29 / 83
回避運動
しおりを挟む
「敵機っ爆弾庫開きました!」
「面舵!」
防空指揮所に上がった信濃艦長阿部俊雄大佐は命じた。
右舷から接近するアヴェンジャーの魚雷が落ちると同時に舵が効き始め、魚雷に向かって進路を変える。
魚雷回避の基本は魚雷の航走方向と艦の進路を一致させることである。
魚雷に向かうか追いかけられる形になるが、魚雷に対して艦の断面積が最小になるため命中率は落ちる。
重要なのはタイミングで、魚雷が落ちるときに舵が効き始めるのがよい。
遅いと命中し、早いと雷撃機が魚雷を落とさず、新たな射点を狙うからだ。
魚雷は、命中せず白い航跡を残して左舷を過ぎていった。
命中させることができなかった敵機は、信濃の近くを通過すると戦場を離脱し母艦に戻るため飛び去っていった。
「舵戻せ! 取り舵ちょい」
信濃は元の進路に戻る、同時に敵機が多い左舷に向かって、少しだけ左に舵を切らせた。
「左後方上空より敵機急降下!」
ホッとする間もなく、見張りが接近する急降下爆撃機を報告する。
「取舵いっぱい!」
新たな艦長命令に操舵主が舵輪を回す。
当て舵をしていたため、すぐに舵が効き始め、急速に回頭していく。
ヘルダイバー急降下爆撃機に限らず急降下爆撃は一度急降下に入ると爆弾を抱えた重量では進路変更も上昇も爆弾投下後でなければ不可能。
急旋回によって進路上から外れた信濃をとらえられず、機首を上げるためにヘルダイバーは爆弾を海面へ投棄した。
投下された爆弾は海に落ちて、巨大な水柱を上げ、信濃に少し水飛沫を降りかけた以外に成果はなかった。
「回避成功!」
艦内に喜びの声が上がる。
艦長の阿部大佐も声に出さないものの安堵していた。
海戦の前にリンガで行われた演習で第四航空戦隊松田千秋少将を指揮官にして徹底した回避運動を第一機動艦隊全艦に叩き込んだ。
敵機を撃墜することも大事だが、敵の攻撃を回避して無駄弾を打たせることも敵への損害となる。
本来ならば味方へ損害を与えるはずだった敵の魚雷、爆弾は無駄うちとなり、味方の損害が減る。
当たらない無駄な攻撃をさせて消耗させるのも作戦の内だった。
これも松田少将の指導によるものだった。
だが、軍令部へ転属予定だった松田少将を引っ張り出し航海参謀に着任させ艦隊に対空回避を指導するよう進言した佐久田参謀の慧眼があった。
その後も機動艦隊に残留できるよう佐久田と山口は海軍省に手を回し、そのまま第四航空戦隊の司令官に任命されたのも運が良かった。
松田少将のお陰で艦隊は見違えるような防空回避を行えるようになったのだ。
だが感慨にふけっている時間はなかった。
「左舷上空、敵機急降下!」
「右舷より敵機低空より接近!」
偶然、急降下爆撃機と雷撃機が同時に信濃を狙った。左右両側からの攻撃に同時に対応することはできない。
「面舵一杯!」
瞬時に判断を下した阿部は命じた。
魚雷に向かって進路を変更し、雷撃機から放たれた魚雷の回避に成功した。
しかし、後方からやってくる急降下爆撃機の進路上に飛び出してしまった。
一機のヘルダイバーが微修正で信濃へ照準を合わせ、爆弾を投下した。
わずかに重力によって曲がりつつも一〇〇〇ポンド爆弾は信濃の飛行甲板に落ちてゆき命中した。
「艦首に直撃!」
巨大な火柱が飛行甲板に上がり、信濃の船体が揺れる。
「被害報告!」
動揺する部下に阿部艦長が命じる。
部下達は伝声管で各部に状況を確認する。
「各部異常なし!」
「飛行甲板はどうだ」
「煙で見えません」
空母で最も大きく大事な飛行甲板。
これが破壊されると、空母最大の能力である航空機運用能力が失われる。
甲板に被害が無いか艦長以下全員が固唾をのんで爆煙が晴れるのを待った。
そして爆煙が風で徐々に晴れると飛行甲板が、無傷の現れはじめる。
「……損害なし、被害なしです!」
飛行甲板の装甲化が行われた信濃は五〇番――五〇〇キロ爆弾、アメリカ軍の一〇〇〇ポンド爆弾の直撃に耐えられる装甲が張られていた。
ヘルダイバーの爆弾搭載量は一〇〇〇ポンド。
爆弾は耐えられるから阿部艦長は爆弾を受けることにした。
魚雷は浸水が発生し傾斜が出来て発艦不能になる恐れがあるし、何より速力が落ちる。
これも爆弾を引き受けた理由だ。
「信濃、戦闘航海、航空機運用に支障なし!」
艦長からの報告に艦隊司令部は安堵した。
機動部隊が航空機運用能力を維持しているのが嬉しい。
特に大和型の船体を受け継ぎ、装甲化された飛行甲板を持つ信濃は日本海軍の希望と言えた。
爆弾に対する耐久力を実戦で示してくれて嬉しくもあった。
「他の艦の様子は?」
旗艦に被害がないことを確認した山口は尋ねた。
「大鳳、海鳳共に被弾するものの、発着艦機能に支障なし」
部下の報告に山口は安堵する。
第一部隊の所属空母はすべて飛行甲板に装甲板を張った装甲空母だ。
軽量化のためにこれまでの空母は飛行甲板に装甲は張らなかった。しかし、広大な甲板は敵機のよい的だ。
何より飛行甲板は空母最大の機能である航空機の発着艦のためにあり、損傷して使用不能になるのは空母の能力を失うに等しい。
そのため日本海軍は飛行甲板の装甲化を図った。
その一番艦が大鳳であり、それに続く海鳳、信濃も同じ防御力があった。
彼女らの装甲飛行甲板が役に立つことはすぐに証明された。
これまでの海戦で、通常の空母がたった一発の爆弾を受けて発艦能力を失ったのに対し、装甲空母は軽微な被害で戦場に留まり、敵艦隊へ執拗な攻撃を仕掛け、日本海軍に勝利をもたらした。
今回の戦いでも十全に能力を発揮していた。
他の空母より敵艦隊に近い場所に位置したのは、敵の攻撃隊を吸収し、他の空母を守るためだ。
「他の部隊はどうなっている?」
「空襲なし、敵機は我々に集まっています」
予想以上に効果的な作戦だった。
「面舵!」
防空指揮所に上がった信濃艦長阿部俊雄大佐は命じた。
右舷から接近するアヴェンジャーの魚雷が落ちると同時に舵が効き始め、魚雷に向かって進路を変える。
魚雷回避の基本は魚雷の航走方向と艦の進路を一致させることである。
魚雷に向かうか追いかけられる形になるが、魚雷に対して艦の断面積が最小になるため命中率は落ちる。
重要なのはタイミングで、魚雷が落ちるときに舵が効き始めるのがよい。
遅いと命中し、早いと雷撃機が魚雷を落とさず、新たな射点を狙うからだ。
魚雷は、命中せず白い航跡を残して左舷を過ぎていった。
命中させることができなかった敵機は、信濃の近くを通過すると戦場を離脱し母艦に戻るため飛び去っていった。
「舵戻せ! 取り舵ちょい」
信濃は元の進路に戻る、同時に敵機が多い左舷に向かって、少しだけ左に舵を切らせた。
「左後方上空より敵機急降下!」
ホッとする間もなく、見張りが接近する急降下爆撃機を報告する。
「取舵いっぱい!」
新たな艦長命令に操舵主が舵輪を回す。
当て舵をしていたため、すぐに舵が効き始め、急速に回頭していく。
ヘルダイバー急降下爆撃機に限らず急降下爆撃は一度急降下に入ると爆弾を抱えた重量では進路変更も上昇も爆弾投下後でなければ不可能。
急旋回によって進路上から外れた信濃をとらえられず、機首を上げるためにヘルダイバーは爆弾を海面へ投棄した。
投下された爆弾は海に落ちて、巨大な水柱を上げ、信濃に少し水飛沫を降りかけた以外に成果はなかった。
「回避成功!」
艦内に喜びの声が上がる。
艦長の阿部大佐も声に出さないものの安堵していた。
海戦の前にリンガで行われた演習で第四航空戦隊松田千秋少将を指揮官にして徹底した回避運動を第一機動艦隊全艦に叩き込んだ。
敵機を撃墜することも大事だが、敵の攻撃を回避して無駄弾を打たせることも敵への損害となる。
本来ならば味方へ損害を与えるはずだった敵の魚雷、爆弾は無駄うちとなり、味方の損害が減る。
当たらない無駄な攻撃をさせて消耗させるのも作戦の内だった。
これも松田少将の指導によるものだった。
だが、軍令部へ転属予定だった松田少将を引っ張り出し航海参謀に着任させ艦隊に対空回避を指導するよう進言した佐久田参謀の慧眼があった。
その後も機動艦隊に残留できるよう佐久田と山口は海軍省に手を回し、そのまま第四航空戦隊の司令官に任命されたのも運が良かった。
松田少将のお陰で艦隊は見違えるような防空回避を行えるようになったのだ。
だが感慨にふけっている時間はなかった。
「左舷上空、敵機急降下!」
「右舷より敵機低空より接近!」
偶然、急降下爆撃機と雷撃機が同時に信濃を狙った。左右両側からの攻撃に同時に対応することはできない。
「面舵一杯!」
瞬時に判断を下した阿部は命じた。
魚雷に向かって進路を変更し、雷撃機から放たれた魚雷の回避に成功した。
しかし、後方からやってくる急降下爆撃機の進路上に飛び出してしまった。
一機のヘルダイバーが微修正で信濃へ照準を合わせ、爆弾を投下した。
わずかに重力によって曲がりつつも一〇〇〇ポンド爆弾は信濃の飛行甲板に落ちてゆき命中した。
「艦首に直撃!」
巨大な火柱が飛行甲板に上がり、信濃の船体が揺れる。
「被害報告!」
動揺する部下に阿部艦長が命じる。
部下達は伝声管で各部に状況を確認する。
「各部異常なし!」
「飛行甲板はどうだ」
「煙で見えません」
空母で最も大きく大事な飛行甲板。
これが破壊されると、空母最大の能力である航空機運用能力が失われる。
甲板に被害が無いか艦長以下全員が固唾をのんで爆煙が晴れるのを待った。
そして爆煙が風で徐々に晴れると飛行甲板が、無傷の現れはじめる。
「……損害なし、被害なしです!」
飛行甲板の装甲化が行われた信濃は五〇番――五〇〇キロ爆弾、アメリカ軍の一〇〇〇ポンド爆弾の直撃に耐えられる装甲が張られていた。
ヘルダイバーの爆弾搭載量は一〇〇〇ポンド。
爆弾は耐えられるから阿部艦長は爆弾を受けることにした。
魚雷は浸水が発生し傾斜が出来て発艦不能になる恐れがあるし、何より速力が落ちる。
これも爆弾を引き受けた理由だ。
「信濃、戦闘航海、航空機運用に支障なし!」
艦長からの報告に艦隊司令部は安堵した。
機動部隊が航空機運用能力を維持しているのが嬉しい。
特に大和型の船体を受け継ぎ、装甲化された飛行甲板を持つ信濃は日本海軍の希望と言えた。
爆弾に対する耐久力を実戦で示してくれて嬉しくもあった。
「他の艦の様子は?」
旗艦に被害がないことを確認した山口は尋ねた。
「大鳳、海鳳共に被弾するものの、発着艦機能に支障なし」
部下の報告に山口は安堵する。
第一部隊の所属空母はすべて飛行甲板に装甲板を張った装甲空母だ。
軽量化のためにこれまでの空母は飛行甲板に装甲は張らなかった。しかし、広大な甲板は敵機のよい的だ。
何より飛行甲板は空母最大の機能である航空機の発着艦のためにあり、損傷して使用不能になるのは空母の能力を失うに等しい。
そのため日本海軍は飛行甲板の装甲化を図った。
その一番艦が大鳳であり、それに続く海鳳、信濃も同じ防御力があった。
彼女らの装甲飛行甲板が役に立つことはすぐに証明された。
これまでの海戦で、通常の空母がたった一発の爆弾を受けて発艦能力を失ったのに対し、装甲空母は軽微な被害で戦場に留まり、敵艦隊へ執拗な攻撃を仕掛け、日本海軍に勝利をもたらした。
今回の戦いでも十全に能力を発揮していた。
他の空母より敵艦隊に近い場所に位置したのは、敵の攻撃隊を吸収し、他の空母を守るためだ。
「他の部隊はどうなっている?」
「空襲なし、敵機は我々に集まっています」
予想以上に効果的な作戦だった。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
架空世紀「30サンチ砲大和」―― 一二インチの牙を持つレバイアサン達 ――
葉山宗次郎
歴史・時代
1936年英国の涙ぐましい外交努力と
戦艦
主砲一二インチ以下、基準排水量五万トン以下とする
などの変態的条項付与により第二次ロンドン海軍軍縮条約が日米英仏伊五カ国によって締結された世界。
世界は一時平和を享受できた。
だが、残念なことに史実通りに第二次世界大戦は勃発。
各国は戦闘状態に入った。
だが、軍縮条約により歪になった戦艦達はそのツケを払わされることになった。
さらに条約締結の過程で英国は日本への条約締結の交換条件として第二次日英同盟を提示。日本が締結したため、第二次世界大戦へ39年、最初から参戦することに
そして条約により金剛代艦枠で早期建造された大和は英国の船団護衛のため北大西洋へ出撃した
だが、ドイツでは通商破壊戦に出動するべくビスマルクが出撃準備を行っていた。
もしも第二次ロンドン海軍軍縮条約が英国案に英国面をプラスして締結されその後も様々な事件や出来事に影響を与えたという設定の架空戦記
ここに出撃
(注意)
作者がツイッターでフォローさんのコメントにインスピレーションが湧き出し妄想垂れ流しで出来た架空戦記です
誤字脱字、設定不備などの誤りは全て作者に起因します
予めご了承ください。
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
江戸時代改装計画
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。
「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」
頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。
ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。
(何故だ、どうしてこうなった……!!)
自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。
トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。
・アメリカ合衆国は満州国を承認
・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲
・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認
・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い
・アメリカ合衆国の軍備縮小
・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃
・アメリカ合衆国の移民法の撤廃
・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと
確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。
正しい歴史への直し方 =吾まだ死せず・改= ※現在、10万文字目指し増補改訂作業中!
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
二度の世界大戦を無事戦勝国として過ごすことに成功した大日本帝国。同盟国であるはずのドイツ第三帝国が敗北していることを考えたらそのさじ加減は奇跡的といえた。後に行われた国際裁判において白人種が今でも「復讐裁判」となじるそれは、その実白人種のみが断罪されたわけではないのだが、白人種に下った有罪判決が大多数に上ったことからそうなじる者が多いのだろう。だが、それはクリストバル・コロンからの歴史的経緯を考えれば自業自得といえた。
昭和十九年四月二日。ある人物が連合艦隊司令長官に着任した。その人物は、時の皇帝の弟であり、階級だけを見れば抜擢人事であったのだが誰も異を唱えることはなく、むしろその采配に感嘆の声をもらした。
その人物の名は宣仁、高松宮という雅号で知られる彼は皇室が最終兵器としてとっておいたといっても過言ではない秘蔵の人物であった。着任前の階級こそ大佐であったが、事実上の日本のトップ2である。誰が反対できようものか。
そして、まもなく史実は回天する。悪のはびこり今なお不正が当たり前のようにまかり通る一人種や少数の金持ちによる腐敗の世ではなく、神聖不可侵である善君達が差配しながらも、なお公平公正である、善が悪と罵られない、誰もに報いがある清く正しく美しい理想郷へと。
そう、すなわちアメリカ合衆国という傲慢不遜にして善を僭称する古今未曾有の悪徳企業ではなく、神聖不可侵な皇室を主軸に回る、正義そのものを体現しつつも奥ゆかしくそれを主張しない大日本帝国という国家が勝った世界へと。
……少々前説が過ぎたが、本作品ではそこに至るまでの、すなわち大日本帝国がいかにして勝利したかを記したいと思う。
それでは。
とざいとーざい、語り手はそれがし、神前成潔、底本は大東亜戦記。
どなた様も何卒、ご堪能あれー……
ああ、草々。累計ポイントがそろそろ10万を突破するので、それを記念して一度大規模な増補改訂を予定しております。やっぱり、今のままでは文字数が余り多くはありませんし、第一書籍化する際には華の十万文字は越える必要があるようですからね。その際、此方にかぶせる形で公開するか別個枠を作って「改二」として公開するか、それとも同人誌などの自費出版という形で発表するかは、まだ未定では御座いますが。
なお、その際に「完結」を外すかどうかも、まだ未定で御座います。未定だらけながら、「このままでは突破は難しいか」と思っていた数字が見えてきたので、一度きちんと構えを作り直す必要があると思い、記載致しました。
→ひとまず、「改二」としてカクヨムに公開。向こうで試し刷りをしつつ、此方も近いうちに改訂を考えておきます。
第二艦隊転進ス 進路目標ハ未来
みにみ
歴史・時代
太平洋戦争末期 世界最大の46㎝という巨砲を
搭載する戦艦
大和を旗艦とする大日本帝国海軍第二艦隊 戦艦、榛名、伊勢、日向
空母天城、葛城、重巡利根、青葉、軽巡矢矧
駆逐艦涼月、冬月、花月、雪風、響、磯風、浜風、初霜、霞、朝霜、響は
日向灘沖を航行していた
そこで米潜水艦の魚雷攻撃を受け
大和や葛城が被雷 伊藤長官はGFに無断で
作戦の中止を命令し、反転佐世保へと向かう
途中、米軍の新型兵器らしき爆弾を葛城が被弾したりなどもするが
無事に佐世保に到着
しかし、そこにあったのは………
ぜひ、伊藤長官率いる第一遊撃艦隊の進む道をご覧ください
ところどころ戦術おかしいと思いますがご勘弁
どうか感想ください…心が折れそう
どんな感想でも114514!!!
批判でも結構だぜ!見られてるって確信できるだけで
モチベーション上がるから!
自作品 ソラノカケラ⦅Shattered Skies⦆と同じ世界線です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる