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第6章 風雲志太家編

28.立天野の会談(2)

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立天野において秋庭家と志太家の会談が開始されて数刻が経った。
話の流れにより、大名同士のみでの会談を行いたいが為に貞勝と晴正らは会見の間より退室させた。
会見の間には、家春と祐藤の二人のみとなった。

どうやら先刻の祐藤の説得により、家春は決心した様子であった。
やがて、家春は静かに口を開いた。

家春
「それでは、今からお話し致しましょう。この事はくれぐれも他言無用にお願い申す。」

郷田家とは古くからの盟友であった事。
柳家から自家の傘下に入るように強制された事。
その際に郷田家との同盟破棄を余儀なくされた事。
秋庭家の領民の家族たちが柳家に人質として取られた事。
その人質たちは、柳城において非常に劣悪な環境での強制労働を強いられている事。
柳家がそれらで脅しをかけて立天野城を秋庭家の手によって攻めさせられた事。
その後は、柳家が逆賊を征伐すると言う名目で秋庭家を攻めようとしているであろう事。

など、家春は秋庭家の現在に至るまでの状況を祐藤に洗いざらい話した。

祐藤
「なるほど理解致した。では、此度の戦は不本意な物であったという事に間違いはござらんな。」

家春によるこれらの説明は、秋庭家にとって今回の戦いは不本意であった事を意味し、祐藤も充分にそれを理解してる様子であった。

家春
「まさにその通りにございます。それ故、祐藤殿には謝っても謝り切れぬ過ちを犯してしまいました。本当に申し訳ござらぬ事を致した…。」

家春は目に涙を浮かべて祐藤の前で土下座をしていた。
その様子を見た祐藤は、少し間を置いてから家春に言った。

祐藤
「家春殿、顔を上げられよ。そなたの事情は良く分かった。そうとあらば我が志太家が協力を致す故、共に柳家と戦わぬか。」

家春は、予想外と言える祐藤の言葉に自分の耳を疑った。
そしてすかさず顔を上げてこう答えた。

家春
「祐藤殿、今何と申されましたか...。」

祐藤
「家春殿、いや秋庭家に我ら志太家が協力致すと申したのじゃ。国の民の為に尽くすのが大名の勤めにござろう。違いますかな。」

祐藤は背筋をぴんと伸ばした姿勢で家春に向かって言った。
それを見た家春は、恐縮した様子で再び祐藤に対して頭を下げていた。

家春
「祐藤殿、敵である我らにかような言葉をかけていただけるとは真に有難き事にございます。しかし、志太家に一度刃を向けた罪は消えませぬ故、罰は甘んじて受け入れる覚悟にございます。何なりとお申し付け下され。」

家春は覚悟を決めた表情でそう言った。
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