ。秋庭家が志太家を再び攻撃した時が家春の最期ぞ。儂は秋庭家と共に心中するなどまっぴら御免じゃ。」
幸盛は不気味な笑み浮かべて一人呟いていた。
直後、大名である柳幸盛に発見されて戦闘状態に陥るかに思われた。
しかし、宗重が事前に家春より渡された柳華と呼ばれる脇差を幸盛に見せると幸盛は落ち着きを取り戻していた。
幸盛
「さぁ、早く申してみよ。何故に儂を訪ねに参られたのじゃ。」
宗重
「はっ、それでは申し上げます。」
宗重は次のような内容を幸盛に伝えた。
秋庭家は柳家からの主命である立天野城の占領に成功したが、その後すぐに志太家からのお触れによって身動きが取れなくなっていたが故に柳家への報告が遅れた事のお詫び。
近いうちに秋庭家として全軍出撃を行い、志太家を徹底的に叩きのめす作戦を練っている事。
それによって志太家が混乱している隙を突いて柳家が参戦し、共に志太家を滅ぼす為に協力を願いたい事。
など、事が進めば柳家に対しては好機とも言える内容であった。
幸盛
「ほう、家春殿がそう申しておるとな。しかし、貴様のような胡散臭き忍びの言葉だけではどうも信用ならぬ。」
幸盛は再び刀に手をかけてそう言った。
宗重をこの場で斬り捨てようとしているような様子であった。
この様子に宗重は、間髪入れずに次なる行動へと移した。
宗重
「そう申されるのも無理はござらぬと思いまして、家春様からの書状もお預かりしております。幸盛殿は非常に用心深き御方であらせられる故、信じて頂けますようにこの書状をお書きになられたとの事にございます。」
そう言うと宗重は懐から一通の書状を取り出し、幸盛に渡した。
書状の内容は先程に宗重が伝えた内容が書かれており、家春直筆の署名もされていた。
この書状は、宗重が工作活動を開始する直前に家春自身が筆を取って書き記したものである。
幸盛
「うむ、この筆跡といい署名といい家春殿の物に間違いござらぬな。どうやら貴様の申す事は真であるようじゃな。」
幸盛は、その書状が家春によって書かれた物である事を理解すると刀にかけていた手を解き、真剣な目つきをした。
宗重
「幸盛殿、これでお分かりいただけましたでしょうか。家春様は打倒志太家に向けて動こうと準備をされております故、今しばらくお待ち頂きたく存じます。」
宗重は、納得しつつあった幸盛に対して言葉をかけていた。
幸盛
「それにしても家春殿は儂が怖いようじゃな。その怖さから逃れる為にわざわざ忍びにかような書状を持たせたのじゃからな。のう与五郎殿よ。」
幸盛は意地悪そうな顔をして宗重にそう言った。
主家である柳家に対して家春が必死に弁解を行っている様子が余りにも惨めで滑稽な物だと幸盛は感じていたようである。
宗重
「家春様は、主家である柳家に対する忠誠の心がございます故に此度の行動を起こされました事をお分かり頂きたく存じます。」
宗重は少し力強い口調で食い下がるように幸盛に言った。
幸盛
「ふん、口先だけでは何とでも言えるわ。まぁ家春殿の必死さに免じて此度の件は了承致そうかのう。ただし、失敗は許されぬという事を家春殿には重々伝えられよ。分かったか。」
幸盛は厳しい口調ではあったが、今回の件に関しては承諾をしているようであった。
宗重
「ははっ、ご了承を頂きました事を感謝致します。これで拙者も家春様に良き返事ができまする。それでは、失礼致します。」
幸盛の言葉に対して宗重は、深々と頭を下げて感謝の意を表していた。
そして宗重は、早々に消えるように天守を飛び出して行った。
幸盛
「ふふふ、どいつもこいつも馬鹿な奴らめ。秋庭家が志太家を再び攻撃した時が家春の最期ぞ。儂は秋庭家と共に心中するなどまっぴら御免じゃ。」
幸盛は不気味な笑み浮かべて一人呟いていた。
0
佐村孫千Webサイト
https://samuramagosen.themedia.jp/
https://samuramagosen.themedia.jp/
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?


大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。

小沢機動部隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。
名は小沢治三郎。
年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。
ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。
毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。
楽しんで頂ければ幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる