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上達するメイク
しおりを挟む由紀の体になってから数週間が経った。真一は、最初こそぎこちなかったメイクに少しずつ慣れてきたものの、自分の不器用さが悔しくてたまらなかった。
「どうにかしてもっと上手になってやる…!」
そう心に決めた真一は、夜な夜なスマホでメイクの動画を見るようになった。
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### **オンラインレッスンで大成長**
「ベースメイクのポイントは均一に薄く。ああ、なるほどな…。」
「アイラインは角度が大事か。ふむふむ。」
メイク動画の視聴だけでは物足りず、真一は美容系のブログやメイクアップのハウツー記事を徹底的に研究し始めた。そして、週末にはドラッグストアで由紀の体に似合いそうな化粧品をこっそり購入。
自宅で練習を繰り返し、次第に手つきはプロ並みに近づいていった。特に、ハイライトとシェーディングの使い分けはピカイチ。由紀の顔立ちを活かすメイクを完全にマスターし、仕上がりはまるで雑誌のモデルのようだった。
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### **由紀の驚き**
ある朝、由紀(真一の体)がリビングに入ると、真一(由紀の体)は鏡の前で念入りに仕上げをしていた。
「おはよう、真一。今朝は早いのね。」
由紀が近づいていくと、真一の顔を見て目を丸くした。
「え、ちょっと待って!それ、全部自分でやったの!?」
真一はドヤ顔で振り返った。「まあな。最近ネットで研究してるからさ。」
由紀は思わず真一の顔をまじまじと観察した。ベースメイクは完璧で、ナチュラルな艶感が出ている。アイメイクも派手すぎず、それでいて目元をしっかり際立たせている。リップの選び方もセンス抜群だった。
「これ、プロがやったのかと思った…。私よりも上手なんじゃないの?」
真一は照れ笑いを浮かべながら、鏡に視線を戻した。「いやいや、由紀のおかげでこの顔のポテンシャルが高いだけだろ?」
由紀は感心しつつも少し悔しそうに、「今度私にもメイクしてよ!これだけ上手なら、仕事の前とかお願いしたいくらい!」と頼み込んだ。
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### **夫婦間の新たな交流**
それ以来、由紀が「真一メイク」と呼ぶテクニックは二人の間で人気になり、休日には由紀(真一の体)がメイクのモデルを務める場面もしばしば。真一が本気で学び続けたことで、二人の距離はさらに縮まり、新しい趣味を共有するようになったのだった。
「体が入れ替わって得たのは、こういう予想外のスキルかもしれないな。」
「私も真一に負けないようにメイクの勉強するから!」
そんな風に笑い合う二人の絆は、以前にも増して強いものとなっていた。
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