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18-レベル0,魔力0
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「彼らがパンダ獣人の兄弟か……」
リビングへセドリックを案内するとエリシアの後ろにマルセルとライネルが隠れる。しかしセドリックは気にした様子もなく観察するだけだ。
「はい。兄のマルセルと弟のライネルです。二人とも、俺がお世話になってるセドリックさんだよ、怖い人じゃないからご挨拶して?」
「俺はマルセル」
「……ライネル」
人見知りなのか名乗りはするもののエリシアの後ろから出てこようとしない。
「……エリシアには随分懐いているんだな」
「子供は素直だから優しい人が分かるのよ」
「自分で言うな。というかお前はいつまでニロの世話になるつもりだ」
「お父様が諦めるまでね」
「パーティーへの依頼はどうする?」
「……私よりパーティーの依頼の方が大事なのね」
ふん、とそっぽを向いてしまったエリシアを見て俺はあれ?と首を傾げる。
もしかしてエリシアさんって……セドリックさんに好意を持ってるのかも。
「……お姉さん、分かりやすい」
「なのにあっちのお兄さん、鈍感」
獣人兄弟にもわかるらしい。
いつの間にか俺の後ろに移動してきては何かぼそぼそ話している。
子供なのに察しが良いようで。
良いなと思った女性に想い人がいて少しがっかりしながら心の中でこっそり応援することにする。
「それでニロ。そこの兄弟は孤児院に預けるのか?そうであれば俺が評判の良い所を紹介するが」
「いえ、この子たちは俺が面倒を見ます」
「ニロが?」
エリシアと同じ反応だ。
当然だろう、俺にはこの子たちを守る術がないのだから。
だからといって諦めるつもりはない。力がないならつければいい。
「はい。それでお願いがあるんですが、お時間のある時で構いませんので俺に戦い方を教えてくれませんか?この子たちを守れるように」
セドリックは俺の言葉に少し考え込んでいたが「いいだろう」と頷いた。
「ニロが覚悟しているのなら協力する」
「ありがとうございます!」
了承して貰えて助かった。セドリックに断られたらジャックかレイチェルに頼むつもりでいたから。
「協力はするが、ニロはレベルいくつなんだ?それによって教える内容も変わるぞ」
「へ?レベル?」
「……鑑定を受ければ分かるだろう?」
「鑑定……」
まずこの世界にレベルの概念があった事に驚きだ。
ぽかんとしているとセドリックが首を傾げる。
「もしかしてニロの世界には鑑定がないのか?」
お宝鑑定団ならいたけどきっとこれはそういうことじゃない。
「えっと、ないですね。レベルと言う概念も遊びの中にはあったりしますけどそれだけで」
「…………マジか」
「マジです」
最初にあった時、異世界から来たことは話したけどレベルだの鑑定だのの話はしなかったので知らなかったが、この世界にはレベルという概念がありそれらを確かめる鑑定というスキルもあるらしい。
そういう如何にもなファンタジー要素はもっと、もっと早く知りたかったです!!
「鑑定ってどうやって受けられるんですか?」
「少し待ってくれ、確か鑑定できる魔道具があった……はず……」
セドリックはそういいながらアイテムボックスに手を突っ込み探っている。
「鑑定もレベルもないなんて、ニロの世界じゃどうやって能力を確認してたの?」
エリシアに問われ俺は苦笑浮かべる。
「魔物もいなかったですし、魔法もありませんでしたからね……この世界じゃ当たり前のことが、俺の世界ではほとんど空想上の設定として認識されてるんですよ」
「へぇ……異世界って不思議なところなのね。興味あるわ」
俺からすればこの世界の方が不思議に溢れるんだよな、なんて思っていると服の裾がクイクイと引っ張れる。見てみるとマルセルが俺を見上げていた。
「ニロお兄さんって、異世界から来たってほんとか?」
「ほんと?」
俺たちの会話を聞いて気になったのだろう。
マルセルとライネルは目を輝かせている。
「あぁ、本当だよ」
「そっか……だから服も、家の中も変なものだらけなんだな」
「すごいねぇ!」
変なものだらけ……そ、そんなに?
文化の違いに軽くショックを受けているとデリックがようやくアイテムボックスから魔道具を探し当てたようだ。
手に持っているのは二十センチ程度の小さなトランク。
「待たせたな、ニロ。これが鑑定できる魔道具だ」
「これが?」
セドリックがトランクを開ければ中には手形を取った石膏のような物が入ってる。
「ここに手を置いてくれ」
「はい」
言われるままに手を置くと石膏が淡い青色に光りだした。
「うおっ!?」
「手を離すなよ」
驚いたがデリックに言われそのまま手を置いているとやがて光は収まり空中にA4サイズの画面が現れた。
「わ、っ!なんか出てきました!」
「それが鑑定の内容だ。お前にしか見えないものでレベルやスキルなんかが記載されてる」
「分かりました」
頷いて画面を確認する。
『 名前 ニロ 33歳
異世界転移者
レベル0
魔力0
スキル ミニチュア実体化 レベル5』
………………..。
…………。
……。
「……セドリックさん。俺、レベルと魔力がゼロって出てるんですが」
「は?ありえないだろう、この世界のものなら赤子でない限りレベルも魔力もゼロなんて……あ、そういえばお前異世界人だったな。無くても仕方ないか」
「なんてこった……!!」
がくりと膝をつく。
レベルも魔力もゼロってどういうことだよ!?!?
普通は転移特典とかで魔力めっちゃあるとか、何かしらチート的な要素があるもんじゃないのか!?いや、あるにはあるけど!!ミニチュアの実体化だけかよ!!
だが……諦めるにはまだ早いっ!ゼロならあとは増えるだけ!
「セドリックさん!レベルがゼロってことはこれから上がるってことですよね!?」
僅かな望みをかけて尋ねればセドリックはなんとも言えない顔になった。
「ニロ、魔力がないとレベルは上がらない。レベルは魔力の消費によって上がるもので、魔法を使わない剣士でも魔力を体内で巡らせ戦うことでレベルが上がるものだからな……魔力がないニロはレベルを上げられない」
「うっそだろ!嘘だと言ってくださいセドリックさあぁん!!」
「現実だ」
「うあぁぁっ!」
縋りつけばグイッと押しのけられ、容赦ない現実を突きつけてられ俺は撃沈した。
リビングへセドリックを案内するとエリシアの後ろにマルセルとライネルが隠れる。しかしセドリックは気にした様子もなく観察するだけだ。
「はい。兄のマルセルと弟のライネルです。二人とも、俺がお世話になってるセドリックさんだよ、怖い人じゃないからご挨拶して?」
「俺はマルセル」
「……ライネル」
人見知りなのか名乗りはするもののエリシアの後ろから出てこようとしない。
「……エリシアには随分懐いているんだな」
「子供は素直だから優しい人が分かるのよ」
「自分で言うな。というかお前はいつまでニロの世話になるつもりだ」
「お父様が諦めるまでね」
「パーティーへの依頼はどうする?」
「……私よりパーティーの依頼の方が大事なのね」
ふん、とそっぽを向いてしまったエリシアを見て俺はあれ?と首を傾げる。
もしかしてエリシアさんって……セドリックさんに好意を持ってるのかも。
「……お姉さん、分かりやすい」
「なのにあっちのお兄さん、鈍感」
獣人兄弟にもわかるらしい。
いつの間にか俺の後ろに移動してきては何かぼそぼそ話している。
子供なのに察しが良いようで。
良いなと思った女性に想い人がいて少しがっかりしながら心の中でこっそり応援することにする。
「それでニロ。そこの兄弟は孤児院に預けるのか?そうであれば俺が評判の良い所を紹介するが」
「いえ、この子たちは俺が面倒を見ます」
「ニロが?」
エリシアと同じ反応だ。
当然だろう、俺にはこの子たちを守る術がないのだから。
だからといって諦めるつもりはない。力がないならつければいい。
「はい。それでお願いがあるんですが、お時間のある時で構いませんので俺に戦い方を教えてくれませんか?この子たちを守れるように」
セドリックは俺の言葉に少し考え込んでいたが「いいだろう」と頷いた。
「ニロが覚悟しているのなら協力する」
「ありがとうございます!」
了承して貰えて助かった。セドリックに断られたらジャックかレイチェルに頼むつもりでいたから。
「協力はするが、ニロはレベルいくつなんだ?それによって教える内容も変わるぞ」
「へ?レベル?」
「……鑑定を受ければ分かるだろう?」
「鑑定……」
まずこの世界にレベルの概念があった事に驚きだ。
ぽかんとしているとセドリックが首を傾げる。
「もしかしてニロの世界には鑑定がないのか?」
お宝鑑定団ならいたけどきっとこれはそういうことじゃない。
「えっと、ないですね。レベルと言う概念も遊びの中にはあったりしますけどそれだけで」
「…………マジか」
「マジです」
最初にあった時、異世界から来たことは話したけどレベルだの鑑定だのの話はしなかったので知らなかったが、この世界にはレベルという概念がありそれらを確かめる鑑定というスキルもあるらしい。
そういう如何にもなファンタジー要素はもっと、もっと早く知りたかったです!!
「鑑定ってどうやって受けられるんですか?」
「少し待ってくれ、確か鑑定できる魔道具があった……はず……」
セドリックはそういいながらアイテムボックスに手を突っ込み探っている。
「鑑定もレベルもないなんて、ニロの世界じゃどうやって能力を確認してたの?」
エリシアに問われ俺は苦笑浮かべる。
「魔物もいなかったですし、魔法もありませんでしたからね……この世界じゃ当たり前のことが、俺の世界ではほとんど空想上の設定として認識されてるんですよ」
「へぇ……異世界って不思議なところなのね。興味あるわ」
俺からすればこの世界の方が不思議に溢れるんだよな、なんて思っていると服の裾がクイクイと引っ張れる。見てみるとマルセルが俺を見上げていた。
「ニロお兄さんって、異世界から来たってほんとか?」
「ほんと?」
俺たちの会話を聞いて気になったのだろう。
マルセルとライネルは目を輝かせている。
「あぁ、本当だよ」
「そっか……だから服も、家の中も変なものだらけなんだな」
「すごいねぇ!」
変なものだらけ……そ、そんなに?
文化の違いに軽くショックを受けているとデリックがようやくアイテムボックスから魔道具を探し当てたようだ。
手に持っているのは二十センチ程度の小さなトランク。
「待たせたな、ニロ。これが鑑定できる魔道具だ」
「これが?」
セドリックがトランクを開ければ中には手形を取った石膏のような物が入ってる。
「ここに手を置いてくれ」
「はい」
言われるままに手を置くと石膏が淡い青色に光りだした。
「うおっ!?」
「手を離すなよ」
驚いたがデリックに言われそのまま手を置いているとやがて光は収まり空中にA4サイズの画面が現れた。
「わ、っ!なんか出てきました!」
「それが鑑定の内容だ。お前にしか見えないものでレベルやスキルなんかが記載されてる」
「分かりました」
頷いて画面を確認する。
『 名前 ニロ 33歳
異世界転移者
レベル0
魔力0
スキル ミニチュア実体化 レベル5』
………………..。
…………。
……。
「……セドリックさん。俺、レベルと魔力がゼロって出てるんですが」
「は?ありえないだろう、この世界のものなら赤子でない限りレベルも魔力もゼロなんて……あ、そういえばお前異世界人だったな。無くても仕方ないか」
「なんてこった……!!」
がくりと膝をつく。
レベルも魔力もゼロってどういうことだよ!?!?
普通は転移特典とかで魔力めっちゃあるとか、何かしらチート的な要素があるもんじゃないのか!?いや、あるにはあるけど!!ミニチュアの実体化だけかよ!!
だが……諦めるにはまだ早いっ!ゼロならあとは増えるだけ!
「セドリックさん!レベルがゼロってことはこれから上がるってことですよね!?」
僅かな望みをかけて尋ねればセドリックはなんとも言えない顔になった。
「ニロ、魔力がないとレベルは上がらない。レベルは魔力の消費によって上がるもので、魔法を使わない剣士でも魔力を体内で巡らせ戦うことでレベルが上がるものだからな……魔力がないニロはレベルを上げられない」
「うっそだろ!嘘だと言ってくださいセドリックさあぁん!!」
「現実だ」
「うあぁぁっ!」
縋りつけばグイッと押しのけられ、容赦ない現実を突きつけてられ俺は撃沈した。
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