夫の妊娠

廣瀬純一

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妊婦の苦労

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妻・由香の体に入れ替わった浩太は、妊婦としての日常に慣れようと試行錯誤する日々を送っていたが、思いのほか大変なことが次々に押し寄せてきた。特に、つわりと体の変化が想像以上に厳しいものであることに、浩太は日々戸惑いを感じていた。

ある朝、ふと目を覚ますと、胃の奥が不快にムカムカしていることに気づいた。「あれ、なんだこれ…?」と違和感を感じつつ、いつも通りに朝ご飯を食べようとしたが、食卓に置かれたトーストの匂いが鼻に入った瞬間、思わず顔をしかめた。

「うっ…なんか、これ無理だ…」と、食欲が急速に失われ、浩太はその場に身を縮めるようにして座り込んでしまった。

台所で様子を見ていた由香(浩太の体)が心配そうに声をかけた。「大丈夫?それ、たぶんつわりかもしれないね。私も初めの頃、匂いに敏感になってたんだ」

「これが…つわりか。由香、毎日こんな思いしてたの?」浩太は驚きの表情を浮かべ、由香の苦労を改めて実感した。

さらに日が経つにつれ、浩太は少しずつ体が重くなっていくのも感じ始めた。お腹が少しずつ大きくなるにつれて、ちょっとした動作でも息切れがしやすくなり、夜には腰や背中が痛んでくる。「妊婦さんは歩くだけでもこんなに大変なのか…」と、浩太は日常の何気ない動きがどれだけ負担になるかを身をもって知るようになった。

ある日、浩太は鏡の前に立ち、自分のお腹をそっと触れながらつぶやいた。「ここに小さな命がいるんだな…不思議だな、でもすごいことだよな」

そして、不便さや辛さを感じつつも、この変化を愛おしく思うようになっていく自分に、浩太は驚いていた。

それからも体調が優れない日も多かったが、少しずつ「妊婦の体で過ごす」ことの難しさと、そこにある喜びの両方を受け入れながら、浩太は日々を過ごしていった。由香とお互いを支え合い、どんなに小さな変化でも分かち合うことで、二人の絆はますます深まっていくのを感じていた。
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