架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

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第5章 祐藤の野望編

50.米村山の戦い(7)

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康虎が率いる鉄砲隊の軍勢が動き出し、志太軍の本陣付近まで接近した。

康虎
「鉄砲隊、撃ち方構え。打て!!」

康虎の掛け声が戦場に響き渡った。
それと同時に鉄砲隊は凄まじい轟音を響かせて志太軍の本陣を目掛けて銃弾が降り注がれた。

義道
「これが信常殿が開発したという鉄砲か。うむ、これはたまらぬな。」

義道は参ったような表情で言った。

信常が村上家の家臣であった頃に開発した鉄砲は、現在の志太家において発明した最新型の鉄砲である地獄式鉄砲と比べると大きく見劣りする部分があった。
だが、開発者は後に天下の発明家と称される信常だ。
それゆえ、志太軍にとっては脅威であることに変わりは無かったのである。

やがて志太軍は村上軍が次々に放つ銃弾を受けたことにより多くの負傷者が発生した。
また鉄砲の砲撃を受けたことにより、志太軍は混乱状態に陥りつつあった。

康虎
「鉄砲隊が砲撃を行い志太軍が混乱している空きを付いて拙者は志太軍の本陣に侵入いたす。お前たちは志太軍に考える暇を与えることなく攻撃を続けるのじゃぞ。」

そう言うと康虎は軍勢から抜け出し、単騎で志太軍の本陣を目指して馬を進めた。

一方、祐藤は負けじと地獄式鉄砲を配備した軍勢を前線に配置し、村上軍に対抗を始めようとしていた。

祐藤
「我が軍にはこの鉄砲よりも性能が良い鉄砲があるではないか。皆の者よ、案ずることはない。こちらも地獄式鉄砲の砲撃をお見舞いしてやるのじゃ。」

祐藤は、本陣の軍勢を立て直すべく立ち上がり兵たちに向かってそう叫んだ。
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