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寮のお風呂でのひととき
しおりを挟む研修初日が終わり、結衣——健一は、くたくたになりながら社員寮に戻ってきた。
「ふぅ……やっと終わった……。」
慣れない「女性」としての振る舞い、そして高橋先輩の指導。何もかもが新鮮で、同時に気疲れする一日だった。
部屋に戻ると、すぐにクローゼットからタオルと着替えを取り出し、寮の大浴場へと向かった。
**「とりあえず、お風呂でリラックスしよう……。」**
### **◆**
脱衣所には誰もいなかった。
「ふぅ……」
服を脱ぐと、改めて鏡に映る自分の姿を確認する。
**「やっぱりどう見ても女の身体だよな……。」**
一日中「結衣」として過ごしたものの、改めて裸になると、妙に落ち着かない気持ちになる。
意識しすぎないようにしながらタオルを巻き、浴場へ向かった。
### **◆**
「はぁ~……。」
湯船に浸かると、全身の力が抜けていく。
温かいお湯が疲れをじんわりと溶かしてくれるようだった。
**「これ、本当にバーチャルの世界なのか……?」**
お湯の感触、湯気の匂い、肌にあたる心地よい熱。
どう考えてもリアルすぎる。現実と何が違うのか、もう分からなくなっていた。
目を閉じてのんびりしていると——
**「ふぅ~、今日も疲れた~!」**
突然、浴場の入り口から元気な声が響いた。
結衣は思わずビクッと肩を震わせる。
**——誰か入ってきた!?**
驚いて目を開けると、そこには寮の先輩社員が一人、タオルを持ってこちらに歩いてきていた。
**「やばい……!」**
思わず身体を縮こませる。
当たり前だが、ここは女子寮の大浴場。つまり、入ってくるのは当然女性ばかりなのだ。
「ん? 中村さん?」
「っ!」
声をかけられ、心臓が跳ね上がる。
**「お、お風呂で話しかけられるなんて……!」**
「今日から研修始まったんだよね? お疲れさま!」
先輩は無邪気にそう言うと、湯船の端にちゃぷんと浸かった。
結衣は顔を真っ赤にしながら、ぎこちなく微笑んだ。
「は、はい……ありがとうございます……。」
「あはは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ~。ここじゃみんな同じ女同士なんだから!」
——**女同士。**
その言葉に、結衣は何とも言えない感情を抱えながら、そっと湯船の端に寄った。
初日から、まだまだ慣れないことばかり。
果たして、この三か月間を無事に過ごせるのだろうか?
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