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第一部 日露開戦編
龍馬が乗艦したわけ
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不意打ち気味に鯉之助が尋ねる、とそれまでの龍馬の余裕が霧消し、固まった。
「何故知っている」
「分かります」
ブラフだったが、父親である龍馬は何時も誰かしら女性に手を出しているので、何時も引っかかる。
維新の時代から何人もの女性と恋人になっているプレイボーイだ。日本を洗濯すると言いながら多くの女性に手をだしたのだから本当に精力的だ。
そもそも鯉之助が生まれたのも、お龍さんがいるのに、ハワイで母に手を出したからだ。
それに千葉さな子さんを、その気にさせたりとやりたい放題だ。
廓通いでにも多くの女性と遊んでいることもあり、何時も女性と関係を持っている。
手の出したのかと尋ねれば、大体いつもは当てはまるのだ。
「言い逃れするために、皇海に逃げ込んだのでしょう?」
そして乙女さんか、さな子さん、お龍さんの折檻もとい説教を逃れるために逃げ込むのが何時もの父龍馬だ。
「なんとか間を取り持ってくれんかのう」
子供の頃から利発で弁が立ち愛嬌の良い鯉之助は、龍馬の姉である乙女や、婚約者さな子、妻お龍の受けが良く、女性トラブルがあった時、仲裁に入り丸く収めていた。
そのため龍馬は何時しか、鯉之助を頼るようになっていた。
「良いですよ」
他の女性に手を出すのは外聞が悪いが鯉之助は龍馬を許していた。
「そのかわり、艦隊への補給を増やしてください。旅順への艦砲射撃をやりたいので」
様々な要求を突きつけることが出来るからだ。
海龍商会総帥なので対外のことは出来る。
「あと、もっと部隊が投入できるように、態勢を整えてください。日本陸軍の全軍が半島と大陸に投入できるようにしてください。兵力が現状でも足りないのですから」
明治政府にも友人知人が多いので、大概の無理が利くことも大きいので、弱点として見逃している。
「分かった、伊藤や桂、山縣に言っておく」
政府中枢の要人を友人に持つ人物など他にはいない。
ここぞとばかりに要求を突きつけておく。
「それと円建てと外貨建ての社債の発行を、金はいくらあっても足りませんから」
「お、おう」
「ああ、それと」
「まだ、他に何かあるのか?」
「ええ、明日、日本の戦局を大きく左右する方が来るので、供応できるよう最高級の酒をお願いします」
秘蔵の酒を父龍馬に取られた仕返しをここぞとばかりに鯉之助は、悪戯っぽく言う。
龍馬は方を落として頷いた。
「全く酷い息子じゃ。同じ同志を見捨てるとは」
「何処が同志なのですか?」
「女子のケツを追いかけるところがじゃろうが」
「していませんよ」
実の、いや転生先の父親に女を追いかけていると言われて鯉之助はむすっとした。
日本と海援隊のために身を粉にして、しかも時に命をかけて戦場を駆け巡った鯉之助だ。父龍馬の幕末程では無いかもしれないが、鯉之助も樺太や半島、大陸、ハワイで戦ってきた。
なのに女性を追いかけているスケベ仲間と父親に言われたらいくら三十過ぎでも怒るというものだ
「そうか、麗ちゃんや明日香ちゃんと仲良くなっていた。そしたら沙織ちゃんと結婚したかと思ったら、別れてハワイの王女と結婚したんじゃから儂と同類とおもったんじゃが」
「知りませんよ」
麗と明日香は樺太からの付き合いで一緒に戦争を戦い抜いた戦友だ。
ロシア兵に襲われたところを助けたこともあるし、逆に助けに駆けつけてくれたこともある。
それ以前に一緒に開拓地で過ごした仲だ。
極寒の冬に一枚の毛布にくるまって過ごしたこともあるし、身体を寄せ合って互いに暖を取り合ったし、一つの握り飯を分け合ったこともある。
今の妻だって、アメリカのハワイ併合を阻止するために動き回っていたらいつの間にか結婚話になってしまった。
「郭通いしていたあなたと比べないでください」
「なんだ行っておらんのか?」
「戦争に行っているのに、そんな暇無いでしょう」
南米出張を終えた後、北米経由でイギリスへ行き皇海を回航。
日本に戻ってきても訓練と出師準備――燃料弾薬の補給、艦を戦闘状態へ移行させ、人員の手配、艦隊編成など、やることは沢山あった。
とても郭に行く暇は無い。
「お主好みの抱擁感溢れる女性がいるのじゃが」
「そ、そんなこと言ったって」
龍馬の言葉に鯉之助は動揺した。
転生してから様々な発明やら交渉ごとをしているので気の休まる時間が無い。
おかげで束の間の休息を優しさで包み込んでくれる女性が好みになってしまった。
色々と世話を焼いてくれる年上の沙織に好意を持ったのも、破綻したが結婚したのもそのためだ。
そして無類の女好きであり廓に詳しく顔見知りも多い龍馬は入っている女性の情報など知り合いからいくらでも入ってくる。
だから鯉之助好みの女性を見つけてくるのが上手い。
グーグルのない明治の世界で女性限定ながら検索機能の高い龍馬はその方面では頼りにされている。
しかも女性の評価機能も高く男性との相性も見て紹介する女性ソムリエとも言える存在であり、信頼されている。
情けないと思える能力だが、重要人物に女好きが多いため龍馬を頼ってやってくる人間が多く、その伝で海龍商会や海援隊が交渉が出来るので強く止める事も出来ない。
そして、鯉之助もその魔力にあがなえない。
「酒の代わりに女の紹介でどうじゃ?」
さすがに部隊や国益に関わることに関して龍馬は交渉材料にしないが、鯉之助個人に関することで条件の引き下げを狙ってきた。
龍馬の提案に鯉之助はグラついた。
「何故知っている」
「分かります」
ブラフだったが、父親である龍馬は何時も誰かしら女性に手を出しているので、何時も引っかかる。
維新の時代から何人もの女性と恋人になっているプレイボーイだ。日本を洗濯すると言いながら多くの女性に手をだしたのだから本当に精力的だ。
そもそも鯉之助が生まれたのも、お龍さんがいるのに、ハワイで母に手を出したからだ。
それに千葉さな子さんを、その気にさせたりとやりたい放題だ。
廓通いでにも多くの女性と遊んでいることもあり、何時も女性と関係を持っている。
手の出したのかと尋ねれば、大体いつもは当てはまるのだ。
「言い逃れするために、皇海に逃げ込んだのでしょう?」
そして乙女さんか、さな子さん、お龍さんの折檻もとい説教を逃れるために逃げ込むのが何時もの父龍馬だ。
「なんとか間を取り持ってくれんかのう」
子供の頃から利発で弁が立ち愛嬌の良い鯉之助は、龍馬の姉である乙女や、婚約者さな子、妻お龍の受けが良く、女性トラブルがあった時、仲裁に入り丸く収めていた。
そのため龍馬は何時しか、鯉之助を頼るようになっていた。
「良いですよ」
他の女性に手を出すのは外聞が悪いが鯉之助は龍馬を許していた。
「そのかわり、艦隊への補給を増やしてください。旅順への艦砲射撃をやりたいので」
様々な要求を突きつけることが出来るからだ。
海龍商会総帥なので対外のことは出来る。
「あと、もっと部隊が投入できるように、態勢を整えてください。日本陸軍の全軍が半島と大陸に投入できるようにしてください。兵力が現状でも足りないのですから」
明治政府にも友人知人が多いので、大概の無理が利くことも大きいので、弱点として見逃している。
「分かった、伊藤や桂、山縣に言っておく」
政府中枢の要人を友人に持つ人物など他にはいない。
ここぞとばかりに要求を突きつけておく。
「それと円建てと外貨建ての社債の発行を、金はいくらあっても足りませんから」
「お、おう」
「ああ、それと」
「まだ、他に何かあるのか?」
「ええ、明日、日本の戦局を大きく左右する方が来るので、供応できるよう最高級の酒をお願いします」
秘蔵の酒を父龍馬に取られた仕返しをここぞとばかりに鯉之助は、悪戯っぽく言う。
龍馬は方を落として頷いた。
「全く酷い息子じゃ。同じ同志を見捨てるとは」
「何処が同志なのですか?」
「女子のケツを追いかけるところがじゃろうが」
「していませんよ」
実の、いや転生先の父親に女を追いかけていると言われて鯉之助はむすっとした。
日本と海援隊のために身を粉にして、しかも時に命をかけて戦場を駆け巡った鯉之助だ。父龍馬の幕末程では無いかもしれないが、鯉之助も樺太や半島、大陸、ハワイで戦ってきた。
なのに女性を追いかけているスケベ仲間と父親に言われたらいくら三十過ぎでも怒るというものだ
「そうか、麗ちゃんや明日香ちゃんと仲良くなっていた。そしたら沙織ちゃんと結婚したかと思ったら、別れてハワイの王女と結婚したんじゃから儂と同類とおもったんじゃが」
「知りませんよ」
麗と明日香は樺太からの付き合いで一緒に戦争を戦い抜いた戦友だ。
ロシア兵に襲われたところを助けたこともあるし、逆に助けに駆けつけてくれたこともある。
それ以前に一緒に開拓地で過ごした仲だ。
極寒の冬に一枚の毛布にくるまって過ごしたこともあるし、身体を寄せ合って互いに暖を取り合ったし、一つの握り飯を分け合ったこともある。
今の妻だって、アメリカのハワイ併合を阻止するために動き回っていたらいつの間にか結婚話になってしまった。
「郭通いしていたあなたと比べないでください」
「なんだ行っておらんのか?」
「戦争に行っているのに、そんな暇無いでしょう」
南米出張を終えた後、北米経由でイギリスへ行き皇海を回航。
日本に戻ってきても訓練と出師準備――燃料弾薬の補給、艦を戦闘状態へ移行させ、人員の手配、艦隊編成など、やることは沢山あった。
とても郭に行く暇は無い。
「お主好みの抱擁感溢れる女性がいるのじゃが」
「そ、そんなこと言ったって」
龍馬の言葉に鯉之助は動揺した。
転生してから様々な発明やら交渉ごとをしているので気の休まる時間が無い。
おかげで束の間の休息を優しさで包み込んでくれる女性が好みになってしまった。
色々と世話を焼いてくれる年上の沙織に好意を持ったのも、破綻したが結婚したのもそのためだ。
そして無類の女好きであり廓に詳しく顔見知りも多い龍馬は入っている女性の情報など知り合いからいくらでも入ってくる。
だから鯉之助好みの女性を見つけてくるのが上手い。
グーグルのない明治の世界で女性限定ながら検索機能の高い龍馬はその方面では頼りにされている。
しかも女性の評価機能も高く男性との相性も見て紹介する女性ソムリエとも言える存在であり、信頼されている。
情けないと思える能力だが、重要人物に女好きが多いため龍馬を頼ってやってくる人間が多く、その伝で海龍商会や海援隊が交渉が出来るので強く止める事も出来ない。
そして、鯉之助もその魔力にあがなえない。
「酒の代わりに女の紹介でどうじゃ?」
さすがに部隊や国益に関わることに関して龍馬は交渉材料にしないが、鯉之助個人に関することで条件の引き下げを狙ってきた。
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