性転換マッサージ

廣瀬純一

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変わる自分、見つける自分

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平凡なサラリーマン生活を送る田中直樹(たなかなおき)は、どこか毎日が退屈で、何かが欠けているような感覚を抱えていた。朝はぎりぎりに目を覚まし、スーツに袖を通して会社へ向かう。仕事はこなすものの、特に大きな目標や情熱を持つわけでもない。自分が何を望んでいるのか、彼自身にも分からなかった。

ある日、いつものように仕事帰りの繁華街を歩いていると、不思議な看板が目に入った。  
「**性転換マッサージ - 新しい自分を見つける旅**」  
控えめなデザインながら、その文言は妙に印象的で、彼の足を止めた。

「性転換…マッサージ?なんだそれ。」

好奇心と少しの怪しさを抱えつつ、直樹は看板をじっと見つめる。気づけばその店の入り口に立っていた。周囲を見渡してから、意を決してドアを押す。

---

中は意外にも落ち着いた雰囲気だった。静かな音楽が流れ、アロマの香りが漂っている。受付にいたのは、物腰の柔らかい女性だった。

「ようこそ。当店では、特別なマッサージを通じてお客様に新しい体験をご提供しております。」

彼女の言葉は柔らかくも、どこか神秘的な響きを持っていた。

「新しい…体験?具体的には?」

「簡単に言えば、性別を超えた感覚を味わえる施術です。体が変わるわけではありませんが、一時的に異なる性の感覚を体験できる特別な技術を使っています。興味がありましたら、お試しコースをどうぞ。」

普通なら怪しげだと笑い飛ばして帰るところだ。しかし、彼女の自信に満ちた笑顔と穏やかな雰囲気に引き込まれ、直樹は思わず頷いていた。

---

施術室に通され、ベッドに横たわると、優しいタッチでマッサージが始まった。初めはただのリラックスできるマッサージだと思っていた。だが、次第に不思議な感覚が体を包み込む。

「これは…?」

声を出そうとした直樹は、違和感に気づいた。その声が、自分のものとは明らかに違っていたのだ。

「田中様、今の感覚をしっかりと楽しんでください。それが、あなたがまだ知らない『新しい自分』の入り口です。」

受付の女性の言葉が、遠くで響くように聞こえる。

---

その日から、直樹の世界は少しずつ、しかし確実に変わり始めた。  
「新しい自分」とは何なのか?本当の自分はどこにいるのか?  
性転換マッサージが導く奇妙で不思議な旅が、彼の人生を大きく動かしていくことになる――。
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