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第6章 風雲志太家編
13.威圧
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翌日、晴清は家春の居城である海原城へ向かった。
昨日に自身が幸盛に提案した秋庭家による立天野城への出兵を命じる為である。
海原城に到着した晴清は、家春の屋敷へと向かった。
しばらくして屋敷に到着すると、家春自らが出迎えに姿を現した。
晴清
「柳家 家臣 柊晴清にござる。家春殿に話がある故参った。」
家春
「ははっ、このようなむさ苦しい場所にわざわざ参られるとはどうなされましたか。」
家春は、突然に訪れた晴清に対して威圧感を感じていた。
そしてその威圧感は、次に晴清が放った言葉によって現実の物となるのであった。
晴清
「家春殿、早々に立天野城を攻めよ。これは柳家からの命であるぞ。」
それを聞いた家春は、慌てふためいた様子である。
家春
「立天野城、でございますか。将軍守護職に就いている志太家の領地を攻めよと申されておるのですか。」
理由もなく将軍家との繋がりがある志太家を攻撃すれば、今後は周辺大名家から目の敵にされかねない。
いくら下剋上の世であっても晴清が持ちかけた内容は、余りにも無謀な話である。
晴清
「ただ、立天野城への出兵は秋庭家の判断で勝手に行なった事にせよ。そして柳家と関与がある事は、何人にも公言せぬ事を今ここで誓うが良い。お主の返答次第では、我が領地で預かっておる人質たちを始末致す故、覚悟しておれ。」
晴清は不気味な笑みを浮かべてそう言った。
柳家に従属する際に秋庭家は、自家の領民の家族らを人質として柳城に送られていた。
人質たちは、劣悪な環境下での労働を強いられていたと言われている。
今回、晴清はこの人質たちを外交カードとして秋庭家に命令を下そうとしていたのだ。
さらに、断れば人質の命の保証は無いといった脅しもかけられている。
人道的に言っても決して許される行為では無いが、戦国の乱世を生き抜く術の一つであると柳家ではこれを正当化しているようであった。
あくまでも今回の立天野城の出兵は、秋庭家が柳家の了承を得ずに判断を下して勝手に暴走した。
そうだとしても、従属先が問題を起こした事の責任を柳家としても問われるであろう。
全くの関与が無いと言われても、従属先が起こした問題を世間では連帯責任という言葉を持ち出して柳家にも非難の声は上がるはずだ。
そこで、柳家自らが秋庭家を成敗する役を買って出るという名目で出兵してこれを滅ぼすのだ。
秋庭家を根絶やしにすれば今回の策略について真相を知る者は誰一人として存在しなくなる。
結果、柳家が正義で秋庭家が悪といった図式が出来上がる。
死人に口無しとは良く言ったものである。
仮に、ここで柳家に対して反抗すれば即座に秋庭家は滅ぼされてしまうであろう。
人は皆、逃げ道を与えられれば、たとえその先の結末が最悪な物であると分かっていたとしても、それに頼るものである。
少しでも生き永らえたいという人として持つ本能なのであろうか。
どうやらそれは、戦国の世の大名家にも同じ事が言えたようである。
家春は覚悟を決めた表情で、晴清に頭を下げて口を開いた。
家春
「承知致しました。我ら秋庭家が、立天野城を攻め落とさせて頂きます。この戦いは秋庭家と志太家との問題故、柳家は何の関係もございませぬ事をここに誓いますぞ。」
こうして家春は、余りにも理不尽とも言える柳家の命を受けた。
受けざるを得なかったのである。
昨日に自身が幸盛に提案した秋庭家による立天野城への出兵を命じる為である。
海原城に到着した晴清は、家春の屋敷へと向かった。
しばらくして屋敷に到着すると、家春自らが出迎えに姿を現した。
晴清
「柳家 家臣 柊晴清にござる。家春殿に話がある故参った。」
家春
「ははっ、このようなむさ苦しい場所にわざわざ参られるとはどうなされましたか。」
家春は、突然に訪れた晴清に対して威圧感を感じていた。
そしてその威圧感は、次に晴清が放った言葉によって現実の物となるのであった。
晴清
「家春殿、早々に立天野城を攻めよ。これは柳家からの命であるぞ。」
それを聞いた家春は、慌てふためいた様子である。
家春
「立天野城、でございますか。将軍守護職に就いている志太家の領地を攻めよと申されておるのですか。」
理由もなく将軍家との繋がりがある志太家を攻撃すれば、今後は周辺大名家から目の敵にされかねない。
いくら下剋上の世であっても晴清が持ちかけた内容は、余りにも無謀な話である。
晴清
「ただ、立天野城への出兵は秋庭家の判断で勝手に行なった事にせよ。そして柳家と関与がある事は、何人にも公言せぬ事を今ここで誓うが良い。お主の返答次第では、我が領地で預かっておる人質たちを始末致す故、覚悟しておれ。」
晴清は不気味な笑みを浮かべてそう言った。
柳家に従属する際に秋庭家は、自家の領民の家族らを人質として柳城に送られていた。
人質たちは、劣悪な環境下での労働を強いられていたと言われている。
今回、晴清はこの人質たちを外交カードとして秋庭家に命令を下そうとしていたのだ。
さらに、断れば人質の命の保証は無いといった脅しもかけられている。
人道的に言っても決して許される行為では無いが、戦国の乱世を生き抜く術の一つであると柳家ではこれを正当化しているようであった。
あくまでも今回の立天野城の出兵は、秋庭家が柳家の了承を得ずに判断を下して勝手に暴走した。
そうだとしても、従属先が問題を起こした事の責任を柳家としても問われるであろう。
全くの関与が無いと言われても、従属先が起こした問題を世間では連帯責任という言葉を持ち出して柳家にも非難の声は上がるはずだ。
そこで、柳家自らが秋庭家を成敗する役を買って出るという名目で出兵してこれを滅ぼすのだ。
秋庭家を根絶やしにすれば今回の策略について真相を知る者は誰一人として存在しなくなる。
結果、柳家が正義で秋庭家が悪といった図式が出来上がる。
死人に口無しとは良く言ったものである。
仮に、ここで柳家に対して反抗すれば即座に秋庭家は滅ぼされてしまうであろう。
人は皆、逃げ道を与えられれば、たとえその先の結末が最悪な物であると分かっていたとしても、それに頼るものである。
少しでも生き永らえたいという人として持つ本能なのであろうか。
どうやらそれは、戦国の世の大名家にも同じ事が言えたようである。
家春は覚悟を決めた表情で、晴清に頭を下げて口を開いた。
家春
「承知致しました。我ら秋庭家が、立天野城を攻め落とさせて頂きます。この戦いは秋庭家と志太家との問題故、柳家は何の関係もございませぬ事をここに誓いますぞ。」
こうして家春は、余りにも理不尽とも言える柳家の命を受けた。
受けざるを得なかったのである。
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