小学生をもう一度

廣瀬純一

文字の大きさ
上 下
1 / 14

もし自分が女の子だったら

しおりを挟む

誰もが一度は思ったことが有る筈です。もし自分が異性の男性や女性だったらどんな人生だったのか?

松岡翔太も、ふとした瞬間に思うことがあった。もし自分が女の子だったら、どんな人生になっていたのだろう、と。大学で心理学を専攻している彼は、性別による社会的な役割や期待の違いについて学ぶたびに、そんな空想を抱くことがあった。もちろん、現実にはどうしようもないことだと思っていたのだが…。  

---

### **目覚めの違和感**  

その朝、翔太はいつも通り目を覚ました。しかし、目を開けた瞬間、彼は自分の部屋ではない場所にいることに気が付いた。天井は低く、壁にはかわいらしい花柄の壁紙が貼られている。周りにはぬいぐるみや絵本が並び、まるで誰かの子ども部屋のようだった。  

「…何だこれ?」  

ぼんやりとした頭で周囲を見回しながら、翔太は布団をはねのけようとした。ところが、手に映ったのは小さくてぷっくりとした幼い手。驚いて布団を跳ね飛ばすと、自分が着ているのはピンク色のかわいいパジャマだった。  

「え…?」  

翔太は慌てて立ち上がり、部屋の隅にある姿見の前に駆け寄った。鏡に映っていたのは、翔太ではなく、肩までの黒髪を揺らした小学生くらいの女の子だった。  

「これ、俺…?」  

翔太は鏡の中の自分――いや、自分ではない少女の顔を凝視した。その少女は、自分が知っている誰にも似ていない。それでも、なぜか「松岡翔子」という名前が頭に浮かんだ。  

---

### **新しい自分**  

驚きと混乱で心臓が早鐘のように鳴る中、翔太――いや翔子は、思わず声を出してみた。「おはよう!」明るく高い声が自分の口から発せられる。  

「まじで…俺、女の子になってる?」  

頭の中で「現実的にあり得るのか?」と問い続けても、目の前の鏡が示しているのは否応なしの事実だった。松岡翔太は、なぜか小学三年生の女の子「松岡翔子」になってしまったのだ――。  

---

### **不思議な一日の始まり**  

部屋を探ろうとドアを開けた瞬間、「翔子ちゃん、朝ごはんできたわよ!」という優しい女性の声が聞こえてきた。どうやら翔子の「母親」の声らしい。  

翔太――いや翔子は、深呼吸して自分を落ち着かせると、ドキドキしながら声のする方へ向かった。これが、自分の新しい人生の始まりだとは、この時まだ知る由もなかった…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...