179 / 549
第6章 風雲志太家編
31.人質奪還計画(2)
しおりを挟む
祐藤は、柳家との戦を行う為の前準備を着々と進めていた。
その中でまず各国の大名家にお触れを出す事が確定。
残すは柳城の人質をどのようにして救出するかという内容が残っていたが、貞勝の意見によって祐藤は救出案が浮かんだようであった。
貞勝
「祐藤様、一体どのようにして人質を救出されるのですか。」
貞勝は少し首を傾げて祐藤に問いかけた。
祐藤
「人質の救出を行うには忍びの者が必要となる。それ故、まずは徳葉城の宗重を呼んで参れ。」
ーー宗重
先の細野城との戦いにおいて志太軍の本陣に単身で潜入し、寝返り交渉に来た宮本宗重の事だ。
宗重は村上家の家臣であった平塚元阿弥に仕える忍者であり、現在は志太家の家臣となっていた。
そして祐藤は続けて口を開いた。
祐藤
「宗重が束ねる忍びの者たちは、竹呉島の忍衆にも劣らぬ実力を持っておると聞く。此度の工作はあやつに任せてみようと思ってな。」
宗重は幼少期を竹呉島で過ごして育った事もあり、忍者としての技術はこの頃に既に磨かれていたと言われている。
事実、細野城の戦いの時には大軍を率いていた志太軍の本陣に単身で潜入する事に成功しているという実績から見ても宗重の忍者としての実力は相当なものであろう。
だが、祐藤のこの意向に反発するように貞勝は言った。
貞勝
「しかし、何故に竹呉島の忍びをお使いにならぬのですか。実重殿が束ねる忍衆は我が志太家の勢力拡大に何度も尽力されております故、相応しいと拙者は考えておりますが。」
確かに竹呉島の忍者たちは、これまでの志太家の勢力拡大に大きく貢献した工作が数え切れない程あったと言われており、最早志太家には必要不可欠な勢力と言っても過言では無い。
そのような実績があるにも関わらず、今回の工作活動を行うにあたって宗重に白羽の矢を立てた祐藤の決断が貞勝には理解できずにいた。
祐藤
「実は、此度の工作内容に関しては竹呉島の忍びよりも宗重の忍びが秀でておると思う節が儂にはあってな。それ故に宗重に工作を命じるまでじゃ。」
祐藤は、竹呉島の忍者と宗重の忍者についてそれぞれの特性を分析していたようである。
この分析はあくまでも祐藤自身の主観によるものが多かったが、祐藤の巧みな話術に貞勝が納得するのにはそう時間はかからなかった。
それにしても相手に短い時間でも納得をさせるという祐藤の弁舌能力は天才的であった。
幼少期は神童と呼ばれ、青年期は底知れぬ実力を祐村に見出され、見る見るうちに出世の階段を駆け上って行った祐藤が為せる天性の才能であろうか。
貞勝
「承知致しました。直ちに伝令の者を送り、宗重殿を志栄城に呼び寄せましょう。」
貞勝は納得した表情で祐藤に深々と頭を下げてそう言った。
そしてすぐさまに立ち上がり、早々に志天城を後にした。
その中でまず各国の大名家にお触れを出す事が確定。
残すは柳城の人質をどのようにして救出するかという内容が残っていたが、貞勝の意見によって祐藤は救出案が浮かんだようであった。
貞勝
「祐藤様、一体どのようにして人質を救出されるのですか。」
貞勝は少し首を傾げて祐藤に問いかけた。
祐藤
「人質の救出を行うには忍びの者が必要となる。それ故、まずは徳葉城の宗重を呼んで参れ。」
ーー宗重
先の細野城との戦いにおいて志太軍の本陣に単身で潜入し、寝返り交渉に来た宮本宗重の事だ。
宗重は村上家の家臣であった平塚元阿弥に仕える忍者であり、現在は志太家の家臣となっていた。
そして祐藤は続けて口を開いた。
祐藤
「宗重が束ねる忍びの者たちは、竹呉島の忍衆にも劣らぬ実力を持っておると聞く。此度の工作はあやつに任せてみようと思ってな。」
宗重は幼少期を竹呉島で過ごして育った事もあり、忍者としての技術はこの頃に既に磨かれていたと言われている。
事実、細野城の戦いの時には大軍を率いていた志太軍の本陣に単身で潜入する事に成功しているという実績から見ても宗重の忍者としての実力は相当なものであろう。
だが、祐藤のこの意向に反発するように貞勝は言った。
貞勝
「しかし、何故に竹呉島の忍びをお使いにならぬのですか。実重殿が束ねる忍衆は我が志太家の勢力拡大に何度も尽力されております故、相応しいと拙者は考えておりますが。」
確かに竹呉島の忍者たちは、これまでの志太家の勢力拡大に大きく貢献した工作が数え切れない程あったと言われており、最早志太家には必要不可欠な勢力と言っても過言では無い。
そのような実績があるにも関わらず、今回の工作活動を行うにあたって宗重に白羽の矢を立てた祐藤の決断が貞勝には理解できずにいた。
祐藤
「実は、此度の工作内容に関しては竹呉島の忍びよりも宗重の忍びが秀でておると思う節が儂にはあってな。それ故に宗重に工作を命じるまでじゃ。」
祐藤は、竹呉島の忍者と宗重の忍者についてそれぞれの特性を分析していたようである。
この分析はあくまでも祐藤自身の主観によるものが多かったが、祐藤の巧みな話術に貞勝が納得するのにはそう時間はかからなかった。
それにしても相手に短い時間でも納得をさせるという祐藤の弁舌能力は天才的であった。
幼少期は神童と呼ばれ、青年期は底知れぬ実力を祐村に見出され、見る見るうちに出世の階段を駆け上って行った祐藤が為せる天性の才能であろうか。
貞勝
「承知致しました。直ちに伝令の者を送り、宗重殿を志栄城に呼び寄せましょう。」
貞勝は納得した表情で祐藤に深々と頭を下げてそう言った。
そしてすぐさまに立ち上がり、早々に志天城を後にした。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
婚約破棄?貴方程度がわたくしと結婚出来ると本気で思ったの?
三条桜子
恋愛
王都に久しぶりにやって来た。楽しみにしていた舞踏会で突如、婚約破棄を突きつけられた。腕に女性を抱いてる。ん?その子、誰?わたくしがいじめたですって?わたくしなら、そんな平民殺しちゃうわ。ふふふ。ねえ?本気で貴方程度がわたくしと結婚出来ると思っていたの?可笑しい! ◎短いお話。文字数も少なく読みやすいかと思います。全6話。
イラスト/ノーコピーライトガール
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる