ストレンジライフ

廣瀬純一

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トイレでドキドキ

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### 小説:**トイレの戸惑い**

突然の出来事だった。リビングでテレビを観ていた拓也と美咲は、互いに何か異変を感じた。だが、それが何なのか、すぐには分からなかった。

「何か変な感じがしない?」  
美咲が言った。彼女の顔には不安が浮かんでいる。

「うん、俺もなんか…変だな…」  
拓也も首をかしげたが、言葉で説明するには難しい感覚だった。ふと、トイレに行きたくなった拓也は立ち上がった。

「あれ?なんか変だ…」

普段と違う、体の感覚。拓也は足元に違和感を覚えながらもトイレに向かった。座ると、さらに妙な感覚が押し寄せてきた。男性であるはずの拓也の身体からは、まるで女性のような感覚が伝わってくる。

「な、なんだこれ!?」  
彼は叫びそうになり、すぐに立ち上がった。

一方、美咲も同じくトイレに向かっていた。扉を開けて、便座に座ると――違和感が一瞬にして広がった。彼女の身体に、今まで感じたことのない感覚が襲ってきたのだ。

「えっ、何これ!?」  
美咲は慌てて便座から立ち上がった。目を大きく見開き、下半身を確認すると…そこには、自分のものではない、男性の身体があった。

その瞬間、ふたりは同時に気づいた。

「入れ替わってる…?」  
互いに小声で呟き、戸惑いと恐怖が込み上げてきた。

美咲が恐る恐るリビングに戻ると、拓也も立ち尽くしていた。二人は顔を見合わせたが、何を言うべきか分からず、しばらく沈黙が続いた。

「まさか…」  
拓也が口を開く。

「下半身だけ、入れ替わってる…よね?」  
美咲も動揺した声で答える。

「どうしてこんなことが…?」

二人は向かい合って座り、お互いの下半身を確認した。確かに、拓也の上半身には美咲の足が、そして美咲の上半身には拓也の足がつながっている。何度見ても信じられない光景だった。

「これ、どうすればいいの?」  
美咲が混乱したまま尋ねた。

「とりあえず…普通に戻れるかどうか試してみよう」  
拓也は冷静を保とうとしながらも、明らかに困惑していた。

「でも…トイレ、どうすればいいの?」  
美咲の質問に、拓也は答えられなかった。彼もまた、どうすればいいのか分からなかったのだ。

「うーん、まずは…俺、君の下半身を持ってるから、たぶんトイレの仕方も変わるんだよな…」  
拓也は少し顔を赤くしながらも言葉を絞り出した。

「そうだね…私、あなたの下半身持ってるけど…どうすればいいの?」  
美咲も顔を赤らめながら続けた。

「いや、俺が…いや、君が…ええと、もう分かんない!」  
ついに拓也は頭を抱え、二人とも深いため息をついた。

「とにかく、まず試してみるしかないよな…」  
拓也が立ち上がり、美咲に一歩近づいた。「その、君が俺の下半身を持ってるってことは、俺が君に教えられることは…ないんだよな?」

「うん…でも、拓也さんも私の下半身だよ?そっちも分からないよね?」  
美咲は少しおかしくなって笑い出した。それに釣られて、拓也も苦笑いを浮かべた。

「この状況、笑うしかないよな…」  
二人は、少し落ち着きを取り戻しながら、次の行動に移ろうとした。

「あ、でも、ちょっと待って…」  
拓也は、ふと何かを思い出したように言った。「君の体に、どうやってちゃんと座るか、教えないとダメかも…」

「そ、そんなこと言われても…!」  
美咲は頬を赤らめながら答えた。

---

そして二人は、互いの体を使うことに少しずつ慣れていく。しかし、それは二人にとって、これまで経験したことのない奇妙な一日となった。

結局、下半身が元に戻るまでの間、彼らはお互いの感覚をシェアしながら、新しい生活を模索し始めるのだった。
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