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第5章 祐藤の野望編
72.村上城攻め(12)
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幸龍丸の捕らえられているとされる井戸へ潜入を行った崇冬らの軍勢と吾助。
やがて、野犬の群れがいるとされる場所まで辿り着いた。
吾助
「崇冬殿、この先は腹を空かせた野犬たちが待ち構えております。奴らを甘く見てはいけませぬ。」
怯えた表情で吾助が言った。
崇冬
「なぁに、拙者の考えを持ってすれば何てことは無い。さて、そろそろ用意を始めるとするか。お前たちよ、準備は良いな。」
そう言うと崇冬はおもむろに腰に着けた小瓶を取り出し、野犬の群れがいる方角へ向けて地面に叩きつけた。
割れた小瓶からは液体のような物が流れ出ていた。
崇冬
「よし、それではその野犬どもをこちら側におびき出せ。」
崇冬が指示を出し、兵は野犬たちを挑発させた。
やがて、崇冬らの存在に気付いた野犬の群れは鋭い牙を剥き出して一目散にこちらへ向かってきた。
吾助
「崇冬殿、これでは全軍やられてしまいますぞ。」
崇冬
「慌てるでない、まぁ見ておれ。今じゃ、それっ。」
崇冬は手にしていた篝火を、先程叩き割った小瓶の中から漏れていた液体に投げ入れた。
その瞬間、凄まじい勢いで炎が燃え上がり始めた。
どうやらこの液体の正体は、油のようである。
崇冬
「どんな野生動物であろうとも炎には勝てぬであろう。あとはこいつで仕上げれば良い。」
そう言うと崇冬は背に抱えていた鉄砲を構え、燃え盛る炎に向けて発砲した。
井戸の中で乾いた銃声が何度も鳴り響いた。
この騒ぎによって野犬たちは恐れをなしたのかその場にひれ伏してしまった。
さっきまでのギラギラとした闘争心は嘘のように消え去っていた。
さらに野犬たちは崇冬の軍勢に対して降伏をしているかのような様子でもあった。
崇冬
「どうじゃ、これで野犬どもの脅威は無くなったであろう。」
吾助
「いやはや戦わずして相手を降伏させるとは。恐れ入りました。」
吾助は、崇冬の意表を突いた作戦に感服した様子であった。
やがて、野犬の群れがいるとされる場所まで辿り着いた。
吾助
「崇冬殿、この先は腹を空かせた野犬たちが待ち構えております。奴らを甘く見てはいけませぬ。」
怯えた表情で吾助が言った。
崇冬
「なぁに、拙者の考えを持ってすれば何てことは無い。さて、そろそろ用意を始めるとするか。お前たちよ、準備は良いな。」
そう言うと崇冬はおもむろに腰に着けた小瓶を取り出し、野犬の群れがいる方角へ向けて地面に叩きつけた。
割れた小瓶からは液体のような物が流れ出ていた。
崇冬
「よし、それではその野犬どもをこちら側におびき出せ。」
崇冬が指示を出し、兵は野犬たちを挑発させた。
やがて、崇冬らの存在に気付いた野犬の群れは鋭い牙を剥き出して一目散にこちらへ向かってきた。
吾助
「崇冬殿、これでは全軍やられてしまいますぞ。」
崇冬
「慌てるでない、まぁ見ておれ。今じゃ、それっ。」
崇冬は手にしていた篝火を、先程叩き割った小瓶の中から漏れていた液体に投げ入れた。
その瞬間、凄まじい勢いで炎が燃え上がり始めた。
どうやらこの液体の正体は、油のようである。
崇冬
「どんな野生動物であろうとも炎には勝てぬであろう。あとはこいつで仕上げれば良い。」
そう言うと崇冬は背に抱えていた鉄砲を構え、燃え盛る炎に向けて発砲した。
井戸の中で乾いた銃声が何度も鳴り響いた。
この騒ぎによって野犬たちは恐れをなしたのかその場にひれ伏してしまった。
さっきまでのギラギラとした闘争心は嘘のように消え去っていた。
さらに野犬たちは崇冬の軍勢に対して降伏をしているかのような様子でもあった。
崇冬
「どうじゃ、これで野犬どもの脅威は無くなったであろう。」
吾助
「いやはや戦わずして相手を降伏させるとは。恐れ入りました。」
吾助は、崇冬の意表を突いた作戦に感服した様子であった。
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