宇宙人へのレポート

廣瀬純一

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雪山の遭難

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直人と紗栄子は大学の冬休みを利用して、友人たちと雪山へスノーボードに出かけることになった。朝から白銀の世界で滑る楽しさを満喫し、二人とも体は冷えながらも心は温かく、存分に冬のアクティビティを楽しんでいた。

しかし、午後になると突然の雪嵐に見舞われ、視界は一気に悪くなった。友人たちとはぐれ、なんとか山小屋に向かおうとする二人だったが、深い雪と冷たい風に進むのもままならなくなってしまった。何とか寒さをしのげる場所を探し、ふらふらと歩きながらも、彼らの不安は次第に募っていった。

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**絶体絶命の危機**

「もう、手が冷たくて感覚がなくなってきた…」と、紗栄子の体になっている直人がつぶやいた。紗栄子もまた、直人の体でこの寒さに耐えるのが限界に近づいていた。

「私たち、どうすれば…」と呟きながら、二人はお互いに寄り添って体温を保とうとしたが、雪嵐はさらに激しさを増していた。体力も尽きかけ、まさに絶望の瞬間が訪れようとしていた時、彼らの視界の上にふと奇妙な光が差し込んだ。

「えっ、これってまさか…!」と紗栄子がつぶやき、二人で空を見上げた。その光源は、以前も見たことのあるUFOだったのだ。UFOは夜空に浮かびながら、不思議な音を発し、ゆっくりと二人に近づいてきた。

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**宇宙人の救助**

頭の中に、再び宇宙人の声が直接響いた。

「地球人の観察を続けるため、必要な支援を提供する。我々はお前たちをここから救出する」

その言葉が響くと同時に、二人の体がふわりと浮かび上がり、光に包まれた。まるで重力がないかのように、二人は徐々にUFOの方へと引き寄せられていく。その瞬間、凍える寒さが少しずつ和らいでいき、彼らの体に温かいエネルギーが満ちていくのが感じられた。

UFOの内部は不思議な光で満たされており、どこか無機質でありながらも、心地よい安らぎを与える空間だった。そこに到着するやいなや、宇宙人の機械的な声が再び二人に語りかけてきた。

「お前たちの地球での経験は観察において重要である。よって、この状況においても支援を惜しまない。しばらくの間、この空間で回復を図れ」

二人は、暖かい布のようなシートに座らされ、緊張を解くように少しずつ息を整えた。雪山の寒さが嘘のように消え去り、体がじんわりと温まっていく感覚に安堵を覚えた。

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**宇宙人との対話**

「ありがとう、本当に助かった…」と直人が感謝を伝えると、宇宙人は再び淡々とした口調で答えた。

「お前たちは既に半年以上、観察対象として有意義なデータを提供している。互いの体での生活において、理解と共感が深まっていることは我々にも伝わっている。その学びは、地球の社会でも多くの者が求めるものだ」

「それじゃあ、あなたたちはずっと私たちを見守っているの?」と紗栄子が尋ねると、宇宙人は頷いたように光を瞬かせた。

「そうだ。我々の観察は、単なる学びではなく、共存への道を模索するための一環でもある。お前たちの体験を通じて、地球人同士がより深く理解し合う道筋を探るためでもある」

その言葉を聞き、直人と紗栄子は改めて自分たちの体験が宇宙人の視点でどれほど重要視されているかを感じ取った。二人が交わることのなかった異なる視点を共有し合うことが、実は大きな意義を持っていたのだ。

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**地上への帰還**

しばらくして、二人は完全に体力を取り戻し、雪山の天候も少しずつ回復し始めた。宇宙人は彼らを安全な場所へと送り届ける準備を整え、再び地球への降下が始まった。

二人は再び淡い光に包まれ、気づけば山小屋の近くにそっと下ろされていた。見上げると、UFOは一瞬の輝きを放ってから空高く飛び去っていった。

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**新たな気づき**

雪山での出来事を思い返しながら、二人は肩を寄せ合って山小屋へと歩き始めた。

「まさか、宇宙人に助けてもらうことになるなんて…」と直人が笑いながら言うと、紗栄子も「ほんと、異文化交流にもほどがあるよね」と笑った。

ただ、今回の救出劇を通して、二人はさらに深く互いの存在に感謝し、支え合う意識を持つようになった。雪山での命の危機が、彼らの心を一層近づけたのだ。

こうして、再び地上に戻ってきた二人は、冬の夜空に浮かぶ星々を見上げながら、宇宙人と過ごした不思議な体験に思いを馳せた。この体験を通じて、二人はより一層、地球上での「共存」についても考えるようになっていったのだった。
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