俺が咲良で咲良が俺で

廣瀬純七

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咲良の問いかけ

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夕方、桜ケ丘高校の校庭で、咲良と健太はサッカーの練習が終わった後の涼しい風に当たりながらベンチに腰掛けていた。夕陽が二人の影を長く伸ばし、学校を囲む木々を赤く染めている。  

「ねえ、健太。」咲良がふいに口を開いた。  
「ん?どうした?」健太は水筒の蓋を開けながら答える。  

「もし、また私たちの体が入れ替わったらどうする?」咲良の声には、少しからかうような響きがあった。  

健太は一瞬だけ考えるふりをして、笑顔で答えた。  
「生理がなければ、いつでも入れ替わってもいいよ!」  

その言葉を聞いた瞬間、咲良は目を見開き、あっけにとられた表情を見せたが、すぐに頬を膨らませて反論した。  
「ちょっと!そんな簡単に言わないでよ!女の子は本当に大変なんだから!」  

健太は笑いを堪えながら、手をひらひらと振った。  
「いやいや、分かってるよ。俺が咲良の体だった時、生理で練習を休んでたじゃん。あの時は女の子は大変だなって思ったよ。」  

「でしょ?」咲良は腕を組んで、少し得意げな表情を浮かべた。  
「女の子って、男の子が思ってる以上に大変なの。生理の時だけじゃないわよ。毎日、体型とか肌とかいろいろ気を使わなきゃいけないし、制服のスカートが風でめくれないかも気にしなきゃいけないの。」  

健太は真剣に頷きながら聞いていたが、ふと目を輝かせた。  
「そうか!でもさ、逆に言うと、咲良だって俺の体で筋肉痛とか、あの厳しいサッカー部の練習を体験したんだから、お互い様じゃない?」  

咲良はそれを聞いて一瞬考え込んだが、苦笑いを浮かべた。  
「まあ、それはそうかもね。男の子の体でサッカー部の練習に参加してみて、確かにすごくきつかったわ。でも…やっぱり私は女の子のままでいいかな。」  

健太は肩をすくめながら笑った。  
「俺も俺で、男のままでいいや。女の子の生活は…俺には向いてないな。でも咲良の体でサッカーをした時は本当に楽しかったよ!」」  

咲良も笑いながら、夕陽の方を見つめた。  
「そうだよね。でも、もしまた入れ替わったら、今度はもっとお互いを助け合おうよ。お互いの大変さも分かったんだしさ。」  

健太は力強く頷き、拳を咲良に向けて差し出した。  
「もちろんだよ!その時はまた二人で頑張ろうよ!」  

咲良も笑顔で拳を軽く合わせ、二人はどこか安心したように肩を並べて夕焼けを眺め続けた。
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