入れ替わりのバー

廣瀬純一

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性転換バー　リバース

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**タイトル: 性転換バー「リバース」**

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都会の一角に、知る人ぞ知る不思議なバーが存在していた。その店の名前は「リバース」。表向きは普通のバーに見えるが、実はこの店には誰もが驚く秘密が隠されていた。ここでは、来店した客が一夜限りで「性転換」を体験できるのだ。

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ある夜、好奇心に駆られた男女がこのバーを訪れた。主人公の圭介（けいすけ）は30歳のサラリーマンで、最近仕事と恋愛に疲れていた。友人から「面白い店がある」と聞いて、軽い気持ちで訪れたのだが、店内に足を踏み入れた瞬間、何か特別な雰囲気を感じた。

店内は薄暗く、カウンターに向かって座ると、後ろには色とりどりのボトルが並んでいる。壁には大きな鏡が掛けられており、その鏡に映る自分の姿が、いつもとは違って見えるような気がした。客も少なく、静かで落ち着いた雰囲気だ。

「いらっしゃいませ、初めてですか？」声をかけてきたのは、バーテンダーの女性。彼女の名前は朱里（あかり）と言い、落ち着いた笑顔で圭介を迎え入れた。

「ええ、友達に勧められて来たんですけど、ここって何か特別なバーなんですか？」

朱里はニヤリと笑いながら、カウンターの下から特別なメニューを取り出した。それには「性転換カクテル」と書かれていた。圭介は目を疑った。

「これって、冗談ですよね？」

「冗談じゃありませんよ。このカクテルを飲むと、一晩だけ性別が入れ替わるんです。もちろん、翌朝には元に戻りますがね。お試しになりますか？」

圭介は半信半疑だったが、少し興味をそそられた。普段は男性として生きている自分が、もし女性になったらどんな感じだろうか、と。何か変わった経験がしてみたい――そんな気持ちが圭介を動かした。

「じゃあ……お願いします。」

朱里は微笑み、静かにカクテルを作り始めた。色鮮やかな液体がグラスに注がれ、その上には一輪の白い花びらが浮かんでいた。圭介はグラスを手に取り、少し緊張しながらも一口飲み干した。

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しばらくして、圭介は体に異変を感じ始めた。手足が細くなり、体全体が軽くなる感覚。そして、服が妙にブカブカに感じられた。ふと自分の胸元を見ると、そこには確かな膨らみがあった。慌ててトイレに駆け込み、鏡を見ると、そこに映っていたのは――まぎれもなく女性の姿だった。

髪は艶やかに長く、顔は柔らかな女性らしい輪郭に変わっていた。圭介は、自分の手で頬を触り、鏡に映る自分をまじまじと見つめた。

「本当に……女になってる……」

その瞬間、圭介は信じられない思いとともに、奇妙な感覚に包まれた。自分の声も、姿も、すべてが女性になっている。心の中では動揺していたが、一方で興味と期待も膨らんでいた。これは、彼が今まで経験したことのない新しい世界だった。

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バーに戻ると、朱里が微笑みながら彼を見つめていた。

「どうですか？自分が女性になった感覚は？」

「正直……まだ信じられないですけど、なんか不思議な気分ですね」

「それはよかった。今夜は一晩だけ、その体で過ごしてください。新しい視点で世界を見られるはずです。」

圭介はカウンターに座りながら、しばらく自分の新しい体を感じていた。体の動かし方、周囲の視線、すべてが今までとは違っていた。まるで自分が別の人間になったような感覚だ。

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その夜、圭介は「リバース」でいくつかの新しい出会いを経験した。異性として話しかけられる感覚、自分がどう見られているのかに対する意識――それらは普段の生活では考えもしなかったことだ。

一方で、女性としての自分に戸惑いも感じた。特に、男性からの視線がどこか鋭く、彼を追いかけてくるように感じられたのだ。普段は自分がそんな視線を向けている側だったことに、圭介は初めて気づき、居心地の悪さを感じた。

「こんなに見られているんだな……女性って大変だ」

その一方で、彼は女性としての体が持つしなやかさや、細かな感覚の違いにも驚かされた。手を動かすたび、指先が以前よりも敏感に感じられ、普段は気づかない微妙な体の動きが新鮮だった。

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夜が更けると、圭介は静かにバーを後にした。街に出て、女性として歩く感覚は、彼にとって新たな発見だった。男性として日常的に行っていたことが、急に複雑に感じられ、周囲の人々の反応にも敏感になっていた。

自宅に戻り、鏡を見つめると、そこに映るのはまだ女性の姿。しかし、心の中では多くのことが変わっていた。性別の違いがもたらす経験の違い、そしてそれが日々の生活にどれほど影響を与えるか――それを圭介はこの一夜で学んだのだ。

翌朝、目が覚めると、彼は元の男性の体に戻っていた。しかし、昨夜の出来事は夢ではなく、確かに彼にとって大きな教訓となっていた。

「リバース」という店の秘密を知った圭介は、その不思議な体験を決して忘れることはなかった。そして彼は、自分の世界の見方が少しだけ変わったことに気づいた。

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**おわり**

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