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性転換サプリ
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**性転換サプリと僕の女子高生活**
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「今日も忘れずに飲まなきゃな…」
鏡の前で、僕は一粒のピンク色のカプセルを手に取った。このサプリは、毎日欠かせないものだ。性転換サプリ。これを飲むことで、僕は完全に女性の体になる。髪の質感や肌のきめ細やかさから、声の高さ、そして何より体の曲線までもが自然に変わってしまう。
僕の名前は駿(しゅん)。でも、このサプリを飲んだ後は「しおり」として女子高に通っている。
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すべては、親の勧めで始まったことだった。
僕が中学を卒業する頃、進路のことで色々と悩んでいた。将来の夢もまだ決まらず、男子校に進むか共学に進むか、はたまた全く違う道に進むか…。そんな時、僕の両親がふとこんなことを言い出したのだ。
「駿、もし興味があったら女子高ってどう?最近、性転換サプリも手軽に手に入るようになって、男子でも女子高に通えるって聞いたのよ。」
最初は冗談かと思った。でも、両親は本気だった。性別を変えることが可能なサプリが広まったことで、特定の学校に通うための性別の壁がほぼ取り払われたというのだ。僕は驚いたが、同時に少しだけ興味も湧いてきた。女子高での生活がどんなものか、正直知ってみたいと思った。
結局、好奇心と新しい環境に挑戦してみたいという気持ちが強くなり、僕は女子高への進学を決めた。それから、毎朝「しおり」になるためのサプリを飲む生活が始まった。
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「おはよう、しおり!」
教室に入ると、クラスメイトの奈々(なな)が元気に手を振ってくる。奈々とは入学当初から仲良くなり、今では親友だ。彼女は僕が本当は男だということを知らない。いや、クラスメイト全員が知らない。僕は「しおり」として完全に女子の中に溶け込んでいた。
「おはよう、奈々。」
僕も微笑んで返す。サプリの効果で変わった高い声が自然に出る。
女子高の生活は最初こそ戸惑いもあったが、今ではすっかり慣れた。クラスメイトと一緒にランチを食べ、放課後には買い物に行ったり、カフェでおしゃべりしたりと、普通の女子高生のような日々を過ごしている。制服だって、最初は違和感があったけど、今ではすっかり板についてきた。
だけど、男子としての僕、駿としての自分をどこかで隠していることには、時折罪悪感も覚える。奈々や他の友達が、僕の正体を知ったらどう思うのだろうか。彼女たちとの友情は、偽りの自分の上に成り立っているのだろうか。そんな疑問が、ふとした瞬間に頭をよぎることがある。
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ある日、体育の授業でのことだった。今日はバスケットボールの練習。女子高での体育は、男子と比べて若干ゆったりとしている印象だったけど、それでも真剣に取り組んでいる子たちが多い。僕も「しおり」として、女子に紛れて普通にプレーしていた。
ところが、ある瞬間、つい普段の男子としての動きが出てしまった。シュートを狙っていた奈々がミスした瞬間、無意識に彼女をフォローし、豪快なジャンプでボールをリングに叩き込んでしまったのだ。
一瞬、みんなが固まった。僕も、周囲の視線に気づいて顔が赤くなる。
「しおり、今の…すごすぎない?」
奈々が驚いたように目を丸くして言った。
「あ、いや…ちょっと昔、バスケやってたから…」
僕は慌てて言い訳したが、内心はドキドキしていた。普段の女子らしい動きに慣れていたけれど、体はまだどこかで「駿」としての本来の動きを覚えていた。
それから数日は、周囲から「しおりって意外とアクティブだよね!」とからかわれたり、妙に注目されたりしたけれど、大きな問題にはならなかった。それでも、僕はいつかこの秘密がバレるんじゃないかという不安を抱えたまま、日々を過ごしていた。
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しかし、ある日、事件が起こった。
放課後、奈々と一緒に帰っている時、彼女がふとした表情で僕に言った。
「しおりさ、最近なんか変わったことない?なんか、ちょっと距離感じるんだよね。」
僕は一瞬言葉に詰まった。奈々は鋭い。親友としてずっと一緒にいるから、僕の微妙な変化にも気づいてしまうんだ。
「別に…何もないよ。」
僕は嘘をついて笑顔を作ったが、奈々はその嘘を見抜いていた。
「私たち、親友だよね?何かあったら、ちゃんと言ってほしい。」
奈々の瞳がまっすぐ僕を見つめてくる。
その瞬間、僕はもう隠し続けることができないと思った。ずっと「しおり」として過ごしてきたけれど、本当の自分を見せずに友達でいることは、どこか不誠実だと感じたのだ。
「実は、奈々…僕、男なんだ。」
その言葉が口をついて出た瞬間、奈々の顔は驚きと戸惑いでいっぱいになった。
「え…?男って、どういうこと?」
僕はこれまでのことをすべて話した。性転換サプリのこと、女子高に通うために自分を「しおり」として偽っていたこと、そして奈々たちに本当の自分を隠し続けていたこと。
奈々はしばらく黙って僕の話を聞いていた。そして、やがて口を開いた。
「しおり…いや、駿だったんだね。正直、驚いたけど…それでも、今まで一緒に過ごしてきた時間が偽物だったとは思わないよ。駿がどういう性別であれ、私にとっては大切な友達だよ。」
その言葉に、僕は涙が出そうになった。奈々は、僕がどんな形であれ受け入れてくれたのだ。
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それからも、僕は「しおり」として女子高に通い続けている。奈々をはじめとした友達は、僕の秘密を知りつつも、何も変わらず接してくれている。サプリで性別を変え続ける日々は続くけれど、本当の自分を少しずつ受け入れてくれる人たちがいることで、僕は安心してその生活を続けることができるようになった。
女子高での生活は、僕にとって貴重な経験であり、同時に自分自身を見つめ直すきっかけにもなった。これからも僕は、自分の中にある「駿」と「しおり」の両方を大切にしながら、この不思議な日常を生きていくのだろう。
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「今日も忘れずに飲まなきゃな…」
鏡の前で、僕は一粒のピンク色のカプセルを手に取った。このサプリは、毎日欠かせないものだ。性転換サプリ。これを飲むことで、僕は完全に女性の体になる。髪の質感や肌のきめ細やかさから、声の高さ、そして何より体の曲線までもが自然に変わってしまう。
僕の名前は駿(しゅん)。でも、このサプリを飲んだ後は「しおり」として女子高に通っている。
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すべては、親の勧めで始まったことだった。
僕が中学を卒業する頃、進路のことで色々と悩んでいた。将来の夢もまだ決まらず、男子校に進むか共学に進むか、はたまた全く違う道に進むか…。そんな時、僕の両親がふとこんなことを言い出したのだ。
「駿、もし興味があったら女子高ってどう?最近、性転換サプリも手軽に手に入るようになって、男子でも女子高に通えるって聞いたのよ。」
最初は冗談かと思った。でも、両親は本気だった。性別を変えることが可能なサプリが広まったことで、特定の学校に通うための性別の壁がほぼ取り払われたというのだ。僕は驚いたが、同時に少しだけ興味も湧いてきた。女子高での生活がどんなものか、正直知ってみたいと思った。
結局、好奇心と新しい環境に挑戦してみたいという気持ちが強くなり、僕は女子高への進学を決めた。それから、毎朝「しおり」になるためのサプリを飲む生活が始まった。
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「おはよう、しおり!」
教室に入ると、クラスメイトの奈々(なな)が元気に手を振ってくる。奈々とは入学当初から仲良くなり、今では親友だ。彼女は僕が本当は男だということを知らない。いや、クラスメイト全員が知らない。僕は「しおり」として完全に女子の中に溶け込んでいた。
「おはよう、奈々。」
僕も微笑んで返す。サプリの効果で変わった高い声が自然に出る。
女子高の生活は最初こそ戸惑いもあったが、今ではすっかり慣れた。クラスメイトと一緒にランチを食べ、放課後には買い物に行ったり、カフェでおしゃべりしたりと、普通の女子高生のような日々を過ごしている。制服だって、最初は違和感があったけど、今ではすっかり板についてきた。
だけど、男子としての僕、駿としての自分をどこかで隠していることには、時折罪悪感も覚える。奈々や他の友達が、僕の正体を知ったらどう思うのだろうか。彼女たちとの友情は、偽りの自分の上に成り立っているのだろうか。そんな疑問が、ふとした瞬間に頭をよぎることがある。
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ある日、体育の授業でのことだった。今日はバスケットボールの練習。女子高での体育は、男子と比べて若干ゆったりとしている印象だったけど、それでも真剣に取り組んでいる子たちが多い。僕も「しおり」として、女子に紛れて普通にプレーしていた。
ところが、ある瞬間、つい普段の男子としての動きが出てしまった。シュートを狙っていた奈々がミスした瞬間、無意識に彼女をフォローし、豪快なジャンプでボールをリングに叩き込んでしまったのだ。
一瞬、みんなが固まった。僕も、周囲の視線に気づいて顔が赤くなる。
「しおり、今の…すごすぎない?」
奈々が驚いたように目を丸くして言った。
「あ、いや…ちょっと昔、バスケやってたから…」
僕は慌てて言い訳したが、内心はドキドキしていた。普段の女子らしい動きに慣れていたけれど、体はまだどこかで「駿」としての本来の動きを覚えていた。
それから数日は、周囲から「しおりって意外とアクティブだよね!」とからかわれたり、妙に注目されたりしたけれど、大きな問題にはならなかった。それでも、僕はいつかこの秘密がバレるんじゃないかという不安を抱えたまま、日々を過ごしていた。
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しかし、ある日、事件が起こった。
放課後、奈々と一緒に帰っている時、彼女がふとした表情で僕に言った。
「しおりさ、最近なんか変わったことない?なんか、ちょっと距離感じるんだよね。」
僕は一瞬言葉に詰まった。奈々は鋭い。親友としてずっと一緒にいるから、僕の微妙な変化にも気づいてしまうんだ。
「別に…何もないよ。」
僕は嘘をついて笑顔を作ったが、奈々はその嘘を見抜いていた。
「私たち、親友だよね?何かあったら、ちゃんと言ってほしい。」
奈々の瞳がまっすぐ僕を見つめてくる。
その瞬間、僕はもう隠し続けることができないと思った。ずっと「しおり」として過ごしてきたけれど、本当の自分を見せずに友達でいることは、どこか不誠実だと感じたのだ。
「実は、奈々…僕、男なんだ。」
その言葉が口をついて出た瞬間、奈々の顔は驚きと戸惑いでいっぱいになった。
「え…?男って、どういうこと?」
僕はこれまでのことをすべて話した。性転換サプリのこと、女子高に通うために自分を「しおり」として偽っていたこと、そして奈々たちに本当の自分を隠し続けていたこと。
奈々はしばらく黙って僕の話を聞いていた。そして、やがて口を開いた。
「しおり…いや、駿だったんだね。正直、驚いたけど…それでも、今まで一緒に過ごしてきた時間が偽物だったとは思わないよ。駿がどういう性別であれ、私にとっては大切な友達だよ。」
その言葉に、僕は涙が出そうになった。奈々は、僕がどんな形であれ受け入れてくれたのだ。
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それからも、僕は「しおり」として女子高に通い続けている。奈々をはじめとした友達は、僕の秘密を知りつつも、何も変わらず接してくれている。サプリで性別を変え続ける日々は続くけれど、本当の自分を少しずつ受け入れてくれる人たちがいることで、僕は安心してその生活を続けることができるようになった。
女子高での生活は、僕にとって貴重な経験であり、同時に自分自身を見つめ直すきっかけにもなった。これからも僕は、自分の中にある「駿」と「しおり」の両方を大切にしながら、この不思議な日常を生きていくのだろう。
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