性転のへきれき

廣瀬純七

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突然の入れ替わり

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夏休みに入る前の7月中頃の月曜日の事だった。活発でいたずら好きな17歳の男子高校生の田中裕人と勉強家でしっかり者の17歳の女子高生の佐藤美月(裕人の幼馴染みのクラスメイト)は、一緒に学校から帰る途中に急に辺りが暗くなりポツポツと雨が降りだした。
「あっ、雨だ!」
「えっ、本当っ、凄い雨っ!」
二人は突然の豪雨に見舞われた。
「あの木の下で雨宿りをしよう!」裕人が近くにある公園の木を指差した。
裕人は美月の手を握って急ぎ足で公園の大きな樫の木の下に逃げようとした。その時突然、稲妻が近くの地面に落ちてしまった。目のくらむような閃光と耳をつんざくような亀裂、
「あーーーっ!」
二人は同時に声を上げてその場に倒れ込んだ。
そして暫らくの静寂のあとに裕人はズキズキとした頭痛で意識を取り戻した。
「あっ、頭がいたい!」
裕人は起き上がった。そしてなぜか不思議なほどに体が軽い感じになっていた。裕人は自分の手を見下ろした――それは自分のものではない細くて白い女の子の様な手であった。パニックが裕人の中に押し寄せた。裕人の向かいでは美月も頭を押さえてうめき声を上げていた。しかし、美月の声は何か...男の様な低い声だった?
「痛い!頭が痛い!」
美月の口から出たのは裕人の声だった!
二人は信じられないという表情で見つめ合った。
「おっ俺っ?」
「わっ私っ?」
そして二人はお互いの体が入れ替わっている事に気が付いた。
「あーっ!俺(私)たち入れ替わってる!」
二人は同時に声を上げた。
「えっ、あなたは裕人なの?」
「お前は、美月なのか?」
美月と裕人はお互いに体の中身の確認をした。
「俺は裕人だよ!」と美月の体になった裕人が応えた。
「私は美月よ!」と裕人の体になった美月が応えた。
「一体どうなっているんだ?」
「私と裕人の体が入れ替わったの?」
そしてお互いに自分自身の顔や髪の毛や胸や股間を触って確認をした。
「チョット止めてよ裕人っ!」美月が急に怒って裕人の右手を掴んだ。
「私の胸とか体をそんなに触らないでよ!」
「あっ、御免御免!俺に胸があってチ○コが無いから混乱して何度も触ってしまったよ、本当に御免っ!」
裕人は美月に謝罪した。
「当たり前でしょう!裕人は今は女の子なんだからそんなもの付いている訳ないでしょう!ねっ、これからどうするの私達?」美月が裕人に聞いた。
「とりあえず俺は美月の家に帰って美月は俺の家に帰るしかないよな?」
「そうね、そうしないと家族が混乱するわね、裕人と私の体が入れ替わったと言っても絶対に信じて貰えないわよね!」
「じゃあ、俺は頑張って美月のふりをするから美月も俺のふりをしてくれよ!」
「うん、あまり自信がないけどそうするしかないわね!」
二人は入れ替わった体の家に帰宅する事にした。
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