由紀と真一

廣瀬純一

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未知なるトイレの世界

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夫婦喧嘩がきっかけで体が入れ替わった武田真一と由紀。仕事でお互いの役割を果たす中で、避けて通れない問題に直面した。それはトイレ。  

---

### **由紀(真一の身体)が男性トイレに入る**  

昼休み、会社の食堂でコーヒーを飲んでいた由紀(真一)は、急にトイレに行きたくなった。普段なら何でもないことが、今の状況では全く違う。  

「男性トイレって、どんな感じなんだろう…」  

緊張で足がすくむ中、トイレのドアを恐る恐る押した。  

「ひえっ、なんで仕切りがないの!?」  

目に飛び込んできたのは、壁際に並んだ小便器たち。そこで男性社員がごく自然に用を足している光景に、由紀(真一)は目をそらした。  

「とりあえず個室…個室に行けば大丈夫。」  

顔を赤らめながら個室に駆け込み、どうにか用を足したが、出るタイミングをつかめない。  

「まさかこんなに緊張するとは思わなかったわ…」  

---

### **真一(由紀の身体)が女性トイレに入る**  

一方、真一(由紀)は、ランチ後にトイレに行こうとして女性トイレの前で立ち止まった。  

「女性のトイレって…中が全然想像つかないぞ。」  

意を決してドアを開けると、優雅な空間が広がっていた。鏡の前では女性たちが化粧を直し、雑談を交わしている。  

「な、なんかリラックスした雰囲気だな。…俺の知ってるトイレとは全然違う。」  

個室に入ると、至って普通の便座が目に入る。ただ、使い方がいつもと逆で少し戸惑った。  

用を足した後、手を洗いながら真一(由紀)は、他の女性たちがやけに手際よく化粧を直しているのをちらちら見ていた。  

「なるほどな、こうやって会社でのメイクって維持されてるのか…」  

感心する一方で、肩にかかる髪が妙に気になった。  

---

### **夜の反省会**  

家に帰った二人は、今日の出来事を語り合った。  

「男のトイレってあんなに仕切りがないのね!プライバシーゼロじゃない!」  
「いや、女のトイレのリラックス感すごかったぞ。あと、化粧直しとか大変なんだな。」  

お互いの体験を笑い合いながらも、日常の何気ないことに性別による違いがあることを改めて知った二人。  

「まあ、次はもう少し慣れるかもな。」  
「いや、早く元に戻りたいわよ!」  

そう言い合いながらも、二人の間に少しだけ理解と親近感が生まれていたのだった。
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