桜ケ丘高校の秘密

廣瀬純七

文字の大きさ
4 / 10

しおりを挟む
### 記憶にない部屋

健太と咲良は学校の異変を解明するため、調査を続けることにした。翌日、昼休みを利用して図書室での検索を試みることに決めたが、道中でふとした違和感を覚えた。

「咲良、こんな場所あったか?」  
健太が指差した先には、見たことのない扉が廊下の奥に現れていた。  

「…ないわよね。ここ、ただの壁だったはず。」咲良も目を見張った。  

二人は目を合わせると、意を決して扉に近づいた。古びた木製のドアには、「立入禁止」と書かれた看板が掛けられているが、明らかに長年使用されていなかったような埃っぽさはない。  

「入る?」健太が尋ねると、咲良は軽く肩をすくめた。  
「ここまできたら、引き返す方が難しいでしょ。」  

ドアノブに手をかけてひねると、意外にも簡単に開いた。中には、古い研究室のような機材が並んでいた。  

---

### 忘れられた記録

部屋の中は薄暗かったが、かつてここで何かが研究されていた形跡がはっきりと残っていた。壁には古い配線やモニターのようなものが取り付けられ、机の上には埃をかぶった書類や資料が散乱している。

咲良が慎重に机の上の書類を拾い上げると、そこには驚くべき記述があった。  
「これ…やっぱり人格交換に関する研究だわ。」  

健太も興味津々で覗き込んだ。  
「『精神共鳴の実験における対象者の選定基準』…対象者は意図的に選ばれるんじゃなく、強い感情が一致した場合に発生する可能性があるって書いてある。」  

「じゃあ、私たちがあの日入れ替わったのは、たまたま…じゃなくて、お互いの気持ちが何か共鳴していたから?」  
咲良の言葉に、健太は思わず言葉を詰まらせた。  

「でも、それがなんで今になって起きたんだろうな。」健太は眉をひそめた。  

さらに机の引き出しを探ると、古びたノートが見つかった。そこには、手書きのメモがびっしりと書かれていた。  
「『試験対象者の精神的つながりが強いほど、装置の稼働が安定する』…なんだこれ。」健太が読み上げると、咲良は真剣な表情になった。  

「精神的つながりって…もしかして、私たちのこと?」  
「それなら、あの地震がきっかけで俺たちが選ばれた理由がわかるかもな。」  

---

### 異常な振動の再来

調査を進める二人だったが、突然、部屋全体が微かに振動し始めた。  

「この感覚…!」咲良が慌てて声を上げる。  

健太もその振動が、体が入れ替わる直前に感じたものと同じだと気づいた。  
「まさか、また装置が作動するのか?」  

二人は慌てて部屋から出ようとしたが、振動は次第に強くなり、部屋全体が光に包まれた。眩しい閃光が二人を襲い、意識が遠のいていく。

---

### 未知の世界への扉

目を覚ましたとき、二人は見知らぬ場所に立っていた。  

周囲には荒涼とした大地が広がり、遠くに見えるのは不気味に輝く塔のような建物だった。  
「…ここ、どこ?」咲良が呆然とつぶやく。  

「学校じゃないのは確かだな。」健太は辺りを見回しながら答えた。  

目の前に現れた謎の機械と奇妙な風景は、これまでの出来事がただの偶然ではなく、さらに大きな謎の一部であることを二人に示していた。

「もう引き返せないわね、健太。」咲良が苦笑すると、健太も力強く頷いた。  
「どこまででも行ってやろうぜ。この謎の正体を突き止めるんだ。」  

こうして、二人は未知の世界での新たな冒険に足を踏み出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

リアルメイドドール

廣瀬純七
SF
リアルなメイドドールが届いた西山健太の不思議な共同生活の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

兄の悪戯

廣瀬純七
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

未来への転送

廣瀬純七
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

処理中です...