魔法の本

廣瀬純一

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一日の終わりに

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タケル(ジュンの体)は自宅の浴室のドアをゆっくり閉めた。鏡に映るジュンの姿に、思わずため息をつく。  

「はぁ…。これ、本当に俺なのかよ。」  

今日一日、タケルにとっては試練の連続だった。ジュンの体で学校生活を送り、新体操部の練習に参加し、何もかもが慣れないことばかり。特にレオタード姿の自分を見た瞬間は、この状況の現実を突きつけられるようだった。  

浴槽にお湯を溜める間、タケルは服を脱ぎ、鏡の前で一瞬立ち止まった。  

「なんか、目のやり場に困るな…。でも、これがジュンの体なんだよな。」  

心の中では、彼女に対する気まずさと申し訳なさが入り混じる。それでも、湯気が立ち始めた浴室の中で少しだけ冷静になることができた。  

***

### 湯船の中で  

熱い湯船に体を沈めると、タケルは少しだけ気持ちが落ち着いた。  

「今日だけでどれだけ恥ずかしい思いしたんだろうな…。」  

男子トイレに間違えて入ったこと、部活でレオタードを着たこと、そしてジュンの友達から話しかけられるたびにどう振る舞えばいいのか分からなかったこと。  

「ジュンはこんな毎日を普通にこなしてるのか。すげえよな。」  

湯気が顔に触れ、タケルは目を閉じて思い出を反芻した。  

「あの先輩も、俺がジュンじゃないって気づいてたんじゃないか…?いや、まさか。」  

***

### ジュンへの思い  

タケルはふと、ジュンの顔を思い浮かべた。彼女はいつも強気で、しっかり者だ。でも今日、自分の体を任されているプレッシャーを改めて感じた。  

「ジュンだって、俺の体でバスケ部やってんだもんな…。なんか、もっと感謝しないとダメだよな。」  

湯船に沈む水音が心地よい静けさを作り出す。  

「でも、これからどうなるんだろう?戻る方法とか、全然分かんないし…。」  

タケルは天井を見上げ、ため息をついた。  

「ま、悩んでも仕方ないか。とりあえず明日も、全力でやるしかないよな。」  

そう自分に言い聞かせると、タケルはお湯から上がり、タオルで体を拭きながら、鏡の中の自分を見つめた。  

「ジュン、俺も頑張るから、お前もちゃんと俺の体、大事にしてくれよな。」  

タケルは心の中でそうつぶやき、明日に備えるため早めに布団に潜り込むことを決めたのだった。  
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