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元の体に戻れる期限
しおりを挟む学校帰りのファミレス。タケル、ジュン、美咲、健一の四人はテーブルを囲んでいた。美咲(健一の体)が、少し緊張した面持ちでスマートフォンを手にしている。
「ちょっとみんな、聞いてほしいことがあるの。」
美咲が切り出すと、全員が彼女に注目した。
「またネットで何か調べたの?」
健一(美咲の体)が興味津々で尋ねる。
「そう。でも今回は少し深刻かも。」
美咲はため息をつき、続けた。
「入れ替わりについて調べてたら、ある記事にたどり着いたの。そこにはこう書かれてた――『体が入れ替わった状態が一年以上続くと、元の体には二度と戻れなくなる』って。」
***
### 驚きと不安
「えっ?」
ジュン(タケルの体)は目を見開いて椅子を引き寄せた。
「それ、本当なの? 信じられないけど…」
「私も最初はデマかなって思った。でも、いろんなサイトを見たら、同じことが書いてあるの。」
美咲の声には真剣さが滲んでいた。
「そんなの、もっと早く言ってよ!」
タケル(ジュンの体)が焦ったようにテーブルを叩く。
「ていうか、俺たちいつ入れ替わったっけ?覚えてる?」
「入れ替わったのは…3月だったから、もうすぐ8カ月経つよ。」
ジュンが冷静に答える。
「つまり、あと4カ月しかないってこと?」
健一の声には不安が混じっていた。
「その通り。」
美咲はうなずきながら、全員の顔を見回した。
「これからどうするか、ちゃんと考えないと。」
***
### 事態の整理
四人は改めてこれまでの出来事を振り返った。入れ替わりの原因を思い出そうとしたが、明確な答えは出ない。
「美咲の言った通りなら、元に戻れる方法を早く見つけないとマズいよね。」
タケルが真剣な表情で言う。
「でも、今までいろいろ試してきたけど、何も効果なかったよね。」
ジュンは腕を組みながらため息をついた。
「いや、何か突破口があるはずだよ。」
健一が力強く言った。
「一年以内ってことは、その間に元に戻れる可能性もあるってことだろ?諦めるのはまだ早い。」
「うん。私もそう思う。」
美咲は頷き、続けた。
「それに、今回はみんなで力を合わせれば、何とかなるかもしれない。」
***
### 希望を見出して
重い話題の中にも、四人の間にはどこか前向きな空気が生まれていた。
「よし、まずは引き続き情報を集めるのと、怪しい場所を探してみよう。」
タケルが提案すると、全員が同意した。
「それから、もしまた不思議なことが起こったら、すぐに記録しておこう。」
ジュンが補足する。
「わかった。みんなで協力してやってみよう!」
健一の明るい声が響き、四人はそれぞれの決意を胸に秘めた。
ファミレスの窓の外では夕日が沈み、次なる挑戦が彼らを待ち構えているかのように、夜が静かに訪れようとしていた。
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