21 / 51
もう一人の木村健一
しおりを挟む翌日の研修。
まだ昨日の出来事が頭に引っかかっていた結衣だったが、気を取り直して仕事に集中しようと心に決めていた。
しかし——
「今日は木村健一君と中村さんの二人に、私の仕事を手伝ってもらうよ!」
高橋先輩の言葉を聞いた瞬間、結衣の動きが止まった。
**(えっ……今、なんて……?)**
「じゃあ、自己紹介しようか。木村君、こっち来て。」
高橋先輩に促され、一人の男性が結衣の前に立つ。
スーツ姿で、どこか見慣れた顔立ち。
そして彼は、ニコッと笑いながら、はっきりと言った。
「中村さん、よろしく! 木村健一です!」
——ドクンッ。
**(……え!?)**
結衣は一瞬、息をするのを忘れた。
目の前に立っているのは、昨日見かけた**自分にそっくりな男**。
だけど、それ以上に衝撃的なのは——
**彼が「木村健一」と名乗ったことだった。**
**(木村健一……それ、俺の名前じゃん!?)**
動揺を隠せないまま、結衣は彼の顔をまじまじと見つめる。
短めの黒髪、しっかりとした眉、落ち着いた表情——
まるで鏡を見ているかのような錯覚を覚えるほど、彼の顔は**リアルの自分と瓜二つ**だった。
しかし、彼の口調も仕草も、自分自身が今まで見てきた「自分」とはどこか違う気がする。
「……あ、あの……よろしくお願いします。」
なんとか言葉を返すが、頭の中は混乱でいっぱいだった。
**(どういうことだ!? 俺は今、中村結衣になってる……なのに、バーチャルの世界に「木村健一」がいる!?)**
彼は、リアルの世界の自分なのか? それとも、AIが作り出した存在なのか?
分からない。
けれど、たった一つだけ確かなことがあった。
**「木村健一」として生きていたはずの自分は、今「中村結衣」としてこの場にいる。**
そして、その目の前には「木村健一」を名乗る別の存在がいる。
このバーチャルの世界には、**まだ自分の知らない“仕掛け”がある**——そう確信せざるを得なかった。
13
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる