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第5章 祐藤の野望編
80.村上城攻め(20)
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村上城は志太軍の猛攻によって、二の丸までに侵入に成功。
そして先刻に崇冬による野犬を使った作戦により、村上軍の士気は大幅に低下。
さらに祐藤と義道も二の丸に合流し、志太軍は全軍が集結していた。
祐藤
「いよいよじゃな。よし、これより全軍で本丸へ突入する。皆の者よ、遅れを取るでないぞ。」
祐藤の号令により、志太軍は全軍が本丸を目指して突入を開始した。
長継
「いかん、志太軍が動き出した。このままでは天守にまで攻め込まれてしまうぞ。」
長継は酷く狼狽した様子であった。
混乱状態にあった村上軍を立て直す力は長継にはもはや残っておらず、志太軍によって自軍が徐々に追い込まれていく様を見届けるしか無かった。
やがて志太軍は本丸への門を破壊し、兵の侵入が容易な状態となった。
祐藤
「これで本丸への門が開いたぞ。皆の者、長継の首はもうじきぞ。」
祐藤の言葉により志太軍の士気は最高潮に達し、長継の構える天守を目指して兵たちは次々と本丸を目指して流れ込んで行った。
その頃、天守では長継が覚悟を決めた表情であった。
長継
「最早これまでか。敵に生き恥を晒す前に拙者はここで腹を切る。お前たち、良くぞここまで拙者に付いて来てくれたな。礼を申す。残された者たちは志太家に降るが良い。くれぐれも拙者の後を追う事の無きように。これは拙者の遺言あるぞ。」
長継は家臣たちに対して感謝の言葉を述べると共に、自身は潔くここで命を絶つと伝え、同時に家臣たちの身を案じ、今後は志太家に降るように命じた。
米村山の戦い以後に疑心暗鬼に陥り、結果として康虎という優秀な家臣を殺めてしまって以来塞ぎ込みがちであった長継ではあったが、ここにきて家臣を思いやるという気持ちを思い出した瞬間であった。
家臣たちは涙を流しながら、断腸の思いで長継の決断した「自害」という道を受け入れる事となった。
やがて長継は天守に火を放ち、辺りはたちまち炎に包まれた。
長継
「父上、御先祖様、代々続いた村上家を拙者の代で終わらせてしまう事をお許し下され。」
長継は燃え盛る炎の中で先代の長馬や先祖に対し、申し訳無い気持ちで胸が一杯になっていた。
死装束を身に纏っている長継が、一層の深い哀愁を漂わせている。
長継
「では、さらばじゃ。拙者はこれより父上と御先祖様にこの手で村上家を滅ぼしてしまった事を詫びに参る。」
そうして長継は家臣たちの叫び声が響く中、燃え盛る炎の中へと消えていった。
長継が放った火は思いの外勢いが激しく、またたく間に本丸全てを覆い尽くしていった。
やがて炎に蝕まれて真っ黒な炭と化した本丸天守は、完全に崩壊した。
その様子を見ていた祐藤は、軍勢に対して大声を放った。
祐藤
「たった今、村上城は我が軍の手に落ちた。我が軍の勝利であるぞ。皆の者よ、勝鬨をあげよ。」
その瞬間、城内では志太軍による歓喜の声が響き渡っていた。
そして先刻に崇冬による野犬を使った作戦により、村上軍の士気は大幅に低下。
さらに祐藤と義道も二の丸に合流し、志太軍は全軍が集結していた。
祐藤
「いよいよじゃな。よし、これより全軍で本丸へ突入する。皆の者よ、遅れを取るでないぞ。」
祐藤の号令により、志太軍は全軍が本丸を目指して突入を開始した。
長継
「いかん、志太軍が動き出した。このままでは天守にまで攻め込まれてしまうぞ。」
長継は酷く狼狽した様子であった。
混乱状態にあった村上軍を立て直す力は長継にはもはや残っておらず、志太軍によって自軍が徐々に追い込まれていく様を見届けるしか無かった。
やがて志太軍は本丸への門を破壊し、兵の侵入が容易な状態となった。
祐藤
「これで本丸への門が開いたぞ。皆の者、長継の首はもうじきぞ。」
祐藤の言葉により志太軍の士気は最高潮に達し、長継の構える天守を目指して兵たちは次々と本丸を目指して流れ込んで行った。
その頃、天守では長継が覚悟を決めた表情であった。
長継
「最早これまでか。敵に生き恥を晒す前に拙者はここで腹を切る。お前たち、良くぞここまで拙者に付いて来てくれたな。礼を申す。残された者たちは志太家に降るが良い。くれぐれも拙者の後を追う事の無きように。これは拙者の遺言あるぞ。」
長継は家臣たちに対して感謝の言葉を述べると共に、自身は潔くここで命を絶つと伝え、同時に家臣たちの身を案じ、今後は志太家に降るように命じた。
米村山の戦い以後に疑心暗鬼に陥り、結果として康虎という優秀な家臣を殺めてしまって以来塞ぎ込みがちであった長継ではあったが、ここにきて家臣を思いやるという気持ちを思い出した瞬間であった。
家臣たちは涙を流しながら、断腸の思いで長継の決断した「自害」という道を受け入れる事となった。
やがて長継は天守に火を放ち、辺りはたちまち炎に包まれた。
長継
「父上、御先祖様、代々続いた村上家を拙者の代で終わらせてしまう事をお許し下され。」
長継は燃え盛る炎の中で先代の長馬や先祖に対し、申し訳無い気持ちで胸が一杯になっていた。
死装束を身に纏っている長継が、一層の深い哀愁を漂わせている。
長継
「では、さらばじゃ。拙者はこれより父上と御先祖様にこの手で村上家を滅ぼしてしまった事を詫びに参る。」
そうして長継は家臣たちの叫び声が響く中、燃え盛る炎の中へと消えていった。
長継が放った火は思いの外勢いが激しく、またたく間に本丸全てを覆い尽くしていった。
やがて炎に蝕まれて真っ黒な炭と化した本丸天守は、完全に崩壊した。
その様子を見ていた祐藤は、軍勢に対して大声を放った。
祐藤
「たった今、村上城は我が軍の手に落ちた。我が軍の勝利であるぞ。皆の者よ、勝鬨をあげよ。」
その瞬間、城内では志太軍による歓喜の声が響き渡っていた。
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