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リアルすぎる食事
しおりを挟む研修三日目の昼休み。
結衣——健一は、社員食堂でランチのトレーを持ちながら、改めて驚きを感じていた。
**(……これ、本当にバーチャルの世界なのか?)**
目の前には、湯気を立てる味噌汁、ふっくらと炊かれた白いご飯、ジューシーな照り焼きチキン。
箸で持ち上げると、照り焼きのタレがつややかに光る。
**(見た目は完璧に本物……。)**
そっと口に運ぶと、香ばしく甘辛いタレの味が広がった。
肉の弾力、噛んだときのジューシーな食感、タレが舌に残る感覚——どれを取っても、リアルとしか思えない。
「……すごい。」
思わず小さくつぶやく。
「何がすごいんだ?」
「えっ?」
隣の席に座ったのは、高橋先輩だった。
「飯のことか?」
「あ……はい。あまりにもリアルで……。」
高橋先輩はニッと笑った。
「だろ? ここは食事のクオリティも最先端だからな。」
「これって……どうやって味を感じてるんですか?」
「触覚フィードバックと味覚シミュレーションの技術を組み合わせてるらしいぜ。」
「……難しいですね。」
「簡単に言うと、**脳が味を感じる仕組みを利用して、まるで本当に食べているように錯覚させてる**ってことだ。」
「錯覚……。」
そう聞いても、どうしても納得しきれない。
だって、今も味噌汁をすすれば、ちゃんと出汁の旨味が舌に広がるし、ご飯の一粒一粒の食感まで感じる。
**(本当に錯覚なのか? それとも……?)**
「まあ、深く考えるな。」
高橋先輩が笑いながら言った。
「うまいもんは、うまい。それでいいだろ?」
「……そうですね。」
結衣は、もう一度照り焼きチキンを口に運んだ。
バーチャルのはずなのに、現実と変わらない食事。
この世界は、一体どこまでリアルなんだろう——?
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