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第5章 祐藤の野望編
67.村上城攻め(7)
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村上軍の罠によって崇数と貞道の軍勢は後退を余儀なくされた。
軍勢は城壁の隅へと追い詰められていた。
貞道
「ここまで来たらもう村上軍を撃破するしか我らが生き残る道は無い。お前たち、心してかかるのじゃ。」
貞道は必死の形相で配下の軍勢たちに向けて叫んだ。
崇数
「これは先刻の罠によって命を落とした者たちへの弔い合戦でもあるのじゃ。皆の者、それを決して忘れるでないぞ。」
崇数が続けて言った。
この崇数と貞道の両名による鼓舞で志太軍勢の士気は大幅に上昇していた。
しかし、現在の状況下からして村上軍が圧倒的優勢であることに変わりは無く、志太軍は変わらず苦戦を強いられていた。
やがて城壁の隅に追い詰められた志太軍勢は徐々に村上軍に攻め寄られていき、軍勢壊滅という最悪の事態が差し迫ろうとしていた。
崇数
「為す術無し。最早これまでか。」
貞道
「崇数殿、拙者はどこまでもお供致しますぞ。」
二人は覚悟を決めた表情であった。
その時、城壁の外側から大きな叫び声が突如として響き渡った。
何やら大勢の軍勢が城壁周りを取り囲んでいる様子であった。
時を待たずして再び大きな叫び声が響いた。
それに続いて軍勢の雄叫びが一斉に響き渡り、軍勢は城壁を登り始めていた。
彼らは驚くほど器用に城壁を登り、一人、二人と次々と瞬く間に城内へと侵入していった。
やがてその中の一人の若武者が崇数の前に駆け寄り、ひざまずいてうつむいていた顔を上げ、口を開いた。
「志太家家臣 口羽崇冬、只今助太刀に参りました。父上、遅くなりまして申し訳ございませぬ。」
その若武者は、崇数の嫡男 崇冬であった。
軍勢は城壁の隅へと追い詰められていた。
貞道
「ここまで来たらもう村上軍を撃破するしか我らが生き残る道は無い。お前たち、心してかかるのじゃ。」
貞道は必死の形相で配下の軍勢たちに向けて叫んだ。
崇数
「これは先刻の罠によって命を落とした者たちへの弔い合戦でもあるのじゃ。皆の者、それを決して忘れるでないぞ。」
崇数が続けて言った。
この崇数と貞道の両名による鼓舞で志太軍勢の士気は大幅に上昇していた。
しかし、現在の状況下からして村上軍が圧倒的優勢であることに変わりは無く、志太軍は変わらず苦戦を強いられていた。
やがて城壁の隅に追い詰められた志太軍勢は徐々に村上軍に攻め寄られていき、軍勢壊滅という最悪の事態が差し迫ろうとしていた。
崇数
「為す術無し。最早これまでか。」
貞道
「崇数殿、拙者はどこまでもお供致しますぞ。」
二人は覚悟を決めた表情であった。
その時、城壁の外側から大きな叫び声が突如として響き渡った。
何やら大勢の軍勢が城壁周りを取り囲んでいる様子であった。
時を待たずして再び大きな叫び声が響いた。
それに続いて軍勢の雄叫びが一斉に響き渡り、軍勢は城壁を登り始めていた。
彼らは驚くほど器用に城壁を登り、一人、二人と次々と瞬く間に城内へと侵入していった。
やがてその中の一人の若武者が崇数の前に駆け寄り、ひざまずいてうつむいていた顔を上げ、口を開いた。
「志太家家臣 口羽崇冬、只今助太刀に参りました。父上、遅くなりまして申し訳ございませぬ。」
その若武者は、崇数の嫡男 崇冬であった。
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