性転換が日常の社会

廣瀬純七

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リクとユウカの結婚

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**リクとユウカの結婚**

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大学卒業から数年が経ち、リクとユウカは再びその関係性を見つめ直す時期に差しかかっていた。大学時代は、性転換サプリを使いながら男性と女性の生活を楽しんでいた二人だったが、社会人としての生活に慣れるにつれて、サプリを飲む頻度が増えてしまいほとんどの時間を異性の姿でいることが多くなっていた。

リク――本名は理奈。彼は今は男性としての生活を続けている。外見も振る舞いも、完全に男性としての自分を確立していた。企業の営業職として働き、仕事場でもリーダーシップを発揮して信頼を得ている。周囲には「リク」としての存在しか知られていないが、それが自然な形で受け入れられていた。

一方、ユウカ――本名は雄介。彼も大学を卒業してから、女性としての自分である「ユウカ」として過ごした日々が、彼女の中に確かな自信をもたらしていた。現在はフリーランスのデザイナーとして活躍し、その仕事の自由さから、ユウカとして生活を楽しんでいた。

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二人は、大学時代の友人関係を続けるうちに、次第に特別な絆を感じるようになっていた。大学時代、互いの性別が異なることや性転換サプリを使う生活を楽しんでいた時から、どこかで感じていたものが、卒業後も続く生活の中でより強くなっていった。

そしてある日、リクは思い切ってユウカに告白した。

「俺たち、もうずっと一緒にいるけど、これからも一緒に生きていかないか?俺、お前のことを本気で愛してる。」

ユウカはその言葉を聞いて一瞬驚いたが、すぐに笑顔を浮かべた。彼女も同じ気持ちだった。

「私もリクと一緒に生きたい。ずっとね。」

二人は自然な流れで結婚を決意した。

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結婚式の日、リクはスーツを身にまとい、堂々とした立ち振る舞いでゲストを迎えていた。彼は男性としての自分に完全に自信を持っており、その姿はまさに新郎そのものだった。

一方、ユウカは純白のウェディングドレスに身を包んでいた。かつての「雄介」としての姿とは大きく異なるが、彼女はユウカとして、この日を迎えることを選んだ。リクと共に過ごすこれからの人生では、女性としての自分をより大切にしていくつもりだった。

結婚式は和やかな雰囲気の中で進行した。友人たちは、リクとユウカの関係を温かく見守り、二人の幸せを心から祝福していた。リクもユウカも、これまでの人生で経験してきたことを振り返りながら、これからの未来を楽しみにしていた。

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披露宴の後、リクとユウカは静かな時間を過ごしていた。ふたりきりになった瞬間、リクがユウカの手をそっと握った。

「俺たち、ここまで来られたんだな。これからも、いろんなことがあるだろうけど、ずっと一緒にいような。」

「うん。私たち、どんな形であれ、一緒にいられるならそれでいいよね。リクも、私も、どんな姿でも大切な自分だし、お互いを受け入れてきたからこそ、ここまで来られたんだと思う。」

リクは優しく微笑み、ユウカの肩を抱き寄せた。

「そうだな。俺たちなら、どんな未来でも乗り越えられる。」

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性転換サプリがもたらしたのは、ただ体を変えることだけではなかった。それは、性別や社会の枠にとらわれない自由な自己表現と、他者との絆を深める力だった。リクとユウカは、互いの多様な側面を受け入れ合いながら、これからも共に歩んでいくのだ。

彼らの結婚は、性別を超えた「人」としての愛と尊重の物語だった。
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