宇宙人へのレポート

廣瀬純一

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UFOとの再遭遇

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その夜、直人と紗栄子はいつものように帰り道を歩いていた。すっかり肌寒くなり、木々も冬に向かって色づき始めた。入れ替わり生活も半年が過ぎ、二人は日々のレポートや新しい体験を通して、最初に感じていた戸惑いや違和感も随分と少なくなっていた。

「もうすぐ私たち、入れ替わってから半年になるんだね」と紗栄子が言った。

「そうだな。最初はびっくりしたけど、思ってたよりもずっと早く慣れた気がする」と直人も微笑んだ。

その時、ふと彼らの頭上に淡い光がさっと広がり、夜空が一瞬にして明るくなった。

「あれ?またあの光…!」と二人は空を見上げた。そこには半年ぶりに現れたUFOが、静かに浮かんでいたのだ。以前と同じ不思議なオーラを放ち、空に浮かぶその姿は、まるで彼らを観察しているかのようだった。

---

**謎のメッセージ**

二人がその場で驚きながら見上げていると、前と同じように頭の中に直接声が響いた。

「地球人の観察は順調のようだな。我々はお前たちの協力に感謝している。これまでの半年間のレポートは非常に有意義なデータをもたらした」

宇宙人の声は機械的でありながらも、どこか柔らかい響きを持っていた。二人は、これが今までのレポートの成果を確認するための「再訪」だと直感した。

「それじゃあ、もしかして…今日で観察は終わりってことですか?」と直人が心の中で問いかけると、宇宙人はこう返した。

「観察はまだ続けるが、今日、我々は次の段階についての確認を行う」

---

**入れ替わりの解除の条件**

二人が息を呑んで見守る中、宇宙人は続けて話をした。

「もしお前たちが望むなら、入れ替わった状態を元に戻すことができる。しかし、今までの経験を通して深めた知識や理解は、お前たち自身の意志で選び取るべきである」

その言葉に、二人は顔を見合わせた。半年間の生活の中で、お互いの体や感覚を知ることがどれほど特別なものだったかを実感していた。戸惑いと困惑を繰り返しながらも、自分だけでは得られない視点を知り、深く繋がり合うことができた日々だった。

---

**二人の選択**

しばらく考え込んでから、紗栄子がゆっくりと口を開いた。

「今までは、どちらかというと観察しなければいけないっていう義務感で過ごしてきたけど、今は違う気がするの。直人と一緒にこのまま続けることで、もっと深い理解が得られるんじゃないかって」

直人も頷いた。「正直、自分の体に戻りたい気持ちはあるけど…今の生活を通じて学んだことや、相手を思いやる気持ちは、普通じゃ得られなかったものだと思う。だから、もしできるなら、しばらくこのまま続けたい」

二人の決意が固まると、宇宙人からのメッセージが再び届いた。

「なるほど。お前たちの意思は理解した。このまま観察を継続する。だが、今後は単なる観察ではなく、お互いの成長と共感を記録することを目指すと良いだろう」

宇宙人は静かに彼らの意志を受け入れ、再び空高く上昇していった。やがてUFOの光は遠ざかり、冬の夜空に吸い込まれるように消えていった。

---

**日常に戻って**

二人は再び静かな夜道を歩き始めた。元に戻れる機会を目の前にしながらも、選んだのは「このまま相手の体で過ごす」選択だった。それは決して容易ではない道だが、二人は互いに新しい視点を学び、尊重し合いながら生きていく覚悟を持っていた。

「なんだか変な気分だけど、こうやってお互いの生活を体験することで、自分自身の視野も広がっていく気がする」と紗栄子が微笑んだ。

「うん。こうやって、お互いの体験を通して知っていけることが増えるって、すごいことだよな」と直人も同意した。

宇宙人にもう一度選択の機会を与えられたことで、二人は一層互いへの理解を深めていく決意を固めていた。未知の体験とともに、今度は自分たちの意志で選び取った生活が始まるのだった。
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