バーチャル女子高生

廣瀬純一

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胸囲の測定

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**「仮想世界の胸囲測定」**

身体測定の流れは順調に進んでいたが、陽介にとって最も気がかりだったのは最後の項目、「胸囲の測定」だった。列が進むにつれ、なんとも言えない緊張感が胸の内を占めていく。

「これ、本当にやるのか…?」

陽介はアバターのひよりとして測定に挑むものの、現実の自分は35歳の男性。VRであるとわかっていても、胸囲を測定されるという状況にはどうにも気まずさを覚えた。

---

「次の人どうぞ~!」

体育館の端に設置された測定コーナーに呼ばれた陽介は、なるべく自然に振る舞おうと努力した。測定員もアバターの女性で、優しく微笑みながら測定用のメジャーを手にしていた。

「リラックスしてね、すぐ終わるから!」

そう言われても、陽介の心は穏やかではなかった。

「じゃあ、腕を少し広げてね~。」

言われるままに腕を広げる。メジャーがひよりの胸元にそっと触れた瞬間、陽介はVRヘッドセット越しに感じる「触覚のリアルさ」に驚いた。

「うわっ…これ、思ったよりリアルじゃないか…!」

胸元にメジャーが当たる感覚は、微妙に反映されているようだった。実際に触られているわけではないとわかっていても、思わず体がこわばる。

---

測定員は手際よく作業を進めていたが、陽介は終始挙動不審だった。

「うーん、朝比奈さん、少し息を止めてくれる?」

「えっ、あ…はい!」

測定員の言葉に従い、陽介は息を止めたものの、内心では別の意味で息苦しさを感じていた。

---

「はい、測定終わりました!胸囲は…82センチですね!」

測定員が明るい声で告げる。陽介は安堵しながらも、複雑な気持ちを抱えてその場を後にした。

---

教室に戻ると、友達たちが自分の測定結果について話していた。

「朝比奈さん、胸囲82センチだって?細いし、スタイルいいよね~!」

クラスメイトの言葉に、陽介はぎこちない笑みを浮かべる。

「そ、そうかな…ありがとう…」

心の中では何とも言えない気まずさを覚えながらも、ひよりとしての役を演じ続けた。

---

その日の夜、ログアウトした陽介は、深いため息をついた。

「こんな体験、現実じゃ絶対にありえないだろうな…」

バーチャルの身体測定は、ただのデータのやりとりに過ぎない。しかし、陽介にとっては、心拍数が上がりっぱなしの特別な一日となったのだった。
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