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もし自分が女の子だったら
しおりを挟む誰もが一度は思ったことが有る筈です。もし自分が異性の男性や女性だったらどんな人生だったのか?
松岡翔太も、ふとした瞬間に思うことがあった。もし自分が女の子だったら、どんな人生になっていたのだろう、と。大学で心理学を専攻している彼は、性別による社会的な役割や期待の違いについて学ぶたびに、そんな空想を抱くことがあった。もちろん、現実にはどうしようもないことだと思っていたのだが…。
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### **目覚めの違和感**
その朝、翔太はいつも通り目を覚ました。しかし、目を開けた瞬間、彼は自分の部屋ではない場所にいることに気が付いた。天井は低く、壁にはかわいらしい花柄の壁紙が貼られている。周りにはぬいぐるみや絵本が並び、まるで誰かの子ども部屋のようだった。
「…何だこれ?」
ぼんやりとした頭で周囲を見回しながら、翔太は布団をはねのけようとした。ところが、手に映ったのは小さくてぷっくりとした幼い手。驚いて布団を跳ね飛ばすと、自分が着ているのはピンク色のかわいいパジャマだった。
「え…?」
翔太は慌てて立ち上がり、部屋の隅にある姿見の前に駆け寄った。鏡に映っていたのは、翔太ではなく、肩までの黒髪を揺らした小学生くらいの女の子だった。
「これ、俺…?」
翔太は鏡の中の自分――いや、自分ではない少女の顔を凝視した。その少女は、自分が知っている誰にも似ていない。それでも、なぜか「松岡翔子」という名前が頭に浮かんだ。
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### **新しい自分**
驚きと混乱で心臓が早鐘のように鳴る中、翔太――いや翔子は、思わず声を出してみた。「おはよう!」明るく高い声が自分の口から発せられる。
「まじで…俺、女の子になってる?」
頭の中で「現実的にあり得るのか?」と問い続けても、目の前の鏡が示しているのは否応なしの事実だった。松岡翔太は、なぜか小学三年生の女の子「松岡翔子」になってしまったのだ――。
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### **不思議な一日の始まり**
部屋を探ろうとドアを開けた瞬間、「翔子ちゃん、朝ごはんできたわよ!」という優しい女性の声が聞こえてきた。どうやら翔子の「母親」の声らしい。
翔太――いや翔子は、深呼吸して自分を落ち着かせると、ドキドキしながら声のする方へ向かった。これが、自分の新しい人生の始まりだとは、この時まだ知る由もなかった…。
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