架空戦国伝

第６章 風雲志太家編

06.調査の結果

玄名による説法が全て完了した数日後、数ヶ月にわたって行われていた志栄島の調査が一旦終了した。
調査結果は、次の通りである。

①金山の調査
米村山城北部に金山らしき場所を発見した。
しかし、金の採取はほぼ不可能な状態となっていた事から長馬の時代に金を枯渇させてしまったと断定。
その証拠として、志栄城の改修時に長馬が最後に遺したであろう金と遺書を発見した。

②新兵器に採用可能な物質の調査
新たな物質の発見には至らなかったが、村上九条式爆弾にも採用された特殊な火薬の原材料となる物質は未だ豊富に存在していた。
しかし、今後の採取によっては金山のように枯渇する可能性を考え、これらの物質を培養する事で安定した火薬の供給を行えるよう研究を開始した。

今回の調査結果としては、当初に志太家が望んでいた内容とは異なってはいたが、長馬が残した遺産を発見したり兵器に採用する物質が豊富に存在するなど、志太家にとっては非常に有利な物となった事には間違い無かった。

また、長馬の遺産に関しては莫大な額の金を遺していたと言われている。
先祖より代々受け継いだ村上島の金山を長馬自身の代で枯渇させた事により、晩年は自責の念にかられていた事であろう。
せめて長継の代までは…という長馬の親心がこの莫大な遺産を残す形となったと言えよう。
やがて長馬亡き後を継いだ長継ではあったが、結果的には村上家を滅亡させてしまった。
全くもって皮肉な話である。

祐藤
「志栄島の調査、皆の者よ誠にご苦労であった。しかし、我々が思っている以上にこの島は謎が多きものよ。引き続き調査は行うべし。」

祐藤は家臣たちに労いの言葉をかけると同時に、今後も志栄島の調査を定期的に行って志太家にとって有利になるような発見を行うように命じた。

崇数
「ははっ、仰せの通りにございます。念願が叶ってようやく我々の物となったこの志栄島を足がかりに天下統一を果たしましょうぞ。」

崇数は活き活きとした表情で祐藤に答えていた。