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第4章 家督相続編

01.不穏な宴会

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先日の評定で祐藤は志太家の世継ぎとして任命された。
世継ぎが正式に決まったということで城内でも盛大に宴会が行われていた。

しかし、このことを良く思っていない家臣も少なからずいた。
祐村の弟である志太祐信(しだ すけのぶ)とその配下である東浦政景(ひがしうら まさかげ)らであった。

・志太祐信(しだ すけのぶ)
祐村の弟として生まれる。
元服後に祐村に仕え、政務を担当。
容姿が祐村と似ていた為、影武者も務めていたという。

・東浦政景(ひがしうら まさかげ)
扇山城下の建築家の家系に生まれる。
町衆の推薦もあって志太家に士官し、家臣となる。
建築技術に長けており、城の改築に携わったという。

祐信
「出身も定かではない身分の者を世継ぎにするとは兄者は一体何を考えておるのじゃ。第一、世継ぎなら血縁者であるこの儂がなるのが筋ではござらんか。兄者に物申してくるわ。」

至極当然のことでである。
この戦国の世では当主に嫡男がいない場合は、世継ぎとして血を分けた兄弟がそれなりの権力を持つことが少なくなかったからだ。
しかし祐信は兄の祐村に比べると能力面では劣っている部分があった。
そして、当主の縁者という身分を利用してしばしば家臣たちにも横柄な態度をとっていたという。
このことから祐村は、志太家の存続を考えると祐信を世継ぎにすべきではないという判断に至ったのであろう。

政景
「祐信様、ここで異を唱えたとて祐村様は取り合ってくれるとは思いませぬ。機は祐村様が亡くなられて祐藤殿が当主となった時まで待たれるのです。拙者に良い考えがございます。」

祐信
「ほう、面白い。政景よ、その話詳しく聞かせてもらおうぞ。」

祐信は食い入る表情で政景に言った。
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