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結衣の決意
しおりを挟む週末の昼下がり、バーチャルの街並みが広がる公園で、結衣は健一と並んで歩いていた。
穏やかな陽射しが木々の隙間から降り注ぎ、どこまでも続く青空が心を軽くしてくれる。
(……今日は、ちゃんと伝えよう。)
玲奈と木島の話を聞いて以来、結衣はずっと考えていた。
「バーチャルの世界で生きる」なんて、研修が始まった頃は考えもしなかったこと。
でも、この二ヶ月間で自分はすっかり「中村結衣」としての生活に馴染んでしまった。
そして――健一の存在が大きかった。
「結衣?」
隣を歩く健一が、不思議そうに覗き込む。
「ごめん、ちょっと考え事してて……。」
「そっか。無理しなくていいよ。でも、もし俺に話せることなら、聞かせてほしいな。」
健一は優しく微笑んだ。
その笑顔を見て、結衣は心を決めた。
ベンチに座り、ゆっくりと口を開く。
「……あのね、健一。前に、結婚を前提に付き合ってほしいって言われた時、すぐに返事ができなかったけど……。」
健一が真剣な表情で結衣を見つめる。
結衣は、彼の目をしっかりと見つめ返した。
「……私、健一と付き合いたい。」
一瞬の沈黙の後――
「……本当に?」
健一の声が驚きと喜びに震えていた。
結衣は照れくさそうに微笑みながら、コクリと頷く。
「うん。まだ、この世界でずっと生きるかどうかは決められないけど……でも、健一と一緒にいるとすごく楽しいし、安心できるの。」
「結衣……。」
健一はゆっくりと結衣の手を取り、優しく握った。
「ありがとう。俺、すごく嬉しい。」
結衣もそっと握り返す。
(この世界での私の人生……もしかしたら、本当にここにあるのかもしれない。)
公園の木々が風に揺れ、穏やかな時間が二人を包み込んでいた。
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