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第5章 祐藤の野望編

64.村上城攻め(4)

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崇数と貞道の軍勢は、村上城の城壁突破に向けての準備を行っていた。
一方、城付近の放火を行う工作部隊を崇数の軍勢から出し、作業が開始された。

やがて村上城付近から煙が立ち込めてきた。
どうやら放火の工作部隊の作戦が成功したようである。

その様子を確認した崇数は、すぐさま配下の軍勢に指示を出した。

崇数
「よし、それでは我らも作戦を開始しようぞ。皆の者よ、心してかかるのじゃ。」

貞道
「ここはお前たちが城普請で培った技術の見せ所じゃ。頼んだぞよ。」

そうしてついに城壁突破の作業が開始された。

兵たちは山賊衆を中心とし、様々な方法で壁の突破を試みていた。
通常の城普請では、あらかじめ城の設計について周知したうえでの作業となっている。
今回は敵方の城である故に軍勢が初めて見た村上城の設計を把握する必要があった。
いくら城普請に長けている軍勢がいたとしても、城の把握無くして城壁の突破は困難であると言えよう。

あれこれと悩んでいた軍勢に対して崇数は次のような声をかけた。

崇数
「城の設計図が無くともお前たちには豊富な経験があろう。ここは一つ、お前たちの勘を信じようぞ。思い切ってやってみせよ。」

その言葉を聞くと軍勢は何かが吹っ切れたように動き出し、再び作業を開始した。

そして作業を開始して数刻後、城壁の突破に繋がる足場が完成した。
どうやら城普請を繰り返すうちに、兵たちの勘が研ぎ澄まされていたようである。
崇数は、勘によって城を突破させるなどという危険な賭けに出たが、結果としては大成功を収めた。

やがて軍勢は作られた足場をつたって村上城城内にぞろぞろと侵入していった。

貞道
「いやはや我が山賊衆の力がここまで成長しておったとはな。」

貞道は配下の山賊衆の成長ぶりに驚きの表情を見せていた。
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佐村孫千Webサイト
https://samuramagosen.themedia.jp/
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