兄の悪戯

廣瀬純七

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朝、兄と妹の入れ替わり

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ある朝、翔太は目覚ましの音で目を覚ました。ぼんやりとした意識の中で、体がいつもと何か違うような感覚に襲われた。寝返りを打とうとした時、視界に長い髪が広がっているのに気づく。

「ん?なんだこれ…?」

混乱しながら自分の体を確認するために手を伸ばすと、腕は自分のものではなく、華奢で柔らかい。そして、見覚えのないピンクのパジャマを着ていた。

「えっ、何これ!?俺、どうなってんだ!?」

慌てて飛び起き、鏡に駆け寄る。鏡に映っていたのは、妹の花だった。

「うそだろ…俺が花になってる!?どうして!?」

翔太は混乱し、パニックになりながら花の声で叫んだ。

---

一方、隣の部屋で花も目を覚ました。目覚めた瞬間、体が重く、違和感があった。手を動かそうとすると、自分の手ではない大きな手が視界に入る。花は一瞬止まって、恐る恐る体を確認した。

「な、なにこれ…?」

自分の体を確かめ、驚愕の表情を浮かべながらベッドから跳ね起きた。そして、鏡を見て絶叫した。

「えっ!?なんで翔太兄ちゃんがここにいるの!?いや、これ…私が翔太兄ちゃんになってる!!」

慌てて部屋を飛び出し、廊下で鉢合わせた2人は同時に声を上げた。

「おい、どうなってんだよ!?」

「これ、どういうこと!?なんで兄ちゃんの体になってるの!?」

お互いに驚いたまま見つめ合い、何が起きたのか全く理解できなかった。翔太は花の体に、花は翔太の体に閉じ込められている現実が信じられなかった。

---

2人はリビングに集まり、必死に状況を整理しようとした。

「昨日、何か変なことしたか?」翔太(花の体)が聞いた。

「いや、普通に寝ただけだよ。何も特別なことはしてない…」花(翔太の体)は、兄の体で自分の声を出すのに違和感を覚えながら答えた。

「どうするんだよ、これ。学校とか行けないだろ!」

「私だって困るよ!でも…何もわからないし…」花は頭を抱え、深くため息をついた。

2人はしばらく考え込んだが、解決策は全く思いつかなかった。

「とにかく、今日一日はこのままでやるしかないな。あんまり慌ててもしょうがないし…」翔太が提案した。

「えっ!?私が兄ちゃんの学校に行くの?無理だよ、全然ついていけないって!」

「俺だって、花の学校に行くのは嫌だけど…仕方ないだろ。お互いの生活を入れ替えてやるしかないんだから。」

花は不安そうにうなずいたものの、内心では兄の立場で1日を過ごすことに恐怖を感じていた。

---

学校に着いた翔太(花の体)は、妹の制服を着て教室に向かった。クラスメイトに挨拶され、いつもと同じ日常が続いているように見えたが、翔太にとってはまるで別世界だった。女子たちの間で話題になっていること、授業の進め方、すべてが彼にとっては違和感だらけだ。

「ねえ、花、なんか今日変じゃない?」友達の一人が聞いた。

「えっ?あ、ああ、ちょっと寝不足でさ…」翔太は慌てて誤魔化したが、内心はバクバクと心臓が鳴っていた。

一方、花(翔太の体)は兄の友達に囲まれ、スポーツが得意な翔太として振る舞うことに苦戦していた。授業中も、男子のノリについていくのが難しく、体育の時間にはさらに困ったことになった。翔太としてバスケットボールをする羽目になり、彼女はシュートを外し続けた。

「翔太、お前どうしたんだよ?今日は全然ダメじゃん!」

「う、うん、ちょっと調子悪くて…」花はなんとか笑顔を作って誤魔化したが、内心は逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。

---

その夜、家に帰ってきた2人はお互いの疲れ切った顔を見て、思わず笑ってしまった。

「もう無理だよ…兄ちゃんの生活って、こんなに大変だったんだね…」花はぐったりしながら言った。

「俺も、花がこんな大変な思いしてたとは思わなかったよ…女子の生活って、全然違うな…」翔太も同じくぐったりとしていた。

2人は改めて、お互いの大変さを理解し、少しだけ相手に対する尊敬の念を抱いた。

「でも、どうする?明日もこのままなんて、無理だよ…」

「うん、でもさ…ひょっとしたら、明日になれば元に戻るかもよ?」

2人は疲れ果てたまま、希望を胸に抱きながらベッドに戻った。

---

翌朝、翔太はふと目を覚ました。今度は違和感がない。恐る恐る自分の体を確認すると、元通りの自分だった。

「よかった…元に戻ってる!」

すぐに花の部屋に駆け込むと、花も元の体に戻っていてホッとした様子だった。

「お互い、やっぱり自分の体が一番だね…」花は微笑みながら言った。

「うん、本当にそうだな。もう二度と入れ替わりなんて勘弁だよ」と翔太は笑いながら答えた。

その後、2人はこれまで以上にお互いを理解し合い、兄妹としての絆がさらに深まった。どちらも相手の立場を体験したことで、相手の苦労や楽しさを知ることができたのだ。

ただ、入れ替わりの謎は解けないままだったが、もうそれについて深く考えることはなかった。
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