桜ケ丘高校の秘密

廣瀬純七

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桜ケ丘高校の二年生になった九月の放課後の教室で健太と咲良は、次の文化祭のテーマについて話し合っていた。  

「うちのクラスは学校の歴史をテーマにするんだってさ。」  
健太がそう言うと、咲良は少し驚いたように目を丸くした。  
「学校の歴史?でも桜ヶ丘高校って、普通の高校じゃないの?」  

「俺もそう思ってたけどさ、図書室に昔の資料が置いてあるらしいんだ。今日、調べに行こうと思ってるんだけど、咲良も一緒に来る?」  

咲良は興味津々で頷いた。二人は放課後に図書室へ向かった。  

### 図書室での発見  

図書室の片隅には、古びた書類や写真が並べられた「学校の歴史コーナー」があった。二人が棚を漁ると、古い地図が出てきた。それには、現在の桜ヶ丘高校の敷地に、戦前の建物が描かれていた。  

「これ、学校ができる前の地図だよな?」健太が地図を指さして言う。  
咲良が地図の隅に記された文字を読んで、顔をしかめた。  
「『旧・日本帝国軍 研究施設跡地』…?何これ。」  

健太と咲良は顔を見合わせた。その後も調べを進めると、桜ヶ丘高校の敷地がかつて日本軍の研究施設として使われていた場所だと記された資料が見つかった。そこには、人体実験や秘密兵器の開発に関わる記述が含まれていた。  

「これ、本当にうちの学校のことなの?」咲良が驚いて問いかけると、健太も困惑した顔で頷いた。  
「多分…そうみたいだな。でも、なんでこんな大事なこと、誰も知らなかったんだ?」  

### 謎が深まる  

二人がさらに資料を読み進めると、「震動発生装置」という聞き慣れない言葉が出てきた。  
「これ、なんか引っかかるな…震動発生装置って、あの時の地震と関係があるんじゃないか?」健太が思い出したように言った。あの時の地震とは約一年前に二人の体が突然入れ替わった地震の事だ。  

咲良もその言葉に引き込まれるように頷いた。  
「もしかして、あの人格交換の機械のこと?だとしたら、やっぱり私たちが経験したあれは…普通の地震じゃなかったのかも。」  

さらに資料には、この施設が戦後に閉鎖され、存在そのものが隠蔽されたことが記されていた。施設跡地に学校を建てることで、歴史を風化させようとした可能性も示唆されていた。  

### 二人の決意  

帰り道、二人は並んで歩きながら考えを巡らせていた。  
「咲良、これってただの偶然じゃないよな。俺たちが体を入れ替わったのも、この学校が何かを隠してるからなのかも。」  
健太が真剣な表情で言うと、咲良も頷いた。  
「そうね。でも、今さらどうしようもないわ。地下室の入り口も消えちゃったし…でも、この秘密を知ってしまった以上、何かの意味がある気がするけど。」  

健太は手を強く握りしめて前を向いた。  
「よし、もっとこの学校のことを調べてみよう。俺たちにしか解けない謎がある気がする。」  

咲良は少し不安そうな表情を浮かべながらも、強い意志で健太を見つめた。  
「分かった。二人でなら、きっと何とかなるわ。」  

そして二人は、新たな謎を追い求める決意を胸に、学校の歴史の真実に迫っていくのだった。
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